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【2016年1月】十二年ぶりのトットちゃん

 十二年前、私はまだ小学校の六年生だった。夏の誕生日パーティーで、母から『窓ぎわのトットちゃん』という本をプレゼントとしてもらった。本好きな私にとって、とても嬉しかった。
 本好きと言うけど、本の選び方はむちゃくちゃと言うのも過言ではない。表紙を見て、綺麗だと思うなら、この本にする。今から見ると、子供の時何冊の素晴らしい本を見逃したのかはわからない。最近は随分この癖を治った。この前読んだ『箱の中』は、一つの例と言えよう。
 不幸中の幸い、母からのプレゼントは私の目から見ると結構綺麗だった。手に入れてからすぐ、この本に夢中だった。けれども、あの時の考えは、十二年を経てとっくに忘れてしまった。ただ「ともえ学園」という学校の名前だけ残っている。
 そして、十二年後の今。私はもう一度年女になった。二回目になって、ついにこの本のことを思い出した。もう一度読んでみたい。書店に入って、すぐこの本を見つけた。そしてすぐ買った。すでに持っているのに、もう一度買うなんて、贅沢とも言えよう。でも買った。
 表紙は十二年前より綺麗で新しい。十二年前と同じ、買ってからすぐ読み始めた。読んでいる際に、以前の光景を思い出した。たしかにあの時、六年生の私は、この本を全クラスで進めるだっけ。けれども、本好きなひとは少ないし、誰でも読まなかった。こんないい本なのに。あの時の生活はとてもいい。クラスで友達と一緒に歌ったり、勉強したり(小学生だから深刻な勉強ではなかったけど)、遊んだりした。冬になると、グランドでスキーマでした。
 懐かしい感じ一杯出てくる。十二年を経て、トットちゃんは相変わらず元気な子だ。それよりむしろ、六年生の私のことと言えよう。
 十二年ぶりだ、六年生の自分ちゃん。

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