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詩集

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日々生きている中で生まれた詩たちを綴っています。 2014年〜現在までに出来た作品をランダムにアップしていきます。 是非、毎日の隙間に読んでいただければと思います。よろしくお願い…
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2023年3月の記事一覧

【詩】夢

【詩】夢

夢を見ていた
まどろみの中
ほんの短い時間だけ

登る朝日に
水を差された
もう少しだけいたかった

夢から醒めてしまった

鳩の鳴き声
破る朝のしじま
新聞を配るスクーター

夢の景色は
まだここにあるのだが
光の中とけていく

夢から醒めてしまった

【詩】ショッピング

【詩】ショッピング

ふわふわと
足が床から離れそう

数秒おきに
脳の動きが止まり
また覚める

財布の中の暴力

陳列棚にならぶ
僕たち自身

大人たちはイラついて
怒鳴り

子どもたちは泣き疲れて
眠る

【詩】心臓

【詩】心臓

ひとはみんな
心臓という
精巧に作られた時計装置を
胸に埋め込み
生み出される

地球という
ある一点を中心とした
球体の表面で

その一つ一つは鼓動を続ける

古い命が無くなる時に
音は一つ消え
新たな命が生まれた時に
音は一つ増える

ふと身体は
時計を守るための
柔らかな筐体であることに気づく

小さなともしびを
絶やさぬように優しく優しく
包み込んでいる

まるでそこに命が無いのかのような

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【詩】すまあとふおん

すまあとなでんわが
すてきなみらいを
つれてきてくれるんじゃないかな
と、ついついさっかくしてしまって
ついついよけいにさわってしまって
じかんがいつもなくなつて...

すまあとなでんわは
いやじつにゆうしゅうなのです
なにしろすまあとなのですから
だからついついたよつてしまう

でもね
みらいのかのうせいは
わたしやきみのなかで
すこしずつつちかつているものなのです

すまあとなでんわこそ

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【詩】移動する海

【詩】移動する海

日の光や
重力や
風の力に

水分を奪われながら
生きる

日の光や
重力や
風の力を
取り入れることができず

成熟した生き物の
命を奪い
熱を奪い
水分を保って
生きる

一歩一歩
歩みながら
命をかじり
汗はしたたる

我々の中にある
小さな海は
命で満たされ
汗とともに流れ落ちる

枯れないように
海は今日も
移動し続ける

【詩】あくま

【詩】あくま

あくまがぼくにちかより
あまいものをすすめる

とくだんおなかはすいていないのだが
くちのなかはだえきでいっぱいになる

ぼくのなかでぼくがふくれはじめ
あまいものにひきよせられる

からだのそとにでたいのだが
そうはいかない

ぼくはきゅうくつさをかんじ
こきゅうはみだれはじめる

あまいもののこといがいが
かんがえられなくなる

だめだ!
とおもうのだが
それこそあくまのおもうつぼ

あつり

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【詩】うた

【詩】うた

響きが
旋律を呼び

旋律が
言葉を呼び

言葉が
文脈を呼び

文脈が
映像を呼ぶ

それらが
折り重なって

一つのうたができる

【詩】ジャニス

【詩】ジャニス

たがははずされた

意味や感情を取り外された圧倒的な何かが
メロディという道しるべだけを頼りに
彼女の肉体を破壊しながら通り抜け

滝のように、時には大きな岩を乗り越える大水のように吐き出される

歌声となったそれは
空気を揺らし
細胞を微振動させる

みんな訳もわからず踊っている