その犯人、どうして見つかった!?防犯カメラのリレー捜査について
「防犯カメラのリレー捜査」とは?
先日ニュースを見ていて、このような言葉が耳に入ってきました。
警察などの捜査機関は、事件が起きればまず犯人がどこの誰なのかを特定しようとし始めます。そのための手法の一つが「防犯カメラのリレー捜査」などと呼ばれるものです。
弁護士は、刑事裁判のなかで証拠を見ることが出来ます。その中には、捜査機関がどのようにして犯人を追跡していったのかがわかる報告書などが含まれています。今回は、捜査機関が犯人をどのように探していくのか、足取りを追跡していく捜査方法について解説していきます。
事件前後の犯人の足取りを追跡する方法
防犯カメラのリレー捜査
報道で出てきていた捜査手法です。人の足取りを追う上で、現代において最も重要で基本的な捜査手法です。
現代日本においては、防犯カメラはいたるところに存在します。駅や空港などの公共施設はもちろんのこと、デパートやコンビニ、商店街に設置されたものから、個人が自宅玄関に設置したものまで。事件前後の足取りがまったく防犯カメラに残らないケースというのは、おそらくほぼないかと思います。
防犯カメラは画角が固定されていますから、いずれは撮影範囲から外れてしまいます。しかし犯人の進行方向にはまた別の防犯カメラがあり、その先にはまた別のものがある。これらを繋げていく(リレーしていく)ことで、個人を特定できる状況まで辿り着こうというのがこの捜査手法です。
SuicaやPASMOが改札を通った場面
SuicaやPASMOはすべて番号で管理されています。「新宿駅南口の左から三番目の改札を午後5時15分に通ったSuicaの番号」は、警察が鉄道会社に問い合わせればすぐにわかります。そしてその番号のSuicaが次にどの駅のどの改札を通過したのかも、同じデータから確認が取れます。駅の改札にはほぼ確実に防犯カメラがあります。データから確認した時刻に改札を通った人の姿がそこには確実に映っています。そこからはまた防犯カメラをたどる捜査が行われるわけです。
タクシーの車載カメラ
犯人がタクシーに乗り込む場面が防犯カメラに映っているかもしれません。そのような場合、警察はタクシー会社に連絡し、どの車だったかを特定し、そのタクシーの車載カメラの映像を確認します。ここで犯人の容貌がより一層明確になることも少なくありません。タクシーが移動した経路は、徒歩と同様、防犯カメラのリレー捜査を行うことで追跡が可能です。
犯人がどこの誰かがわかる情報が現れるまで行われる
警察が犯人の足取りを追う目的は、映像に映っている犯人がどこの誰かを特定することです。特定して、犯人を捕まえるために探しているのです。
その人物がどこの誰かが特定できる場面というのは、いくつかあります。わかりやすいのは、犯人の家まで辿れたようなケースですが、それに限られません。この点については長くなりますので別の記事で解説しようと思います。
ほぼ確実に追跡は可能
私が経験した事件でも防犯カメラをたどった結果、犯人が特定されたケースは少なくありません。警察が足取りを追うのは、事件後だけではありません。事件を起こす前に事件現場にどのようにして到着したのか、事件前の足取りも追われることになります。
都内、特に23区内の場合、みなさんが想像するよりはるかに多くの防犯カメラが存在します。最寄り駅から事件現場、事件現場から犯人の自宅まで、ほぼ途切れることなく防犯カメラで辿られたケースを見たこともあります。
これらの捜査手法によって警察が犯人を特定するまでに要する時間は、まちまちです。1週間ほどで特定されているものもあれば、もっと時間がかかっているものもあります。ただし、防犯カメラの映像は放っておくとデータが上書きされてしまうため、警察は事件現場付近の防犯カメラ映像をできるだけ早く、できるだけ広く集めようとします。時間がかかる可能性があるのは、その大量の映像を解析して犯人を特定するまでの期間ということになります。
加害者も被害者も、早急に対応した方が良い
事件が発覚しても、犯人がどこの誰かが特定される前であれば、自首が成立する余地があります。自首が成立すれば、刑罰が軽くなるかもしれません。また、その後の示談交渉において、自首したことが反省の態度と評価してもらうことができ、被害者に許してもらいやすくなるかもしれません。
一方で被害に遭った方も早急に行動する必要があります。防犯カメラのデータは永遠に保存されているわけではありません。駅やコンビニなどでは、3日や1週間ほどでデータが上書きされてしまいます。個人が設置したものであれば、さらに短いことも珍しくありません。警察に相談した段階で防犯カメラの映像が消えてしまっていれば、犯人を特定できなくなってしまうかもしれません。
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