大きな視点と小さな視点
小学校の先生で、2児の父、雄剛です。
先日、市内の秋の研究集会ありました。簡単にいうと、市内で各教科の代表者が授業をし、みんなでそれを見て学ぶ会です。
私は体育を見学しました。授業は、3年生「ベースボール型ゲーム」。「攻撃チームが、守りの手薄な空いているスペースを狙って打つ」「全員が参加する」「運動量を確保する」、そして、おそらく授業公開を天候に左右されたくないから体育館で実施したい…ということを念頭に置き、体育館で、常に満塁、バッターはセカンドベース付近から外野に向けて打つ、打つ角度は270度どこに向けて打ってもいい、ボールは飛ばない新聞紙を丸めたもの…という斬新なルールで行われました。
授業検討会では…
・セカンドベースから外野に打つから、ランナーと守りが交錯しないのがいい
・常に満塁だから攻撃チームの人も常に動いている
・塁間の距離が短くて、足の遅い子でも楽しめる
…など、比較的肯定意見が多かったんです。確かに、体育館で、ベースボール型ゲームを同時に3試合やるって考えられないですよね。それを、今回の授業では、安全面にも配慮しながらやってのけたんです。すごいですよね。子どもたちも楽しそうでした。でも、私は何かすっきりしなかったんですよね。その理由を考えてみると…。
大きな視点が抜けているから!
体育館でたくさんの人が動いて、運動量もあるベースボール型をするという意味では、すごいなぁと思うんです。でも…
①低学年からの系統性を考えた時にどう?
低学年では、普通に外で従来通りのキックベースをします。そこでベースボール型の素地を作ったのに、中学年で大きくルールを変えたゲームをする。そして、高学年になったら、また従来通りルールTボール…。本当に中学年だけ斬新なルールにするメリットがあるのか?それよりは低学年でできた素地をもとに、積み上げて系統的に育てていく視点があった方が良かったのではないか?
②ベースボール型ゲームの特性を考えてどうか?
ベースボール型ゲームって、やっぱり「打って、点数が入る」っていう楽しさがありますよね。時には、守りの間を抜いて、普段よりもたくさんの点数を取れた時の喜び!ダイヤモンドを駆け抜ける躍動感、ダイナミックさ!私はこれが野球の魅力であり、楽しさなのではないかと思っています。おそらく、公開授業であるがために体育館で実施を決意し、そのためのルールの工夫をし…。体育館で楽しくできるものにはなったけれど、狭いスペース行われた結果、ベースボール型特有のダイナミックさ、躍動感は失われてしまった…。
授業を突き詰めていくうちに、小さな視点にとらわれる…
これは、よくありますよね。授業を仕上げていく段階で、段々と細かな問題点が浮き上がってきて、それを解決しようと突き詰めていくとうちに、大きな視点が見失われていく…。終わった後に、見た先生方から指摘を受けて、初めて「一番大事にすべきことが蔑ろになっていた…。」ということに気付く…。
これは、授業研究に限ったことではないですよね。仕事のあらゆる場面で起こりがちなことです。小さな視点にとらわれて、最も大切な大きな視点が疎かになっていないか?常にどちらの視点も行ったり来たりしながら意識したいですね。