【2015年12月】チケット ――私の2015年
一
夢みたい。彼はそう思った。まさかいつもだらだらしている自分が、この電車のチケットを手に入れた。最初から、こんなラッキーなことは自分とあんまり関係ないと、ずっと思っていた。ただ、せっかく申し込む機会があるので、一応試すつもりだったが。
彼はもう一度握っているチケットを見つめた。この一年、自信がないとはいえ、やはりこの電車に乗ってからの事ばかり考えていた。「俺の未来はなんと美しい、この電車の目的地についていれば、俺の人生はこれから輝いているに違いない。でも、乗られないな