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個人の時代と深まる絆

個人が組織に依存せず、一人でも繋がりながら働く時代になりつつある。形態でいうところのフリーランスだ。
しかし高度に発達した情報化社会では、「役に立つ」だけの機能やスキルではすぐに模倣され勝負にならない。
これからの時代は「ほかの誰でもなく、あなたに頼みたい」といわれるような誰かにとって意味のある存在になることが求められる。
信頼の価値になるのは偏差値や、SNSのフォロワー数ではない。そうした数字のお化けに負けず、実践で証明された経験を持つ存在になることが求められている。
特定の誰かにとって意味のある存在になることは、いずれ何者かになることに繋がっていく。そのためにはまず数字を追いかける世界から降りなければならない。
コロナショックで大打撃を受けた農業や漁業の関係者たちがFacebookを使ってサポートし合う様子は印象的だった。
このようにこれからは個人も「互助・共助のつながり」を作っていくことが重要になる。

与える行為には二種類ある。一つが自分の視線で行うギブ。二つ目が相手の立場になって行うギブだ。後者の相手の視点に立ったギブを続けていると信頼関係が築けてくる。
相手が自分のことを好きになってくれれば「私」は相手にとっての何者かになっていることだろう。自分の思考に相手の価値観を反映させていくことは視野を広げることにもなり、自己成長を促すことにも繋がっていく。
相反する考えであっても、この時否定的な気持ちで受け入れるのではなく、こういう考えがあることを知れてよかったと、ポジティブな気持ちで受け入れよう。また賢くなれたのだから。
アプダクションとは帰納法と演繹法の中間の考えである。
帰納法はたくさんの事実から一つの真理を導く方法。
演繹法は原理から世の中の現象をとらえる方法だ。
だからアプダクションとは世の中の少数のデータから帰納法で仮説を導き、その仮説を演繹法でほかのグループにも検証・転用してみることを意味する。
こうして既存のビジネスのキモを見つけて抽象化し、他のビジネスに転用して新ビジネスを作り出せるのがアプダクションの強みだ。
これまでの資本主義では、「お金」や「コンテンツ」「事業」などが資本の中心となっていた。それがクラウドファンディングなどの登場により、「人的資本主義」の時代へと移行しつつある。ここでいう人的資本とは、信用と信頼を指す。信用が高ければ安心して低金利でお金を貸せる。つまり、信用はリスクが低いことを示す。
一方で信頼はこの人ならと特別感が付与された価値を生み出す。信頼があれば相手を疑うコストをかけずに済む。ものすごい早さで連鎖的に人と人が繋がって科学反応を起こしていくこともできる。
信用と信頼はいわば個人が生み出す資本である。肝心なのは、その信用が勝手に増えリターンを生み続けることだ。スピードの速い変化の時代には必要な人的資本であるといえる。
好きで続けているうちに誰かにギブできるレベルに到達し仕事につながることもあるだろうが、それは結果論に過ぎない。
いつかはライスワークではなく、ライフワークで食べていけるようになることがゴールなのではない。自分なりの視野を広げ自分なりの物差しを持つ生き方につなげることの方が大切なのだ。
自分が楽しいと思うことに取り組み結果的に感謝されることになれば、こんなに幸せなギブは他にないだろう。
個人の力で生きていく時代にはリアル、オンライン問わず人とのかかわり方が問われる。
人脈というと何の価値もないような言葉に感じがちであるが、価値ある人間関係を築くためにも自分の価値観を発信して共感してくれる人を見つけることが大事だ。
ただ正反対の価値観を拒絶するのではなく、一つの考え方として自分にも反映させることが自分の成長を促す。
一人の力で立つのは企業が支えてくれた時代に比べると不安定だ。だからこそ、共助・互助をし合える信頼関係を重視しよう。
個人の時代というと、誰にも頼らず自分だけで生きていく孤独でエゴイスティックなディストピア的な世界を連想しがちだが、助け合う関係はより一層重要になる。
「人間関係なんて邪魔だ。俺は一人で生きていく。」と殻にこもるのではなく、積極的に人を利用していこう。そのためには自分も相手にギブをすること。

助け合いの時代

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