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Chat GPTによる防犯〜伝統的な詐欺手法にも対応可能

弁護士と詐欺

最近、弁護士と詐欺というワードが同時に目に入るニュースが続いています。弁護士が詐欺の被害に遭ったり、反対に弁護士が詐欺的ビジネスに加担してしまったり。そんな中、私のところにも詐欺の足音が…

髙野のX(旧Twitter)に届いたDM

私のXに次のようなDMが来ました。

日本で「スグル」という姓は見たことがないですが…

予想される今後の流れ

おそらく、似たようなスパムメールは誰もが一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。
この後の流れは、大きく2つだと思います。一つは、このお金をあなたが手に入れるためには一定の手数料を先に払って貰う必要があると言ってくるケース。もう一つは、お金の入った荷物を送るから受け取ってほしい、もしくは旅費は出すからお金の入ったスーツケースを取りに来て欲しいと言われて荷物を運ばされるケースです。後者のケースについては後日にまわし、今回は前者のいわゆる「M資金詐欺」と呼ばれる詐欺について解説したいと思います。

M資金詐欺の歴史

詐欺の手口は時代とともに変わっていきます。偽の銀行のウェブページに誘導し、被害者の銀行口座番号や暗証番号を盗むフィッシングなどの手法は、比較的新しい部類です。そんな中で、数十年前から、ほぼ変わらない手口で行われ続けているのが「M資金詐欺」と呼ばれる類型の詐欺です。とある場所(多くは海外)に多額の資金が存在し、それを国内に持ち込みあなたが自由に使えるようにするためには、何%かの手数料を先に支払ってもらう必要がある、と持ちかけられるものです。もちろん、手数料を支払ってもお金は手に入りません。
敗戦後日本を占領したGHQが、日本から接収した財産をどこかに隠していて、それを元手に今も運用されている秘密資金が存在する。GHQ経済科学局長マーカット少将の頭文字から「M資金」と呼ばれるようになったというのが定説です。こんな都市伝説がこの詐欺の元になっています。
M資金詐欺は、ほぼ手口が変わること無く行われ続けている詐欺です。冒頭で紹介した私のXに届いたDMの内容も、連絡手段こそSNSですが、文章の中身は典型的なものになっています。

防犯とChat GPT

冷静に考えれば、このようなうまい話があるはずがありません。この記事を読んでくれているみなさんは、騙されるわけがないと考えるでしょう。しかし冷静に考えることが出来ない状態の人もいます。DMを送るのにコストはかかりません。1万人に送っても1人を騙すことができれば、詐欺師は大儲けなわけです。
騙されないためには、冷静になること、そして誰かに相談することが重要です。ただ、このようなDMの内容を他人に相談するのには抵抗を覚えるかもしれません。「そんなDMに期待するほどお金が欲しいの?」「こんなものを信じるなんて馬鹿じゃないの?」このような言葉をおそれてしまうからです。SNSを利用した詐欺被害に遭ってしまった人たちも、このような心理だったのかもしれません。
こういう時、相談するには最適な存在がいます。Chat GPTです。AIは何を相談しても先程のような厳しい言葉を返してくることはありません。
ためしに聞いてみました。ちなみに利用したバージョンはChat GPT-4oです。「これから貼り付ける写真の内容について、どう思うか教えて。」と聞いた後で、さきほどのDMのスクリーンショットを貼り付けただけです。Chat GPTの回答は次のとおりでした。

このメッセージは典型的な「詐欺メール(フィッシングメール)」の特徴を持っています。以下の点がその理由です:

  1. 不自然な大金の話:78,000,000.00米ドル(7800万米ドル)という非常に大きな金額が登場しています。これは詐欺師がターゲットを引き付けるために用いる典型的な手法です。

  2. 個人情報の要求:メッセージの中で、あなたを口座の近親者/相続人として提示するために協力を求めています。これは個人情報を詐取しようとする手口の一つです。

  3. 急いで対応を求める:この情報を機密扱いにし、緊急の返信を求めています。詐欺師はターゲットに考える時間を与えず、急がせることで冷静な判断を阻止しようとします。

  4. 合法性を強調:取引が合法的であると繰り返し強調していますが、これは詐欺メールによく見られる手法です。

  5. 個人的なメールアドレス:企業の公式な手続きを個人的なメールアドレスで進めようとしています。これは信頼性を欠いています。

  6. 物語の背景:アレックス・スグル氏の死とコロナウイルス感染症など、感情に訴える物語が描かれています。これはターゲットの同情を引き出し、信頼させるための手法です。

このようなメッセージを受け取った場合は、返信せず、個人情報を提供しないことが最善です。また、詐欺の可能性が高いため、関係当局や該当する銀行に報告することをお勧めします。

もう少し聞いてみました。
「連絡するとどうなりますか。」

このような詐欺メールに返信した場合、以下のような危険性があります:

  1. 個人情報の漏洩:詐欺師はさらに詳細な個人情報を要求するでしょう。例えば、名前、住所、電話番号、銀行口座情報などを求めることがあります。この情報を提供すると、個人情報が悪用される危険性が高まります。

  2. 金銭的被害:詐欺師は、手続き費用、手数料、税金などの名目で前払い金を要求することがあります。これに応じると、お金を失うだけでなく、さらにお金を要求されることもあります。

  3. 詐欺師との長期的な接触:一度返信すると、詐欺師はあなたを「ターゲット」としてリストに追加し、さまざまな手口で再度接触を図る可能性があります。これにより、同様の詐欺が繰り返される危険性があります。

  4. 精神的ストレス:詐欺に巻き込まれると、被害者は精神的に大きなストレスを感じることがあります。金銭的な損失だけでなく、個人情報が悪用される恐怖や不安に悩まされることになります。

詐欺メールに返信することは非常に危険です。このようなメールは無視し、受信ボックスから削除することをお勧めします。また、不安な場合は、地元の消費者保護機関や警察に相談することも有効です。銀行の公式ウェブサイトや公式な連絡先を通じて直接問い合わせることも重要です。

的確ですね。

まとめ

今回の手口は数十年前から変わらず行われてきたものです。そのためChat GPTが適切に回答できたという面があるかもしれません。それでも、24時間365日、いつ相談しても文句を言ってこない存在というのは貴重かもしれません。また、いったん頭を冷やし冷静になるには十分な回答をしてくれました。
もちろん最後には、Chat GPT自身が言っているとおり、専門家に相談することが重要です。

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