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夢の適齢期と才能の正体

引退した元・阪神の藤川球児さんがYou Tubeをスタートさせています。年末に公開されたプロ野球チップスを開封する動画の中で、メジャーリーグ挑戦を表明していた菅野投手のことに触れていました。

7分21秒から菅野選手の話になります。

要は「メジャーリーグの先発投手で長期契約をしてもらえるのは32歳ぐらいまで」「行くなら20代がベスト」と。藤川選手がカブスと契約したのが2012年だから、当時32歳。2年契約でした。ちなみに菅野選手はいま31歳。今年の秋で32歳になります。

アスリートにはやはり年齢の壁があるんですね。

一方、小説家には年齢制限が存在しません。
先日、21歳の宇佐見りんが「推し、燃ゆ」で芥川賞を獲りました。2012年に「abさんご」で同賞を受賞した黒田夏子は当時75歳でした。「インストール」でデビューしたとき、綿矢りさは弱冠17歳。全世界を席巻した「悲しみよ、こんにちは」はフランソワーズ・サガンが19歳の頃の作品です。

すごく夢のある世界だと思いませんか? 

毎週日曜日に「ハードボイルド書店員日記」という短い小説をここで発表しています。人生の半分以上を費やして試行錯誤を続けた結果、この形が最も自分に適していると判断しました。noteに書くことも含めて。

長編や短編を新人賞に応募する、という態で書くと、どうしても他人行儀で守りに入った作品になってしまうのです。しかも読むのは選考委員ではなく名も知らない業界の誰か。で、理由も基準もわからずに落とされる。不遜にも「そんなのつまらんよなあ」って思ってしまいました。

そこで考え方を変えたのです。「デビューするために書く」のではなく「書きたいものを書き続けて、結果的に何らかの形で本を出せればいい」と。そのためには、まず書いたものを多くの人に読んでもらうのがいちばん。読書メーターで長年レビューを書き続けていますが、それだけではなく、小説やコラム、エッセイみたいなものもどんどん書いていこうと。

草野球で楽しくプレイしていたら、ある日突然プロにスカウトされた、なんてことはまずあり得ません。でも出版業界ではそれに近いことがしばしば起こっています。露骨に狙うのではなく、結果的に辿り着けたらいいなと思っています。辿り着けなくても目的意識を持って日々楽しく過ごせたら十分じゃないか、と。

作家を目指すという夢には「いつまでに」という適齢期がありません。あるとしても人それぞれ。10代の人もいれば70代の人もいる。つまり「いつなのかは自分でもわからない」ということ。いいじゃないですか。何もかも思い通りに運んだら楽しさの感度が鈍ってしまう。上手くいかないことだらけ。だからこそ、たまに上手くいったらビビっと喜べるわけです。

苦しくてもしんどくても報われなくても、最終的には「楽しい」から続けている。これこそが才能の正体だと私は信じています。




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