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「人生に意味などない」と思ったら読んで欲しい一冊

「人生に意味はあるのか?」

誰もが一度は思い悩む命題です。私も散々考えました。今でも明確な答えは出ていません。

答えは各々が各々の日々の中で見つけ続けるしかない。誰かから一方的に与えられて鵜呑みにするような「意味」では、それこそ無意味ですよね。なぜなら他の誰とも違う「自分」の人生ですから。

でも手助けになってくれる本ならあります。それが↓です。

著者は精神科医・心理学者のヴィクトール・エミール・フランクル。ナチスの強制収容所における体験を赤裸々に綴った名作「夜と霧」の著者としても知られています。

題を見てもわかる通り、フランクルは「誰の人生にも意味はある」という立場です。でもいわゆる「楽観主義」に対しては否定的。たしかに「そのうち何とかなるだろう」という開き直りは一時的なメンタル高揚にこそ役立ちますが、根本的な解決には繋がりません。

一方の「悲観主義」は一見ネガティブで後ろ向き。でも著者の捉え方では「冷静に現状を疑い、問題を解決するために行動しよう」という生き方を意味します。一種の思考停止にも似た「楽観主義」とは異なり、こちらは具体的なアクションを推奨するのです。

そして「人生に生きる意味を問う」のではなく「我々は人生から生きる意味を問われている」と彼は考えます。この文脈における「人生」は、明らかにあまり歓迎したくないシチュエーションを含んでいます。

私は未熟者です。いい歳をして人間ができていません。襲い来る苦難や理不尽な逆境に対して「ありがとうございます」とか「この試練が自分を成長させてくれる」なんて優等生のリアクションは嘘でもムリ。素直に「ふざけんな」と頭を掻きむしります。

と同時に「でも逃げたらまた同じ状況が来るんだよな」と考えます。「だったら今ここでクリアしておくか」と。

大事なのは過去でも未来でもなく「今ここ」。フランクルもやはり「現在が全てであり、どんなことが自分を待っているかは誰にもわからない」と書いています。だから先のことなど考えずに「今ここ」でベストを尽くそう、それが結果的に有意義な人生をもたらすと。

もちろん「どうしても今やらなきゃ」と己をむやみに追い詰める必要はありません。一生懸命やってできないのは仕方ない。そして色々トライしてできないことがわかると、同時にできることも見えてきます。与えられた持ち場や活動範囲の中で自分にできること、得意なこと。これがまさに「人生から問われている生きる意味」の答えに繋がると思いませんか? 

そしてフランクルは言います。「『こんな人がいるだけでも、この世界は意味をもつし、この世界のなかで生きている意味がある』とでもいいたくなる感情は、だれもがよく知っています」と。

たとえば好きなアイドルや俳優、アーティスト。スポーツ選手。あるいは家族や友人や同僚や恋人。彼ら彼女らみたいな人が存在している、それだけでこの世界は捨てたものじゃない。そう思える人が誰にもいるはずです。人じゃなくても本や映画や絵画、自然風景でもいい。それらに意味や啓示を感じたのは他ならぬ己自身。つまりこれもまた「人生の投げ掛ける問い」に対する自分だけの答えなのです。

さらに「人生に意味を見出せないと、人は生理的快楽や社会的な力への欲でその欠落を埋めようとする」という鋭い見識も記されています。

書かれているすべてに賛同する必要はありません(私もしてない)。読んで考えて自分なりの答えを見つけることに意味があるのだと思います。ぜひ。

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