弁護士髙野傑

刑事弁護人の髙野傑です。早稲田リーガルコモンズ法律事務所パートナー弁護士です。 刑事事…

弁護士髙野傑

刑事弁護人の髙野傑です。早稲田リーガルコモンズ法律事務所パートナー弁護士です。 刑事事件について、わかりやすくお話しします。 メール:takano.s@legalcommons.jp Twitter:https://twitter.com/su_takano

最近の記事

  • 固定された記事

弁護士が教える黙秘実現のための6つのステップ- 逮捕されても話さないための極意

最近、黙秘権について、法曹界だけでなく社会全体で議論が活発になっています。これは非常に喜ばしいことです。しかし、現実の刑事手続きにおいて、被疑者が黙秘権を行使し続けることは、想像以上に困難なことです。適切な弁護士の助言と支援がなければ、黙秘を貫くことはほぼ不可能と言えるでしょう。 私は捜査弁護の研修講師として、多くの若手弁護士から「黙秘を助言したのに、被疑者が話してしまう」という相談を受けてきました。そこで今回は、私が実際の接見でどのように黙秘を助言し、被疑者に実行してもらっ

    • "はと弁"って知ってる?弁護士接見の闇

      こんにちは、弁護士の髙野です。 みなさん、最近ニュースで弁護士が逮捕されたり、懲戒処分を受けたりしているのを耳にしていると思います。その中には、詐欺事件の共犯者として捕まっていた人たちに、別の人から頼まれて「弁護人になるつもり」と言って何度も会いに行き、弁護士会から業務停止の処分を受けたというものもありました。「それってそんなにダメなことなの?」と思う方も多いんじゃないでしょうか。今日は、刑事弁護の世界で「はと弁」と呼ばれる弁護士たちの問題について、わかりやすくお話ししていき

      • 刑事事件の弁護士はどう選ぶ?-刑事弁護人が教える判断ポイント

        こんにちは、弁護士の髙野傑です。 刑事事件の弁護士の選び方 「急なことでどうやって弁護士を探したらよいのかわからなかった。」「今振り返ってみれば、あの活動には納得がいっていなかった。」 こういった後悔の声を、弁護士になってから数え切れないほど聞いてきました。特に問題なのは、控訴審になったあとで一審の弁護人の活動に不満があることを伝えられる場合です。この段階では、基本的にはどうすることもできません。 私は日々の業務の中で、せっかく私選弁護人を付けているのに「なんでこの人に?

        ¥2,500
        • あなたの弁護士は大丈夫?黙秘を勧めない弁護士の危険な本音

          皆さん、こんにちは。弁護士の髙野です。先日こちらのnoteで、黙秘権行使を実現する方法についてお話しました。 ここに、私がどのように黙秘を助言するか否かを判断しているかは別の機会に話しますと書きました。その約束を果たすのが今回です。

          ¥500
        • 固定された記事

        弁護士が教える黙秘実現のための6つのステップ- 逮捕されても話さないための極意

          取調べで使われる卑劣な手口と対処法 - 弁護士が暴露する黙秘権行使の真実

          最近、黙秘に関する私のいくつかのポストが、(私のアカウントにしては)広い関心を集めました。 今年に入ってから、私自身が代理人を務めているものも含め、次々と捜査機関の取調べ内容が世間に向けて公開されています。そこでわかるように、捜査機関は黙秘をしている被疑者に対し、あの手この手で口を割らせようと働きかけてきます。今回は、そんな捜査機関のやり口と、それに対する弁護士の対応についてお話ししたいと思います。 黙秘をしても取調べは続くまず、押さえておくべき重要な点は、被疑者が黙秘権

          取調べで使われる卑劣な手口と対処法 - 弁護士が暴露する黙秘権行使の真実

          逮捕された家族への差し入れ方法 - 弁護士が教える注意点と効果的なサポート

          以前、逮捕された家族との面会方法についてお話しました。 今回は捕まっている人への差し入れについて解説します。これも、ご家族からよく質問される内容です。 差入れの問題とよくある質問 まず、「差し入れ」とは、留置施設で生活している人に対して、外にいる家族などが物品を持っていくことを指します。しかし、差し入れには様々な制限があり、よく問題が生じます。 最も典型的な例は、食べ物や飲み物の差し入れができないことです。留置施設では食事が提供され、自費で弁当を購入することも可能です(

          逮捕された家族への差し入れ方法 - 弁護士が教える注意点と効果的なサポート

          逮捕された家族に会いたい!面会の方法と注意点をプロが徹底解説

          こんにちは、弁護士の髙野です。 「ご主人が逮捕されました」―― この一報は、家族の日常を一瞬にして非日常へと変えてしまいます。突然の出来事に動揺し、混乱する中で、まず知りたいのは「逮捕された家族にどうやったら会えるのか」ではないでしょうか。今回は、逮捕された家族との面会について解説していきます。 逮捕後の身体拘束の流れ まず、逮捕後の身体拘束の流れを簡単に説明しましょう。 逮捕されると48時間以内に検察庁に送致されます。ニュースで逮捕された人の写真を見かけるのは、多くがこ

          逮捕された家族に会いたい!面会の方法と注意点をプロが徹底解説

          裁判官は人を拘束することをなんとも思っていない?勾留に対する準抗告判断の遅さ

          皆さん、こんにちは。弁護士の髙野です。 世間で耳にする刑事事件のニュースといえば、「逮捕」や「送検」がほとんどではないでしょうか。しかし、その後の流れや、そこでの弁護士の活動についてはあまり知られていないように感じます。今日は、逮捕後の手続きの流れと、そこで生じている問題点、特に東京地方裁判所の運用における課題についてお話ししたいと思います。 逮捕から勾留へ まず、逮捕された後の流れを簡単に説明しましょう。 逮捕されると、捜査機関はより長期の身体拘束である「勾留」の審査を

          裁判官は人を拘束することをなんとも思っていない?勾留に対する準抗告判断の遅さ

          本当に効果はあるのか?日本版DBSとその問題点

          日本版DBSの成立 (この記事は、私が所属する法律事務所のコラムの内容を加筆・修正したものです。) 2024年6月19日、子供に接する仕事に就く人に、性犯罪歴がないかを確認する制度、いわゆる「日本版DBSその」を導入するための法律(学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律)が成立しました。 2026年度をめどに施工されることになります。 前提として、子どもに対する性犯罪は決して許されるものではなく、これを防ぐための仕組みが必

          本当に効果はあるのか?日本版DBSとその問題点

          黙秘をすると起訴されるのか?黙秘と不起訴の関係について

          取材記事に対するヤフコメ 先日、弁護士JP様から取材を受ける機会がありました。 その記事がこちらです。 なお、取材を受けるきっかけとなったnoteはこちらです。 この取材記事がYahooにもあがり多くの方に読んでいただけたようです。その際に頂いたコメントの中に気になるものがありました。引用させていただきます。 今回はこのコメントをヒントに、黙秘と不起訴処分の関係についてお話したいと思います。 取調べで「自分はやっていない」と供述することのリスク その前提として、や

          黙秘をすると起訴されるのか?黙秘と不起訴の関係について

          Chat GPTによる防犯〜伝統的な詐欺手法にも対応可能

          弁護士と詐欺 最近、弁護士と詐欺というワードが同時に目に入るニュースが続いています。弁護士が詐欺の被害に遭ったり、反対に弁護士が詐欺的ビジネスに加担してしまったり。そんな中、私のところにも詐欺の足音が… 髙野のX(旧Twitter)に届いたDM 私のXに次のようなDMが来ました。 予想される今後の流れ おそらく、似たようなスパムメールは誰もが一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。 この後の流れは、大きく2つだと思います。一つは、このお金をあなたが手に入れるた

          Chat GPTによる防犯〜伝統的な詐欺手法にも対応可能

          知らないとまずい!?保釈における「監督者制度」

          保釈における監督者制度がスタート 令和6年5月15日、保釈手続において、新たな制度がスタートしました。それが「監督者制度」です。刑事手続における重要な改正が続いています。みなさんは、自分が依頼している弁護士がきちんと改正された手続きに則って弁護活動をしているか、厳しい目でチェックする必要があります。 監督者制度の概要 今回解説する監督者制度は、保釈手続に関するものです。保釈とは、起訴された被告人が一定金額の保釈保証金を預けることで判決が言い渡されるまで釈放され、社会内で

          知らないとまずい!?保釈における「監督者制度」

          その体制が重大なトラブルを招く!?不正競争防止法違反に問うための「営業秘密の管理方法」

          営業上の秘密の侵害 退職する際に営業上の秘密を持ち出し、競業の転職先にリークする。こういう報道を定期的に目にします。その一部は不正競争防止法という法律に違反し逮捕されたというもののようです。日本の報道の性質上、逮捕された人がその後どうなったのかは必ずしも明らかではありません。そのため、報道された人すべてが、不正競争防止法違反の罪に問われているのかと言われれば、疑問が残ります。企業側の不手際によって、不正競争防止法違反(営業秘密の侵害)の要件を満たさないケースも少なくないからで

          その体制が重大なトラブルを招く!?不正競争防止法違反に問うための「営業秘密の管理方法」

          どこの誰かはすぐわかる!?警察が犯人を特定する方法

          どうやって「どこの誰か」を特定しているのか 先日の記事で、防犯カメラのリレー捜査等、犯人の疑いがある人の足取りを追跡する捜査について解説しました。  警察などの捜査機関が、その人の足取りを追跡するのは、追っている人物(多くは犯人)がどこの誰かを特定するためです。特定できるまで、あらゆる手段で追いかけます。  今回は、足取りを追う捜査のゴールとも言える「どこの誰かが特定できる場面」について解説します。 どこの誰かが特定できる場面自宅まで足取りを追跡することが出来たケース

          どこの誰かはすぐわかる!?警察が犯人を特定する方法

          その犯人、どうして見つかった!?防犯カメラのリレー捜査について

          「防犯カメラのリレー捜査」とは? 先日ニュースを見ていて、このような言葉が耳に入ってきました。  警察などの捜査機関は、事件が起きればまず犯人がどこの誰なのかを特定しようとし始めます。そのための手法の一つが「防犯カメラのリレー捜査」などと呼ばれるものです。  弁護士は、刑事裁判のなかで証拠を見ることが出来ます。その中には、捜査機関がどのようにして犯人を追跡していったのかがわかる報告書などが含まれています。今回は、捜査機関が犯人をどのように探していくのか、足取りを追跡していく

          その犯人、どうして見つかった!?防犯カメラのリレー捜査について

          ドラマ「アンチヒーロー」から尋問を学ぶ:物を利用した証人尋問

          ドラマ「アンチヒーロー」のリアリティ アンチヒーロー第1話を見ました。これからの展開に期待できそうな終わり方で、おもしろかったです。もちろんエンタメですから本物の刑事裁判どおりとはいきませんでしたが、手続きについてリアリティを感じる場面もありました。  今回は、私が良くできていたと感じた尋問の場面を取り上げたいと思います。なお、ネタバレはありませんのでご安心下さい。 尋問では証人に自由に物を見せることはできない 長谷川博己さんや堀田真由さんが演じる弁護士が証人尋問をする場面

          ドラマ「アンチヒーロー」から尋問を学ぶ:物を利用した証人尋問