「革命」の正体を学べる一冊
チェ・ゲバラはお好きですか?
私はいまでも彼がカストロや他の同志と共にやり遂げた「キューバ革命」の理念を信じています。
特に若い頃は「革命」というシンプルなフレーズが持つ力強い響きに憧れました。俺も小説を書くことで文壇を、社会を、いや世界そのものを正しい方向へ変えてやると決意しました。ジョン・レノンが音楽でやろうとしたように。
当然挫折します。鼻を折られ、現実に打ちのめされ、屈辱に塗れました。反動で必要以上に身の程を弁え、上の人が決めた流れに素直に従い、「生きていればそれでいい」「毎日を楽しく過ごせれば満足」となっていきました。たしかにそういう諦観期があったのです。どうせ世の中こんなもんだ、と何事に対しても斜に構えている時期が。
でもまた考えが変わりました。「革命」は起こせます。いや、むしろ起こすべきです。自分のためにも公のためにも。決して暴力的な意味ではなく。
キッカケになった一冊をご紹介します。
著者は語ります。「世界を変革させる代わりに、私たちがまず自分自身を変革する」ことが肝要だと。その真意は「誰かや何かに対して変革を迫ることではなく、社会的な価値観や常識、欲や恐れに取り憑かれている自らのまなざしに革命を起こすこと」であると。
そう、いま必要な「革命」とは世界を変えることではなく、己自身のものの見方を変えることなのです。これならできそうですよね。そして自分も世界の一員。自分が変われば世界のあり方もほんの少し変わります。その積み重ねがやがて大きな力を生むかもしれない。
パンデミックやmRNAワクチン、あるいは「なぜ戦争が起きるのか?」など、タイムリーな話題に対しても著者はかなり踏み込んだ見解を記しています。たとえば「兵器の製造業では、実際に戦争が起こるよりも、戦争が起こりそうな気配でとどめる方が利益を上げられる構造になっている」とか。国防強化について考える際はこういう視点も欠かせないと学びました。
何かが起きてから政府のやり方を批判する。それも大事です。でもよりベターなのは己の中で凝り固まった常識や固定観念を疑い、何かが起きない社会にしていくこと。そして「安全と平和」の幻想に囚われた盲目的な羊にならないこと。
安全と平和。最大級に重要なテーマです。だからこそ大きな力の流れに乗せられ易いと思いませんか?
私を含めた多くの人が自分で考えている以上に誘導されています。本書の143ページに興味深い実験が書かれているので、ぜひ書店で覗いてみてください。幻想と引き換えに国民の自由と権利を奪うデジタル管理社会のディストピアがすぐそこまで迫っているかもしれない。
静かな読書を通じて己の中に「革命」を起こしましょう。社会の前に己を変えましょう。ぜひ。
作家として面白い本や文章を書くことでお返し致します。大切に使わせていただきます。感謝!!!