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夫と二人で東南アジアの旅⑨数時間前まで違う国にいたという不思議な感覚

こんにちは、住川晴代です。
2018年9月のシルバーウィークに夫と東南アジアを旅した時の旅行記を綴っています。

前回のお話はこちら。
夫と二人で東南アジアの旅⑧同じことが私にも出来るかな

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9/21 シェムリアップからバンコクへ入国!

今日はいよいよカンボジアを出国してタイ・バンコクへ向かう。
予約していたバスの乗り場まで宿のオーナーが送ってくれた。

乗り場はターミナルになっており大型のバスが何台も止まっていた。
私たちはバスでカンボジアの国境ポイ・ペトまで向かい、そこから歩いてタイに入国しタイ側の国境であるアランヤプラテートから電車でバンコクに向かう予定だった。

バスの正面に書かれている文字が読めず何回もポイ・ペト行きかを確認するも、全部違う模様。
もう出発時刻の8時だけどな…と思ったその時、ちょうどポイ・ペト行きのバスがターミナルに入ってきた。

公共機関が遅れてもイライラすることがないのは海外にいるからだろうか。
日本にいる時と違って心に余裕があるからなのだろうか、分からない。

荷物をバスの下に入れ定刻を10分遅れで出発した。

大きなバスが狭い道を走る。舗装されていない道路を走っているとバスが跳ねた。
運転手は携帯電話を操作しながらバスを運転している。日本では絶対に見られない光景だ。なんなら、運転手が業務中に携帯電話を操作していようものならニュースで取り上げられるレベルだ。
そんな日本よりも私はカンボジアの方が好きかもしれない。

シェムリアップからポイ・ペトまでの道中は栄えている地域→田舎→栄えている地域→田舎の繰り返し。
バスが止まったかと思えば現地の人が乗ったり降りたりしている。
このバスもまた、現地の人の移動手段になっているのだろう。

ポイ・ペト付近まで来るとカンボジア国鉄の単線が見えた。
カンボジアでは内戦の影響もあり線路全てが機能しているわけではない。
内戦は1992年頃まで行われていたがそれから約30年たった今でもこの状況であることを見ると、第二次世界大戦で敗戦した日本が高度経済成長を経て先進国まで上り詰めたすごさを実感する。

バスはポイ・ペトに入ってから何回か停車した。その度にここが終点なのかが分からずきょろきょろしていると、通路を挟んで斜め後ろに座っていた女性が英語で訪ねてきた。

「バンコクに行くの?」

「そうです」と答えると「まだ降りる場所じゃないわ」と教えてくれた。このやり取りの次に止まった場所が終点のようだった。声をかけてくれた女性に御礼を言ってバスを降りた。

イミグレーションは人でごった返していた。欧米系と日本人バックパッカーが多い。私たちは入り口から遠いカウンターに並び順番を待った。前の人がなにかに注意されていて出国手続きを踏めなかったようでそれを見て私たちも一瞬不安になったが、問題なく出国手続きは完了した。

そのあとはタイ側の国境まで歩いた。屋台に囲まれた道を通り、バイクや車で溢れる道を渡ってタイ側に続く橋を渡る。

この橋の途中にタイとカンボジアの国境がある。

国境を越え、タイ側のイミグレーションへ入った。
これまたどうすればいいのか分からずきょろきょろしていると、私たちの前を歩いていた日本人がアライバルカードを私たちに渡し「書いて上に行けばいいみたい」と教えてくれた。

その方は全く面識の無い人だったが、海外に日本人がいるだけで親近感が沸くし困っている日本人がいたら助けようという気持ちになるのが海外を旅することの面白さの一つでもあると思った。

アライバルカードを書いたあとはその方の助言の通りに二階へ向かった。
列に並び空いたカウンターで順次手続きを進めていく方式だ。
夫と私は何事もなく手続きを終えタイに入国した。

イミグレーションを出てからタイの国境の最寄り駅のアランヤプラテート駅へ向かう。最寄り駅と言ってもかなり離れているので歩きで行くと30分~1時間程度はかかる距離だった。
私たちはトゥクトゥクに乗るつもりだったがタイの通貨を持っていなかったので先に両替をする必要があった。

両替の場所を聞くためにもトゥクトゥクがたくさん並んでいるところに向かった。

最初に目があった人の元へ行き両替が出来る場所を聞くと近くにあるとのこと。
しかし私たちは昨日のケガで足を引きずって歩いていたので出来れば歩きたくはなかった。

「トゥクトゥクで両替所まで乗せてくれないか?」

とお願いすると「ダメだ。歩いて行け」と言われる。
ちょうどその時ロングスカートを履いていた私はスカートを少しまくり上げ膝の傷を見せてアピールした。

「私、ケガをしているから歩くのが大変なんだ。」

傷の大きさを見て観念してくれたおばさんがお兄さんに合図してトゥクトゥクで両替所まで連れて行ってくれた。
夫が両替から戻ってきてからはそのままアランヤプラテート駅まで向かった。

アランヤプラテート駅までの道路は数時間前までいたシェムリアップとは異なり片道3車線の大きな道路だった。
道の途中、事故があったのか女性が地面にうずくまっていてその人を囲うように人だかりが出来ていた。

いよいよタイに来た実感が湧いてきた。

アランヤプラテート駅に到着し両替所にも寄ってくれてありがとうと御礼を伝えて駅舎に入った。

ホームやベンチにはバックパッカーや現地の人が数人いる程度だった。

それもそうだ。アランヤプラテート駅からバンコクのファランポーン駅まで7時間もかかるのだから、きっと多くの人はバンコクまでバスを使うのだろう。私たちが電車を使ってバンコクに行くことにした理由は、タイという国について知りたかったからだった。バスに乗れば速くバンコクに着くかもしれないが電車に乗って現地の人と同じ空間にいる方がより現地のことを知れるかもしれない。そういう想いからだった。
でもそんなクレイジーな行き方をする人が私たち以外にも少なからずいるということが、この旅で分かった。

駅舎に入ったときはチケット売り場がまだ開いてなく、売り場の中にいた女性に聞くと30分後に開くということでそれまでは駅前の小さな売店で食料品を買ったり写真を撮ったりしていた。

チケット売り場が開きバンコク行きの切符を買って電車に乗り込む。
扇風機の近くでかつ直射日光が当たらない席を陣取って足を伸ばした。

9月の東南アジアはとにかく暑くて湿気が多く汗が止まらない。
定刻の13時に列車はアランヤプラテートを出発した。

最初はゆっくりと走っていた電車は徐々にスピードを上げて田園風景の中を走る。
ここは本当にタイなのか、と思うぐらいひたすら田園風景が続いている。

田園の中の電柱を見て夫が「この地域も水没してるじゃんか!」と言っていた。
カンボジアよりは水没していないがタイの田舎も所々に水没があったようだ。

走ってどれぐらいたったかは覚えていないが車内販売のおばちゃんがやってきた。
小学生の時に掃除で使っていたアルミのバケツにガパオライスの弁当が入っていた。私は以前も食べたことがあり美味しかったことを憶えていたので今回も頼んだ。今回食べたガパオライスはレモングラスが効いていた。以前はレモングラスの味したっけな~と思い返したがその記憶は無かった。ガパオライスの味が変わったのか、以前も入っていたが今回は私がレモングラスを分かるようになったのか分からない。

カンボジアをバスで走っている時は町→田んぼ→町→田んぼと続いていたがタイも同じだった。しかしカンボジアほど田んぼに奥行きが無かったので景色として少し物足りない。

列車が出発した時から窓を開けていたのだが途中いきなり音を立てて落ちたときは驚いた。どうやら私たちが座った席の窓は壊れていたようだ。直らないので放置した。

夫は疲れが溜まっていたようでひたすら寝ていた。
昨日バイクで長時間走ったあげくケガをしそのまま今日バスに4時間ほど乗って今7時間かけてバンコクへ向かっているわけだから当たり前か。

海外はリゾートしか行かないから。と言っていたのにこんな野蛮な旅に付き合ってくれて心からありがとう。と心の中で思った。

途中で車掌さんがチケットを見に来た。私たちがチケットを渡そうとした時、通路挟んで隣に座っていた女性が「パスポートだよ」と教えてくれた。
外人が乗っている場合はパスポートを確認しているのだろう。夫が先にパスポートを見せた。すると車掌さんがどこから来たの?と聞いてきたので「日本です」と答えるとニコっと笑って私のパスポートは見ずに去っていった。

日本の評価は高いなぁと感じた瞬間だった。

バンコクに近づくにつれて街が都会になってくる。
高速道路が見えたりして、他のアジアの国より発展していると感じる。
つい数時間前までいたカンボジアとタイの違いはなんだろう?

終点のファランポーン駅に着いた。
6時間は思っていたよりもあっという間だった。
ホームには寝台列車が止まっていた。日本の寝台列車に乗ったことがないのに海外の寝台列車がどういうものか前々からとても気になっていた。ラオスのビエンチャンまではバンコクから寝台列車が出ていることは知っていたので、次はこれに乗ってラオスに行くんだ!と心に決めた。

宿に向かうべくタクシーを捕まえに、足を引きずりながら駅を出た。

夫と二人で東南アジアの旅⑩たくさんの優しさに触れた9日間に続く。

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