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「多数派に染まらなくていい」と学んだ一戦

毎週日曜に掌編小説を発表しています。

文字数は800~1700ほど。多いときでも1800字ぐらいです。400字詰め原稿用紙に換算したら5枚にもなりません。

かつては50枚以内の短編で某文学賞に入選し、300枚超の長編で新人賞の三次選考まで進みました。しかしその先が遠い。ただただ時間が過ぎていきました。

10年やれば嫌でも気づきます。どれだけ汗水を流してももう出ない、掘り尽くしたと。無駄だったとは思いません。良くも悪くも粘るタイプゆえ、このやり方は限界だと心から実感しないと次へ行けなかった。

1年近くを費やして長編を仕上げるサイクルを停止し、短くていいから好きなことだけを書こうと決めました。作家になるためではなく、疲弊した己を救うために創作しようと。おかげさまで「ハードボイルド~」はどうにか続いています。読んでくださる皆さまのおかげですが、自分に合っていたのでしょう。

さてジェイク・リー選手。

G1開幕戦でSANADA選手を5分弱で撃破。しかも技をほとんど出さずに。見事でした。

そもそも彼は危険な大技や派手な動きをバンバン繰り出すタイプではありません。つまりいまのトレンドに即した選手ではない。全日本でやっていた頃は、やりたいことと周囲の求めるものに折り合いを付けようと苦心していた気がします。

しかし昨年のプロレスリング・ノア移籍後、シンプルな顔面キック(FBS)をフィニッシャーにし、手持ちの武器を絞り込んだことで開眼。そして今回の新日本参戦で独自スタイルが完成したと感じました。

短くて簡潔な構成でも面白い小説、胸を打つ作品は数多あります。ならば30分越えのロングマッチや大技のオンパレードだけがベストバウトの定義とは限らぬはず。

己の人生を充実させるために無理やり多数派に染まらなくていい。ジェイク選手のファイトを励みに猛暑の夏を乗り切ります。

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