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「background」は関ジャニ∞楽曲随一の不思議で美しい歌詞。

アイドルに全く興味が無かった私が、関ジャニ∞を好きになった理由は「曲の良さ」だった。そんな彼らの楽曲を語ります。(まさかのシリーズ化!)

シリーズ第4弾は「background」

「background」はまさに隠れた名曲!アニメ『モンスターハンター ストーリーズ RIDE ON』の主題歌である「パノラマ」のカップリング曲だ。

「background」自体も、オロナミンCのCM曲として使われた。

しかし、こちらもライブでは披露されていない曲であり、人気曲として名前を挙げる人を見たことがない。某歌詞検索サイトでも検索率がめちゃめちゃ低い。私は、5本の指に入るくらい好きなのに!!

というのも、この曲はメロディが美しいのだが、歌詞がだいぶ抽象的で難解である。私はよく口ずさむが、歌詞に注目して歌うというより、歌い心地が良くて歌うという感じだ。

今回はその難解な歌詞を、超個人的見解で解釈していきたい。


▶1:僕と君に何があったのか

この曲は、まず初めにサビから始まる。

<サビ>
見えない言葉見つけるために 僕は君を探し続ける
いつかきっと分かり合えたら 言葉のいらない話をしよう

さて、このサビを読んで、何の事について言っているのか直ぐに分かるだろうか?

メロディが凄く綺麗で心地良いので受け流してしまうが、歌詞だけ抜き出すとすんなり頭に入ってこない歌詞だ。全体的に抽象的である。

今、分かることを簡単に整理しよう。

登場人物は僕と君の二人であり、「僕は君を探し続ける」状況である。
「いつかきっと分かり合えたら 言葉のいらない話をしよう」は、僕が君に向かって言っていると推測できる。

とはいえ、「見えない言葉」「言葉のいらない話」は、何の事やらさっぱり分からない。
そして、言葉を見つけようとしているのに、言葉のいらない話をしようとする、矛盾した内容でもある。

さらに、”見つけるために探し続ける”という行為に関しても、重複のような表現である。それぞれの主語は違うものの、中々飲み込みにくい文章だ。

加えて、''見えない''ものを''見つけ''ようとしている。見えないのに、だ。
こうやって整理してみたら、余計に頭がこんがらがってきてしまったかもしれない。とにかく、「よく分からない」と感じてもらえれば大丈夫だ。

これらのことを考えると、この曲はわざと抽象的な分かりにくい表現にしていると考えられる。抽象的に表現することに何か意味がありそうだ。

Aメロでは、君の様子が描かれる。

<Aメロ>
君はいつでも 泣けないまま
強がっていた 一人の世界で
出ない言葉 踏み出す勇気
大切なことなのに どうして…

君はどうやら慢性的に泣きたいような状況だったが、強がって我慢して、孤独になってしまったようだ。

その後の、「大切なことなのに どうして…」は客観的意見なので僕が感じた気持ちと推測できる。
「出ない言葉  踏み出す勇気」という大切なことを行動に移せなかった事実に対しての感想だ。

では、「出ない言葉 踏み出す勇気」を発揮出来なかったのは誰なのか?

①君の場合:我慢せず強がらずに素直な気持ちを言う、という勇気に当たる。
②僕の場合:そんな強がっている君に対して、何か言葉をかける、という勇気に当たる。

前者だと、僕が君に対して「君はなんで本心を言葉に出来なかったんだ…」と素直になれない君を責める形。

後者だと、僕が僕自身に対して「僕はなんで声をかけることが出来なかったんだ…」と辛い状況の君に手を差し伸べられなかった自分を責める形。

どちらが正しいかは決められないが、だいぶ印象が変わるだろう。どう解釈するのか、ここは一旦保留にする。

そして、強がって孤独になってしまった君を救うことが出来なかったこの出来事については、以下「Aメロ事件」とする。

続くBメロは、僕が抱く君への気持ちが描かれる。

<Bメロ>
ありのまま話すよ 君のこと想う気持ち
いつだってそのことを考えてるよ
とても切なくて とても愛しくて いつでも君想うよ

具体的に、二人がどんな関係でどんなエピソードがあったか、というのは分からないが、君に対して「とても切なくて とても愛しくて」という特別な感情を抱いていることが分かる。

また、「いつだってそのことを考えてるよ」「いつでも君想うよ」から、そんな特別な感情を、僕は常に思い抱いていると分かる。
(「そのこと」は君のことを想う気持ちやAメロ事件だろう。)

君という存在は、僕にとって非常に重要であるのだ。


さて、またサビがやってくる。

<サビ>
見えない言葉見つけるために 僕は君を探し続ける
いつかきっと分かり合えたら 言葉のいらない歌を歌おう
見えない思い探し続けて いつかきっと分かり合えるよ
見えない言葉 届け 君の心まで

A・Bメロを踏まえて、再びサビに戻ってみる。

初めのサビで分析した通り、「僕は君を探している」状況である。つまり、僕は、非常に重要な存在である君と離れ離れになっていると分かる。

離れ離れであること、「いつかきっと分かり合えたら」という文言から、Aメロ事件をきっかけに二人の関係に亀裂が入ったんじゃないか?と憶測できるだろう。

Aメロ①②のどちらの場合であっても、僕と君は「踏み出す勇気」が無かったせいで、分かり合えない状況になってしまったのだ。

では、これまで何度も繰り返される「見えない言葉・思い」とは一体何なのだろうか?

今までの話の流れから、一つ頭に浮かぶものがある。それはAメロの「出ない言葉」である。
Aメロ事件において、①②どちらの場合でも、「出ない言葉 踏み出す勇気」が無かった=「言葉として口に出さなかった」せいで、二人は決裂してしまった。

そこで勇気を踏み出すことが出来ず、言えなかった言葉。実際に発していない、具現化されていない言葉であるそれこそが、「見えない言葉」であると考えることができる。

”何と言えば良かったのかは分からない→答えが分からない言葉→見えない言葉”と解釈すると、現在進行形で、あのAメロ事件で言うべきだった言葉は、まだ見つかっていないのだろう。

その答えを探すため、また君と会いたい。君と会うことで、あの時の「出ない言葉」の正解を見つけたい。つまり、君と分かり合いたい。それが、「見えない言葉見つけるために 僕は君を探し続ける」の意味することになる。

となると、「いつかきっと分かり合えたら 言葉のいらない歌を歌おう」は、「見えない言葉」のように言葉が分からないのではなく、単純に言葉がいらない程に分かり合いたいという気持ちだろう。

「答えのないものを模索している」主人公の様子を表すために、あえて全体的に分かりづらい婉曲的な表現を用いていると考えることができる。

だからこの曲は抽象的だったのだ!

今度は、「見えない思い探し続けて いつかきっと分かり合えるよ」の「見えない思い」について。

上記の「見えない言葉」を「''答えがない、分からない、不確か''な言葉」と解釈したように、「見えない思い」というのは「''正確な答えを導いていない、実態がない''思い」であると考えられる。

僕と君の仲はまだ修復していない。お互いの思いは分からないのだ。だからこそ、二人が納得の出来る、またお互いを大切にするという見えない思いを探し続けることで、「いつかきっと分かり合える」のだ。

ここまで、タラタラと解釈したので一旦まとめる。

・僕と君はAメロ事件(我慢していた君を救うことが出来なかった)によって、分かり合えない関係になってしまった。

・分かり合えなくなってしまった原因は、Aメロ事件で「出ない言葉 踏み出す勇気」が無かったことである。

・しかし、肝心の君を救うための言葉は、未だ正解が分からない。だから僕はその言葉の答えを探し続けている。そして、君と分かり合いたい。

ということになる。Aメロ事件への後悔、やり直したい気持ち、やり直せるだろうという希望。僕はあの出来事にかなり執着しているとも取れるだろう。

正解の言葉は何か分からないのに、最後に「見えない言葉 届け 君の心まで」と歌声を放っていることから、僕はもう何がなんでも君と寄りを戻したいようだ。気持ち先行型である。

その気持ちを叫んで、サビ2がやってくる。

<サビ2>
数え切れない景色を 僕ら描いて来たんだ
消えない それは 今も…

僕と君は「数え切れない景色」を描いて来たほどの仲なのだ。そんな二人の思い出は今も消えないほど、大切なものなのだ。

僕が、君を心から大切に思っていることが分かって、この曲は間奏へ入っていく。
この曲は二番が無く、間奏明けに大サビを繰り返していくような構成となっている。そのため、熱い思いを歌うサビ2は、一般的な二番サビ後Cメロの位置と考えて良いだろう。

Cメロといえば、大事な事や本質を伝えるような部分である(当社比)。この僕の熱い思い、決意を、しかと受け止めよう。

さて、曲のだいたいの大枠は分かってきたが、一番大事な問題が残っている。
それは、僕と君は具体的にどういう関係なのか?である。


▶2:僕と君の関係

Bメロの「とても切なくて とても愛しくて」や、サビ2の「数え切れない景色を 僕ら描いて来たんだ」などから、僕と君は相当の仲であると分かる。

もちろん、サビであれだけ君への思い、分かち合いを願っているのだから、二人の関係は並々ならぬものだろう。

そこで浮上する説として、「親友説」「恋人説(付き合っているかはさておき恋愛感情がある関係)」が浮かび上がる。どちらもAメロ事件のようなことが起こりそうな関係だ。

恋人説の方が分かりやすいかもしれない。
恋人が無理して我慢していたことに向き合わなかったから別れてしまった、でもまだ好きであるから復縁したい、という分かりやすい展開となる。

しかし、個人的な感覚だが、恋愛感情を感じるような表現が少ないように思う。曲調や歌詞が、恋愛恋愛していないというか。こりゃ恋人だ!と思える決定打に欠けるように思う。あくまで個人的な感覚だが。

何が言いたいのかというと、僕と君の関係について、私は別の考えを持っている。

それは、「僕と君は同一人物説」である。

初めてこの曲を聴いた時から、私は感覚的に「僕は僕自身に語りかけているな」と思った。個人的にそれが一番しっくりくる。

特に恋愛曲の関ジャニ∞は、かなりアイドルテクニックを駆使していて「ドキッ」「キュン」な歌い方をするし、ビブラートを中心とした重い感情表現をかなり丁寧にしている印象がある。

その点、この曲は「対恋人」(≒曲を聴くファンとの疑似恋愛)を感じられないのだ。さらに、関ジャニ∞お得意の応援ソングの感じともちょっと違う。だから、この曲を送る相手が外にいないように感じるのだ。

しかも、「僕=現在の僕、君=過去の僕」としてこの曲を聴くと、納得できる箇所がいくつかあるのだ。

一つ目は、Aメロ事件である。

<Aメロ>
君はいつでも 泣けないまま
強がっていた 一人の世界で
出ない言葉 踏み出す勇気
大切なことなのに どうして…

「同一人物説」で解釈すると、今の僕が過去の自分を回想しているシーンになる。私は幽体離脱みたいなイメージが浮かんでくるが、当時の自分を客観的に見ている感じだ。となると、一人で強がっていたのは自分自身だったのだ。

そして、先程保留した、「出ない言葉 踏み出す勇気」を発揮出来なかったのは誰なのか問題。同一人物説で解釈すると、①②の両方が、同時的な強い感情として表れる。

①今の僕が、君(=過去の僕)に対して「君はなんで本心を言葉に出来なかったんだ…」と君を責める(怒りに近い)のも、②今の僕が今の僕自身に「僕はなんであの時何も言えなかったんだ…」と責めている(落ち込みに近い)のも納得である。というか、①≒②である。

過去の自分に対して「どうして…」と思う時はまた、今の自分にも「どうして…」と思う時なのだ。

そして、僕はAメロ事件に強く執着している。僕にとってAメロ事件はトラウマであり、そんなトラウマと向き合おうとしている状況なのかもしれない。

皆さんも経験がないだろうか?
あの時、我慢の果てに封じ込めてしまった自分自身。何か理不尽な理由で(もしかしたら大人になるために必要な段階として)、本来の素直な自分を切り捨てて、新しい自分になった。過去の自分を殺してしまった。まるで、過去の自分と今の自分が別人のように感じてしまうような感覚。

今の自分になる前に、存在していたはずのあの自分に向けて歌っているのではないだろうか?


そして、二つ目は、サビを中心とした抽象的な歌詞である。

「見えない言葉見つけるために 僕は君を探し続ける」……という抽象的で分かりにくいサビ。先程、「答えのないものを模索している僕の様子」を表現していると述べた。

その模索している場所が、僕の頭や心の中、つまり向き合ってこなかった自分の記憶や感情を描いているとしたら、抽象的で然るべきではないだろうか?

過去の自分を、自分の頭や心の中から探し出して分かり合う=過去の自分を救うということは、非常に複雑で難しいことである。だからこそ、その物凄く内向きで深い深い感情を、文字という媒体で的確に表現するのは厳しい。

何なら、僕自身に向かって思いを届けているのだから、そもそも''分からなくていい''のだ。あの時の自分ときちんと向き合えれば、自ずと答えが分かるのだ。僕と君は一人の人間なのだから。(ある種、自己完結している。)

「見えない言葉 届け 君の心まで」と気持ちが先行しても問題ない。あの清々しいほどの真っ直ぐな歌声とメロディは、複雑な記憶や感情をかいくぐり、奥深くにいる過去の自分に目掛けているように感じる。

僕は過去の自分と向き合い、分かち合い、救い出すことを決意した。「僕は君を見捨てない。君は僕なんだ、君があったから僕なんだ。」と、過去の自分を認めることを決意した。

だから、サビ2(実質Cメロ)で、「数え切れない景色を 僕ら描いて来たんだ 消えない それは 今も…」と続く。

過去の自分が今の自分を構築している。一緒に育んできた景色は消えない。過去の僕は、今の僕の中で生き続けているのだ。

そう、何を隠そう、この曲のタイトルは「background」。

過去の自分と一緒に、数え切れないほど描いて来た景色=バックグラウンドがあって初めて、今の自分がいるのである。

このタイトルこそが、同一人物説の最大のしっくりポイントなのだ。


▶3:大サビ、気になるあの音

そして間奏明けに入る歌詞。

<間奏明け>
君の声は明日へ

見えない思い探し続けて いつかきっと分かり合えるよ

「君の声は明日へ」はCメロの延長みたいなものである。過去の自分である君の声(考えたことや思い)は、明日の自分を形成する。まさに、直接的に、君の声は明日になるのだ。

そうやって、バックグラウンドあってこその今を感じていく。

そして、静かな演奏の中で歌う「見えない思い~分かり合えるよ」は、バックグラウンドを踏みしめるように歌われる。そして、かすかに鉄琴のような高音が聞こえるはずだ。

この高音は「background」の前奏やサビですでに使われており、耳に残っていると思う。「♪見えない言葉」と同じメロディを奏でているので分かりやすい。

しかし、ここでだけメロディではなく、カッカッ……カッ……とリズムを刻んでいる。まるで鼓動のように、時を刻んでいるように感じられるのだ。そう、今まで自分が歩んできた道筋を思い描くような音だ。(オリジナルカラオケ聞いてくれ~)

まさに、バックグラウンドを駆け巡る、過去と向き合うような決意を感じる。そんな経緯を経て、過去の自分を辿るようにして聴く大サビは圧巻である!


<大サビ>
見えない言葉見つけるために 僕は君を探し続ける
いつかきっと分かり合えたら 言葉のいらない歌を歌おう
見えない思い探し続けて いつかきっと分かり合えるよ
見えない… 言葉… 届け…


僕は君を探し続ける

最後の「僕は君を探し続ける」は、今までの歌唱メロディではなく、イントロの高音のメロディに戻る。

おさまりが良いからといったらそれまでだが、イントロのメロディに戻る=また再びこの曲を聴くときには、それまで聴いた時間がバックグラウンドになるというような遊び心も感じる。

さらに、渋谷ソロの後ろで鳴る高音は「続ける」の部分まで演奏されない。まだ未完成であり、継続していくという表現でもあるだろう。この曲は過去を回想する曲でありながら、”今”も後に”過去”を形成することを強く表現していることから、逆に未来的な曲とも言える。「君の声は明日へ」がまさにその特徴的な未来要素であるだろう。

先ほど述べたように、関ジャニ∞特有のビブラートや混ざり声も少なく、かなり真っ直ぐな歌い方をしていることからも、自分の過去や未来という遠く実体のない場所向かって想いを伝えようとしているように感じられるはずだ。内向きに聴こえる歌声も、一周回ってとんでもなく外向きに感じる。


▶今すぐ「background」を聴いて!!

なんだか長々と分かりにくいことを書いてしまいました。

何言ってるか分からなったという人も、とりあえず、「同一人物説」として一度聴いていただいて、何か感じてもらえれば私は満足です!!

歌詞分析は苦手…という人も、エイトの歌い方が恋愛や応援とはちょっと違うな?という感覚はきっと感じてもらえるでしょう……多分……!!

もちろん歌に正解は無いので、どんな感想を抱いても良いわけですけどね。

そういえば、オロナミンCのCMソングだったわけだけど、「前向きスクリーム」とは違うベクトルで、背中を押してくれる曲だなと思う。タイアップ強し。

改めて、私がこの曲を大好きなのは、やっぱり初めて聴いた時、メロディ心地よさと「あ、僕は僕自身に歌っている」と感じた瞬間の衝撃があったからだと思う。

私も、過去の自分に対して手を差し伸べてあげられなかったな……と思うことがあるから、より刺さるのかもしれない。(関ジャニ∞達本人のバックグラウンドとして聴いても感動するかもね……。)
ライブで聴きたいけど、生で聴いたら奥深すぎて絶対泣いてしまう。

とにかく、「background」をぜひ今一度聴いてみてほしい。そして、何か感じてほしい、言葉にするのが難しい何かを。

僕も、君として背中を押せる僕でありたい。


🌈最後までお読みいただきありがとうございます

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