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「藤浪晋太郎」と「カバー折り」

物事には「タイミング」があります。

山本昌さんや前田健太投手などいろいろな人から助言をもらい、でも安定した結果に結びつかなかった藤浪投手。でもそれはアドバイスが合わなかったわけではなく、本人の努力不足でもないと思っています。

もちろん「俺はこうやって上手くいった。だからおまえも真似しろ」と個々の適性や状況を無視し、己の成功体験だけを根拠にあれやこれやを押し付ける「教えたがり」も存在します。しかしそういう助言の多くは本気で考え込まれてなされたものではなく、無責任な「気まぐれ」の産物。ゆえにアドバイスとしてはカウントしません。

本当に、親身になって試行錯誤して与えてくれたアドバイスがなぜ有効に働かないのか? 己自身の乏しい経験から考えると、その原因は「受容者の意識レベルの低さ」にあります。要は「そのアドバイスを血肉に換えられる段階に達していなかった」と。

藤川球児さんによると、これまでの藤浪投手は「上半身にばかり気持ちが向いていた」そうです。あとは何とか結果を出そうとスライダーを投げたり。つまり「小手先の技に頼っていた」と。不器用で頭でっかちな人にありがちなパターンです。

藤浪投手はランニング量が足りない、と多くの人が指摘しています。実際どうなのかはわかりません。でも仮に量が十分だとしても最初の意識が誤っていれば同じこと。書店におけるカバー折りみたいなものです。努力して何十枚折っても、サイズがずれていたらほぼ使えない。

しかし藤川さんいわく、今年の藤浪投手は「キャッチボールからしてこれまでとは違う」とか。菅野投手との自主トレで根本的な意識が変わったのでしょう。もしくは、多くの先輩からもらったアドバイスと同じ趣旨のことをより立場&目線の近い現役投手に言われ、初めて腑に落ちたのかもしれません。

今年こそ、今年こそと言われて早5年。「今年こそ」本当にやる気がします。静かに見守りましょう。

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