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夫と二人で東南アジアの旅⑩たくさんの優しさに触れた9日間

こんにちは、住川晴代です。
2018年9月のシルバーウィークに夫と東南アジアを旅した時の旅行記を綴っています。

前回のお話はこちら。
夫と二人で東南アジアの旅⑨数時間前まで違う国にいたという不思議な感覚

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9/21 シェムリアップからバンコクへ入国! 続き

駅を出るとすぐにトゥクトゥクの客引きに声をかけられたが、無視して真っすぐに進むとタクシーの乗降場所でタイの軍人らしきおじさんがタクシーに乗りたいお客さんを仕切っていた。

おじさんがタクシーを目の前で停め、お客さんから聞いていた行先を運転手に伝える。そしてタクシーはお客さんを乗せて発車する。
軍人らしき人が仕切っていることもありここに停まるタクシーは管理されてるのだろう。
外国人である私たちにとっては安心してタクシーに乗ることが出来る。

私たちの番になり、おじさんにAirbnbの住所を見せた。
ところがおじさんは顔をしかめるばかりで場所がどこなのか分からない様子だった。
すると既に停まっていたタクシーの運転手もやってきて「見せて」と言ってスマートフォンの画面をのぞき込んだ。
しかし運転手も同じく確かな場所が分からない様子だった。

おじさんと運転手で「あそこの近くだろう」「いや、あそこの裏だ」とやりとりをしていることが会話のジェスチャーで分かる。

その様子を見て他のタクシー運転手も集まってきたが、誰も確実な場所が分からなかった。

Airbnbのある方向はみんなの意見が合致したらしく、ひとまずそこまで走ってみることになった。
私たちのために協力してくれたみんなにお礼を言ってタクシーに乗り込んだ。

タクシーに乗って驚いたのはカーナビが無かったことだ。知らない人の家に行けと言われて場所が分からないのも無理は無い。ホテルだったら立地もいい場所にあるだろうしお客さんが使っているから記憶を頼りに行けるかもしれないが、Airbnbのような民泊だと近くに目印になりそうなものも無いかもしれない。普段日本でタクシーを使うときに「〇〇の前で」と言うように目印になる場所で下ろしてもらうことが多いだろう。しかし私たちは初めて利用するAirbnbに行こうとしていて目印になるような場所も知らない。ピンポイントでこのAirbnbへ行ってほしいとお願いしている状態だ。カーナビ無しで。
運転手が戸惑ってしまう気持ちも分かる。

タクシーは発車した。

念のため夫がGoogle mapでナビを起動させていた。Google map上で2個先の信号で曲がらないといけないと分かり運転手に英語でそう伝えるとタイ語でなにかを言っていた。何回英語で言ってもタイ語で返ってくるばかりで、運転手は英語が話せないようだった。

カンボジアにいたときは流暢でなくても英語が話せる人が多い印象だったが、タイでは英語が話せる人が少ない気がした。
それと同時に、日本にいてもサービス業についている場合は英語は少しでも話せた方が良いだろうな、とも思った。きっと今私たちが直面している状態は起こりえるだろうから。

タクシーは途中で停まり歩行者に場所を聞いて走り出して、を何回か繰り返して無事に本日のAirbnbに到着した。
Google 翻訳を使ってタイ語で目いっぱいのお礼を伝え、家の中へ入った。

荷物を置いて一息ついたら夜ご飯と薬局を探しに繁華街へ行くことにした。

宿を出て少し歩くとトゥクトゥクのお兄さんが私たちをじっと見つめていた。
お兄さんのトゥクトゥクはネオンでびっちりと装飾されていてギラギラしている。
トゥクトゥクの装飾は持ち主の個性が出るから見ていて楽しい。
このお兄さんはクラブとかが好きなのだろうか。

お兄さんに「トゥクトゥク?」と言われたので行きたい駅名を伝えてみた。
ここからは遠いから、と150バーツらしい。
バンコクに着いたばかりの私たちは、正直今いる場所からその駅までの相場が分からなかった。
観光客に対しては高めの値段で吹っ掛けていると思った私は100バーツで押し通してみた。

お兄さんと何回も交渉した結果、100バーツでしぶしぶ乗せてくれることになった。

お兄さんの運転は一般的に言うと荒かった。日本でも高速道路でバイクをブイブイ言わせて走っている人達がいると思うがこのお兄さんも全く一緒だった。急発進急ブレーキは当たり前だ。
「やはりトゥクトゥクの装飾に人柄は出るなぁ」と思った。

すると、お兄さんは辺りに何もない静かな場所で停車した。
私たちが目指していた駅ではないことはすぐに分かった。

「〇△駅は本当にここか?」と聞くと「100バーツならここまでだね」と何気ない顔で返された。

私は怒って言い返してたがお兄さんは聞く耳を持たない。
「その駅にいくなら150バーツだ」とお兄さんも強気だ。

(100バーツでOKしたじゃないか。100バーツが不満だというなら最初から乗せなくて良かったじゃないか。)と怒った私が「じゃあここで降りるぞ。お金も払わない。」と言って降りようとした時、冷静だった夫が「150バーツ払おう」と言って私をなだめ、結局150バーツで目的地まで行くことになった。

そんなやり方で手に入ったお金が嬉しいか?
人を騙してまでお金を稼ぎたいのか。

私は一人で悶々と考えていた。
まだ相場が分からなかったこともあるのでこの件は勉強代だと思うことにした。

目的地に到着し150バーツを払ってまずは夜ご飯屋さんを探した。

この時点で夜の21時近くだったので閉まっているレストランが多かった。
唯一、閉店の準備中だった大戸屋が開いていたので滑り込みで入店させてもらった。

タイの大戸屋は値段は日本と変わらないが、メニューは日本と若干異なっていた。店員さんが閉店の準備をしていたこともあり、食事が出てきたら普段の5倍速で食べた。

大戸屋で腹ごしらえした後は薬局を探しに歩いた。

傷口に当てているガーゼが体液で黄色く変色してしまっていたので、消毒液とガーゼを購入して自分たちで手当する予定だった。

大戸屋から少し歩くと日本人街に出た。

大きな一本道の左右には夜遊びのお店が連なっていて、トーク番組のひな壇にゲストが並んでいるのと同じようにあちこちのお店の前でプラスチックの椅子を二列ほど並べて女の子たちが座っている。

客引きをする気があるのか無いのか分からない女の子たちの前を通って一番近くにあった薬局に入った。

店内は日本の薬局と変わらない。ガーゼや消毒液を探していると店員さんが「何を探しているの?」と声をかけてくれた。

私が「ガーゼと消毒液…」と返事をする前に店員さんが夫の腕の傷口を見て驚いた顔をしていた。
相当ひどい状態だと察したのか、裏から椅子を持ってきてくれ「座って!」と言ってくれた。
言う通りに椅子に座ると店員さんが商品棚からガーゼと消毒液一式を持ってきて傷の手当てを始めてくれた。

店員さんの一人は日本語が上手で面白くてノリが良く、どこでケガしたのか聞かれたので「カンボジアだよ。」と返すと店員一同「あぁ~。」と答えていた。カンボジアの道は凸凹してて危ないからね。と言っていた。

手当の途中、日本語が聞こえたかと思うと10人ほどの日本人男子グループが薬局に入ってきた。

なにかを注文していて、値段は2000バーツ。予想外に高かったのか男気ジャンケンで負けた人が全額払おうぜ!と言ってみんなでジャンケンをしていた。
結局支払うことになった人は買う気が全く無さそうだった。
一部のメンバーだけテンションが高いまま一同は薬局を出て日本人街へ消えていった。

その後もたまにタイ人の女の子が薬局に買いに来ては私たちの傷の手当てを見て心配してくれた。薬局の店員さんが「カンボジアで怪我しちゃったみたい」と女の子に言うと、女の子は「よくあるよね~」という風な返事をしていた。

手当てが終わって使った商品の代金を払った。
店員さんの善意は本当に本当に感謝している。薬局に来てそのまま手当することって普通は無いと思うから。

薬局を出る頃には店員さん全員と仲良くなっていた。

私たちは薬局を出て目の前のタクシーを捕まえるもメーターが使えなかったので再び薬局に戻り今度はメータータクシーはどこに停まっているかを聞いた。

するとちょうど同じタイミングで薬局に入ったタイ人の女の子が片言の日本語で「どうしたの?」と声をかけてくれた。店員さんが「メータータクシーの乗り場の場所を知りたいそうよ」とタイ語で答えるとその子は薬局の入り口を開けて「あっち側にメータータクシーいっぱいあるよ!ここを曲がって少し行ったら曲がったところ!!」と一生懸命片言の日本語で説明してくれた。
その子は急いでいた様子で最後には「日本語下手でごめんね!」と明るく謝りながら薬局を出ていった。

とても明るい女の子で日本語が片言でもガンガン話しかけてくれて一生懸命タクシー乗り場を教えようとしていることが伝わってきて私たちはとても嬉しかった。全く日本語下手じゃなかったよ。

女の子の親切心に触れ自分も日本で同じことが出来るかな?と思った。
この東南アジアの旅では、人に助けてもらうたびに「自分も同じことが”日本”で出来るだろうか」と考えさせられることが多かった。
日本にいると行動に移す前から余計な心配をすることが多い。
”助けたいけど…"とか"気になるけど…"だったり。
気にしているのは自分だけで周りは自分が思っているほど何も考えていない。自分がやりたいようにやればいい。声をかけたいと思ったら声をかければいいし、助けたいと思ったら助ければいい。大事なことはそれだけだと思った。

結局は薬局の店員さんに地図を描いてもらいその通りに向かった。
本当にこの薬局には何から何までお世話になった。

メーターで乗せてもらえるタクシーを無事に拾うことができ宿までの道中は薬局での出来事を思い返していた。とても濃い一日で今日のお昼まではカンボジアにいたということが信じられなかった。

家に着いたら真っ先に寝ようとしたが宿はロフトベッドになっていて怪我している私たちにはロフトのはしごを登るのがとてもきつかった。



翌朝の9/22、今日はバンコクで一日を過ごす日だ。

お昼まで寝ていた私たちはシャワーを浴びたあと、昨夜と同じ駅に行き本当は昨夜食べたかったマイセンというカツ丼屋さんへ行くことにした。

私は屋台のご飯も好きだが夫は衛生面を気にしているためいつも夫にご飯を決めてもらっている。

駅を降りると、昨夜は気づかなかったAmazon Cafeを見つけたので入ることにした。カンボジアでAmazon Cafeに入ったときと同じくライチジュースを頼んだが、カンボジアの時とは異なり濃さを何パーセントにするかは聞かれなかった。出されたライチジュースはとても甘かった。

マイセンは欧米人のお客さんも多かった。値段は日本の相場と変わらない。
タイの物価が安いとよく言われる所以はナイトマーケットで売られている商品や屋台とかだな…とこの時分かった。

出された定食は量が多くはお腹はすぐに満たされた。

その後は会社へのお土産を購入して帰宅し、そのまま昼寝した。
起きたときには夜だったがお昼の定食がお腹に残っていたので夜ご飯を食べずにシャワーを浴びてそのまま寝た。なんだかんだ明日が帰国だった。

翌朝の9/23。帰りの飛行機はスワンナプーム空港11時発だ。
7時に宿をチェックアウトし、宿を出てすぐに運よくメータータクシーを捕まえることができ空港へ向かった。

高速に乗って初めて、バンコクは高層ビルが多いことに気づいた。
自分は今、東京の首都高を走っていると錯覚したぐらいだ。
昨日はそんなにバンコクを散策していなかったから全く気付かなかった。

思っていたより空港に早く到着したので空港内を散策して時間をつぶした。
チェックインカウンターを端から端まで歩いていると、途中のチェックインカウンターで人だかりが出来ていた。大勢の女の子がカメラを持って一か所に固まっている。その周りには警備員がまばらにいる。
最初は修学旅行かと思っていたが、その固まりは空港の入り口付近まで広がっていた。どうやら誰かを出待ちしているようだった。

警備員さんに「誰を待っているの?」と聞くと、「俺らも分からないよ」というジェスチャーが返ってきた。
私たちも野次馬になってその固まりに入り誰が来るのか分からないまま数十分待っていた。

すると、4人ほどの男性が入り口から入ってきた。1人を囲うようにして3人は歩いている。それを見るやいなや女の子たちは一斉に「キャー!」と叫びながらカメラのシャッターを押した。女の子たちのお目当ての男性は会釈をしながらチェックインカウンターの奥へ消えていった。

男性がいなくなると固まりはすぐにばらけた。

近くにいた女性にあの男性が誰なのか聞いてみると、韓国で有名な俳優さんとのことだった。

帰国する最後の最後までこんな場面に巡り合うことが出来るなんて。
私たち夫婦はなにか持っているのかもしれない。


夫と二人で東南アジアの旅 完結

読んで下さりありがとうございました。


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旅行好きが高じて、自分が見てきた景色を世界中の人に見てもらいたくてサイトを立ち上げました!英語の勉強も兼ねて誰もが読める簡単な英語を意識して書いています。
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英語が苦手な方でも写真を見て「こんな景色もあるんだ~」って思っていただけると嬉しいです☆



応援ありがとうございます。拙い文章ですが、これからも読んでくださいね^^