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共通項は「速さ」と「正確さ」

専門学校で学んでいた頃、ある先生に「歌って踊れるライターを目指せ」と言われました。要は「不得意分野を持たず、どんな仕事でも引き受けられるようになれ」と。

これは物書きに限らず、多くの職業に当てはまること。たとえば書店員も本を並べて売るだけが仕事ではありません。電話に出たり荷物を梱包したりラッピングしたり。荷受けにも行くし発注や検品、返品もやります。得手不得手は誰しもありますが、どれかは得意で他は全くダメでは厳しい。

ただ一方で「満遍なく平均的にこなせる”だけ”よりも、突出した長所を持っている方が頼りになる」のも事実。上の人間は部下の得意ジャンルを見極めて仕事を振るべきですし、下は下で不明な点があったときに誰に訊くかを把握しておく。「これはこの人」「あの人にこれはNG」など。

阪神タイガースの江越選手は、元々は長打力を買われていた選手です。ただ当たれば飛ぶけど当たらない。「ホームランか三振」という状況が改善されず、いつしか「俊足&強肩が売りのスペシャリスト」というポジションに落ち着きました。近年はスタメンで出ることはなく、専ら代走か守備固めです。

でも面白いもので、クリーンアップを期待されていた頃よりも彼のニーズは高い。特に阪神のレギュラー陣は守備に難のある選手が多いので、彼が出てくるとファンは安心します。ベンチも同じ気持ちなのでしょう。だからどんなに打てなくても一軍にずっと帯同しているのです。

何でもこなせるレギュラーと一芸に秀でたスペシャリスト。両方いないと仕事は回りません。ふたつの組み合わせとバランスが戦力に厚みをもたらし、戦術の幅を広げます。プレイヤー側としては、まず己の売りを理解すること。組織のために何ができるのかと。

ちなみに私の売りは「①豊富な商品知識②品出し&返品及びレジの速さ③ミスの少なさ」。「速さ」と「エラーの少なさ」が武器という点で江越選手と同タイプ。管理職はレギュラー型が多いけどたまに一芸型もいて、そういう人とは話が合います。

江越選手、あなたは間違いなくいまの阪神に必要な存在です。いつも励みにしています。元気に戻ってきてくれる日が待ち遠しいです。




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