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男に生まれてきたかった

男に生まれてきたかった.
女なんてネチネチしていて面倒だから,男のほうが楽だ.
幼稚園生とかでこんなことを言っていた記憶がある.

物心ついて2〜3年ってところで,何が分かると今なら言いたい.
でも小さい自分にそう言わせてしまうくらい,当時は女子の嫌な部分を目にすることが多くあった.

卒園してからも,小学校中学年くらいまで男が良かったと言い続けていた.しかし,ある日を境に言うのをやめた.私の発言を聞いて,母親が悲しそうな顔をしていたからである.折角お腹を痛めて生んだ子が,生まれた性別を楽しんでいなかったらそりゃ悲しくもなるだろう.ごめん,お母さん.

それから,まあ楽しめるようになった.女ならではの面倒事もちょいちょいあったけれども,男も中々ドロドロしていることに気付き,さして変わらないと思えるようになったからだ.

でも最近,また男に生まれてきたかったと思うようになった.

私は理系出身のため,研究室での生活は必然的に男グループの中で過ごすことになった.ある程度は気を使ったり使われたりして過ごすこともあったけれど,同期の仲間として性別関係なくワイワイ過ごしてきた.
特に仲いいメンバーだと旅行にも行っていた.

だけれども,年齢が上がるにつれて,同期の男子も結婚を前提としたパートナー探しや同棲を始めたりしてから,物悲しく思い始めたのである.

好みのタイプとかはあるから,私に声がかからないとかは別にいい.
ただこれからは,明確な理由がないと旅行はもちろん,会うのも難しくなるのではないかと気付いてしまったからである.

研究室の同期といえども男と女である.
サバサバ系女子お馴染みの「本当に女として見られてないし〜」や「私っておっさんだから〜」という言葉を用いたところで,私が生物学的にも社会学的にも女であることには変わらないのだ.

その私が同期と出かけたりしたら,同期の彼女さんはどう思われるだろう.私と同期が実際にどうにかなるのが問題ではない.
ただただ,不快な思いをさせてしまう.心配な思いをさせてしまう.それが問題なのである.

だから,同期の男子に彼女が存在する時点で,私は彼らとの付き合い方を変えなければいけないのだ.極力ジェンダーとして女らしい部分は隠し,集まるにしても同期の中の一人で,たまたま生物学的上女子なんだ感を装わなければならない.

大袈裟だと思うだろうか?
でも,これからも同期と仲良くしていきたい,かつ同期が彼女さんとの中をこじらせないためには,これしか道がないと私は思うのである.

このように私が女である以上,純粋に仲良くしたいだけであっても,
同期の男子との付き合い方はこれまで通りにとはいかないのである.

あーあ,男に生まれてきたかった.

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