監督から母へその6

「禁断の自宅ロケ」

2010年のこと。「性別に違和を覚える子供たちが、小中学校で辛い思いをしている」その現状と課題を伝えるニュースリポートを作りたいと、NHKワールドに提案をしたとき、耳を傾けてくれるプロデューサーは少なく、とても苦労しました。

それから2年後の提案は、打って変わってとんとん拍子に進みました。2012年9月、まずNHKワールドにて、ニュースリポートを放送することができました。さらに、そのリポートがとても好評だったので、NHK総合「おはよう日本」でも放送しようということになりました。

その時考えたのが「もっと空雅さんの思いを聞き込みたい」ということでした。じっくりと話を聞くためには、ご自宅にお邪魔して普段の生活の様子を撮影するとともに、プライベートな空間でインタビューすることが最適だとおもいました。さらにご家族がどう向き合っているかも取材できると思いました。

のちに「くみちょ。」と呼ぶことになる、空雅さんのお母様にそのお願いをしたときに来た返事は、「一番恐れていた自宅ロケ(笑)汚すぎる部屋は、ボカしていただけるのですか?私の顔は、出ませんよね?声と後姿のみとか、顔は、ボカすとか(~_~;)」でした。誰でも、自宅にカメラが入るのは躊躇してしまうものだと思います。ましてやそれが日本全国に流れるのですから!

それでもくみちょ。と空雅さんは、私の願いを聞き入れてくれました。

スクリーンショット 2021-12-01 18.40.54

私は、少しでもリラックスしていただこうと、フルーツジュースとケーキを買っておもちしました「撮影が終わったら、みんなで食べましょう!」

2人でケーキの用意をしてもらうシーンは、ほのぼのとしていて、親子の気のあった様子が感じられます。

2人のかけあい漫才のようなインタビューシーンは、2人で苦労を乗り越えてきた同志的雰囲気を醸し出していました。

少しですが、未公開シーンをどうぞ。

https://youtu.be/Vu2cyJNuCsY

さすがNHK「おはよう日本」。500万人が見てくれました。反響も大きかったです。

くみちょ。からはこんな感想メールが届きました「初めての事で、戸惑いもありましたが、とてもいい時間を過ごす事ができました。番組は2人して、ブサイクだな~とか、二重あごだとか言いながらも、その内容はとても良く、空雅の苦しさ辛さ、そして今の、笑顔がきちんと表現されていたと思います。空雅、しっかり育ってくれてるな~と、我が子ながら、感慨深く映像を見ていました。テレビに出られるなんて、本当にすごいと思います。ありがとうございました!」

くみちょ。今振り返ってあの恐怖の自宅ロケいかがでしたか???

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