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虚無と美談のバランス

上本選手はドラゴンズの浅尾コーチと並ぶ「球界屈指のイケメン」だと思っています。プレイや発言から滲み出る姿勢も含めて、とにかくイケメン過ぎました。

たとえば2017年9月の巨人戦で畠選手から頭部に死球をもらった翌日。謝罪に来た同投手に「うまくよけられなくてゴメンな」と伝えたとか。しかもその日の対戦では初球を強振してホームラン!!! こんなにシビれるホームランもなかなかないですよね。

と同時に「あまりこれを美談にしてはいけないのかな」という気もしています。

故・野村克也さんは著書の中でよく「どこが痛い、○○に違和感」と言って休みたがる選手を非難していました。楽天監督時代にも、今年引退した岩隈選手に対して似たようなことを仰っていました。でも野村さんのその考え方がヤクルトの伊藤智仁選手や岡林選手を壊したのも事実。「チームのために無理をして怪我をして野球ができなくなったらどうするんですか?」「選手時代と同じくらいの給料を保証してくれるんですか?」って話なのです。

もちろん会社でも何かと理由をつけてすぐ休む人は周囲から信用を得られません。発言や行動にも説得力が生じません。でもそのことと「己を大事にする」生き方は決して矛盾しない。あくまでも自分第一。その上で組織の事情に目を向ける。そうじゃなかったら「ここまでやったのに」という馬鹿馬鹿しさと虚しさが残るだけだと思うのです。

上本選手を語る際に必ず出て来るのは「怪我が多い」ということ。小さな身体で手を抜かずにプレイしていた証。でも上の人間が上手にブレーキをかけてあげたら、もっと現役を長く続けられたかもしれない。たとえば頭部に死球を食らったら翌日は休ませるとか。もちろんそうしなかったからあのホームランが生まれたわけですし、出場機会を奪われることを嫌がる選手の方が多いでしょうけど。。。

引退を決めた彼の胸に「虚無」が生じていないことを切に願います。近いうちにコーチとして戻ってきて欲しいです。心に残るプレイの数々、本当にありがとうございました!!!

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