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くにん
2021年5月26日 23:02
「ハァ、どこか、どこかに隙はないか・・・・・・。ハァ、ハァ」 冒頓ほどの強者であっても、視界が狭くなるということがあるのでしょうか。母を待つ少女の奇岩の隙を探す、そのことに意識を集中していた彼の体の動きが僅かに鈍ったのを、母を待つ少女の奇岩は見逃しませんでした。 パシィイン・・・・・・。 母を待つ少女の奇岩の左腕が下から上へ跳ねあがり、冒頓が握っていた短剣を上空へ跳ね飛ばしました。 短剣は
2021年5月23日 19:59
ザァアッ。 二人の間を、一陣の風が吹き抜けました。 その風が二人の体をその場に留めていた何かを、取り去ってしまったのでしょうか。 風が通り過ぎた次の瞬間に、冒頓が、そして、母を待つ少女の奇岩が、相手に向かって走り出しました。 冒頓に向って正面から走り来る母を待つ少女の奇岩は、両手をだらりと後ろに伸ばしていました。冒頓は先ほどの戦いで、砂岩でできているはずのこの両手が鞭のようにしなって仲間
2021年5月19日 23:43
「チィィ、くそっ」 冒頓は短剣を横に払って彼女の胴を切ろうと動きましたが、既に彼女は彼の横を走りすぎて後続の男たちの中へ飛び込んでいました。 足を止めて多数の者に取り囲まれるのを嫌っているかのような彼女の動きは、冒頓たちが騎馬で多数の者と戦う際の動きに似ていました。実際に自分たちよりも素早い彼女にこのように動かれると、冒頓たち護衛隊にとって非常に厄介になるのでした。「そら、そらぁっ! くぅっ
2021年5月15日 22:47
冒頓の心の中で鳴り響いていた警報は、母を待つ少女の奇岩の姿に即座に反応しました。「アレは危ない! アレは危険だ! 逃げろ! 逃げろ!」 もちろん、逃げるという選択肢など、冒頓が選ぶはずはありません。それでも、これまでに彼が様々な相手と戦って培ってきた経験は、なんとか彼の足を反対に向けようとして、心が割れんばかりの勢いで警報を鳴らし続けるのでした。「どこがどう変わったか知らねえが、迫力だけは
2021年5月13日 22:01
「おいおい、何を始める気だ。冗談じゃねぇ、付き合っちゃいられねえぜっ」 母を待つ少女の奇岩が何を行おうとしているのか、冒頓にわかるはずがありません。しかし、「アレを放っておいてはいけない」という警報が、彼の体内で鳴り響いていました。 それに、母を待つ少女の奇岩が、煽り言葉に反応して後退するをやめて冒頓に注意を向けてくれたのは、この上もない好機です。この機会を絶対に逃すわけにはいきません。「い