フィルムカメラの苦い思い出

最近カメラを悩み続けている.
一眼レフにするか,ミラーレスにするか,コンデジにするか.
ソニーか,富士フイルムか,ライカか,リコーか.

そのくらいで悩みは収まるはずなのに,脳内ではいつの間にかデジタルかフイルムかまで話は進んでいた.否,後退したと言うべきか.

フィルムカメラは現像するまで,どんな風に撮れているか分からない.
それが面白くて,今でもたまにフィルムカメラで撮影を楽しんでいる.

そんな風に,今でこそ楽しめているフィルムカメラだけれど,実はちょっと苦い思い出がある.

初めて”自分のカメラ”を持ったのは,小学5年生のときだった.

当時とっていた通信の学習教材で,ポイントを集めて色んな雑貨と交換できるサービスがあった.その中で私が目をつけたのは,一番ポイントを必要とする”フィルムカメラ”である.

ちょうどその頃,父が性能のいいデジタルカメラを買ったこともあり,カメラに興味を持ち始めていた.私は我慢してポイントを集め,2年経ってカメラをゲットすることができたのだ.

”自分専用”ができた私は嬉しくて,舞い上がっていた.何があるわけでもないのに,友達と遊びに行く度に持ち歩き,シャッターを切っていた記憶がある.

それから半年ぐらいが経ち,私は小学6年生になった.
私の学校は4月に遠足があり,最高学年ともなると行動班の中で”カメラ係”というものが用意された.班内カメラマンである.

周りにカメラを持っている子がいなかったこともあり,私は意気揚々とカメラ係に立候補した.

遠足の日になる.午前中は科学館で,シャボン玉や,重力体験など写真映えするコーナーが並ぶ.テンションが上り,パシャパシャ友達を撮っていたらふと違和感に気づく.シャッターがなんだか軽いのだ.

電子式だったため電池が切れたのかもと,遠足の限られた1000円というお小遣いの中から電池を買って交換する.でも状況は変わらない.

遠足という,小学生の一大イベントで壊れたのである.

もちろんカメラマンのような人もいてくれている.でも自分の班にずっとついていてくれるわけではない.つまり自分の班の思い出の写真が少なくなることを意味するのだ.

それから家につくまで私のテンションは急降下.
後にカメラマンが撮った写真を2枚選べることになったけれど,そのときの申し訳無さから私は1枚しか選ぶことができなかった.

そんな苦い思い出である.

今でもそんな不安から,確認でフィルムカメラの蓋を開けるときがある.
大体はちゃんと巻けているため,感光してしまうのだけれど.

ここまで書き出して,改めてフィルムの危うさに気付く.
フィルムカメラしか持たないのはやっぱりダメだ.

ここはやっぱりデジタルかな.それもしっかり記録できるやつ.
でもフィルムの儚さも捨てられないから,やっぱりサブで持とう.でも今のは大型で重いから,結局コンパクトなフィルムカメラも買うことになりそうだ.

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