【本とわたし】 冬こそ、詩集を読んで「ことば」を温める。
偶然にも12月末から1月にかけて、詩集を3冊買いました。意識していたわけではなく、自然の流れで手にすることになりました。今日はその「詩集本」を紹介したいと思います。
まず、皆さん「詩集」はお好きですか。普段詩集は読まれますか。私が、詩集の良さを知ったのはだいぶ大人になってからで。そのきっかけは、若松英輔さんの詩集を手に取って読んだことがきっかけでした。
当時、私は若松さんのことをほとんど知らず。タイトルと表紙に惹かれて手に取り、中を読んで心に響く言葉があったので買いました。買って1年くらい経ってから、じわじわと書かれている言葉の意味や深さを感じるようになりました。
詩集は、心のお薬です。
詩集は余白も多く、買ったその日に読み終えてしまう。たしかに簡単に読み切れてしまうのですが、そこに綴られているひとつひとつの言葉の重みというか、味わいといいますか。そういうものを噛み締めてみると、けして今日一日で読み終えるものでもない。しばらくしてまた読み返してみると、その言葉の意味がわかったり、自分の中にあったほんとうの気持ちに気づかされたり。削ぎ落とされた短い言葉のなかにあるもの。読みながら揺れ動く、わたしの心。それらを、そっと観察しているようにも思います。
本棚にそっと忍ばせておく。心が辛くなったり、苦しくなったり。しんどくなった時のために。心のお薬みたいに常備しておくのもいいと思います。
詩集 ことばのきせき
大切なことを教えられているようで、買ってから何度も読み返しています。それが一度や二度読んだだけでは分からなくて。5回くらい日にちを置いて読んだところですが、まだまだ汲み取れきれていない。若松さんの詩集は、言葉深くて、自分の心のなかに入れようとするとき、たとえばノートに書いたり、誰かにアウトプットしたり、そういうことが並行して必要となるなと思います。
私にも詩をかけるだろうか、と。そんなことを思わせて頂いたあとがき。
詩ではなくても、じぶんの日記に、毎日何か言葉を紡いでいる。それに救われている。
朝、空が見えます
著者:東直子さんが2017年の一年間、毎朝眺めていた空の言葉。なんでしょうね、ふとした時に読みたくなる。それは、あの世とこの世をつなぐ「空」だからなのかも知れません、言葉の裏にある何か・・・に(うまく言葉にならない)思いを寄せてしまいます。
とくに曇りの日も、雨の日も。こんなふうに、素敵なことばで受け止められたら、いいなと私も思っています。
個人的にもすごくおすすめの詩集です。
暗やみの中で一人枕をぬらす夜は
若松英輔さんの本を読んだ時に、ブッシュ孝子さんのことを知り、またこの詩を知りました。
いつかその本を読んでみたい、と思って一年か二年くらい経ったでしょうか。今だ、と思って手に取りました。
いちばん最初に「本書は、若くして病を患い・・・」と彼女の生涯について綴られていて、そこで泣きそうになって。というか泣いて。
その後の詩は、ゆっくりゆっくり噛み締めました。
彼女がどんな思いでこうして言葉に綴ったのか。そしてもし生きていたら、彼女は他にどんな作品を出していたのだろうかと、思いを巡らせました。
「魂のうた」題してと綴られている若松英輔さんのあとがき(あとがきと言っていいのかわかりませんが)若松さんが見ているその詩の想いを読んで、また心に響くものがありました。『真摯な警告者にもなる』とおっしゃる、彼女が残した最後の詩が、今もすごく心に刺さります。
さいごに
大きな苦しみや辛さのときに、本も読めない、誰にも会いたくない、という状態であった。けれど「書くこと」はずっと続けていた。そこをくぐり抜けたあとに、何自分のできることの中で、ちゃっと言葉を求め自分と繋がっていたんだね、と後から気づいた。
最近になってまた強く、やっぱり「ことば」です。人は「ことば」です、と確信するようになった。
今日もありがとうございます!
今週もお互いにお元気でありますように。