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「タスク管理」について ー会社員もそうじゃない人もー(最終回)

こんにちは。日常のタスク管理について考えるシリーズの七回目、今回が最終回です。

■前回はこんなことを書きました
実際の生活を分析しながら「カテゴリー」「サブカテゴリー」を決め、Webツールの画面を具体的に設計してみました。

🍀前回の記事はこちらです。


■今回は・・・
「スケジューリング」と「切り替え」をどうするかについて考えます。


タスクを〈親&子チケット〉で管理することで「タスクの細分化」についてはなんとかなりました。でも、ただ細かくしただけでは〈タスクが増殖しただけ〉みたいなことにもなりかねません。
効率的な「スケジューリング」と「切り替え」があって初めて、その効果が発揮できるものだと思います。

■「カテゴリー」と連動した〈時間割〉で「スケジューリング」

コンピュータのマルチ・タスクにおける「スケジューリング」とは、コンピュータのリソースを無駄なく利用するという目的のために短冊を効率の良い実行順に並べることでしたが、ここで私が欲しいスケジューリングの効果は「選択する労力の節約」です。

つまり「何かを実行する」ことが大事なのであって「何をいつ実行するか考える」ことにエネルギーを使いたくないので、なんとか自ずと実行タイミングが決まって欲しいわけです。

今回の自作Webツールでは、「その日のタスクリストを見たら、反射的に行動に移せちゃうくらいがベスト」の筈です。ところがリストに並んでいるチケットは当然ひとつじゃないので、「どれにしようかな」という選択が必要になります。

「そのくらいのことは出来るでしょう?」と思われがちですが、「選ぶ」ということを甘く見てはいけません。

リストを見て「さて、どれをやろうかな?」と思ったとき、頭の中ではそれぞれのタスクの概要を思い出し、タスク1を今やるとどういうことになるか、はたまた、タスク2を後回しにしたらこの後の一日がどういうものになるか、などなど、意外と複雑な考察をすることになるのです。

◆一日分のタスクリストのイメージ

制作:イラストAを描くための資料を探す
販売:サイトに商品Bを登録する
広報:SNSでイラストCの宣伝をする
創作:noteの記事Dを書く
趣味:ギターの弦を交換する

この例におけるタスクの順番は(カテゴリー順など)あくまでツール表示上の便宜的なもので、実行順ではありません。
このリストを見ただけでは「反射的に行動に移す」ことはできませんよね。
「反射的」ということは、朝起きてこのリストをパッと見たら、次に何をすればいいか分かるのが理想です。

実は、私が最初に作った初期バージョンのWebツールには「実行順」という項目がありました。
朝に10~15分ほどの時間を使って、その日のタスク・リストに並んでいるタスクを見て、実行する順番を決めます。そしてWebツールの「実行順」項目に[1], [2], [3]… というように、数字を設定するという運用を想定したのです。

ほんの短い間試行してみましたが、すぐにこの方法は廃止しました。理由は「負担が大きかった」からです。

朝にPCの前に座って今日の作業の順番を考えるのは、気分も体調もよければ簡単なことです。でも実際には、忙しい日もあれば疲れている日もある。そんな朝に「え~っと、何をどういう順番でやるかなぁ」なんて考えるのはどうなんでしょう。せっかく一日を効率的に動こうとしているのに、朝イチからなんとなくモタつく感じが否めませんでした。

ツールというのはその便利さゆえに、ともすれば何もかもをそれで解決したくなるものです。でも、どんなツールにも自ずと限界というものがあるのは認めざるを得ません。限界を超えて使おうとすると、かえって不便になるのがオチ。そこで考えを切り替えて、運用でカバーできないかを考えてみます。

と言うことで、一日の時間割を作ってツールの「カテゴリー」と連動させてみます。

「時間割なんて小学生みたいで、いい大人がねぇ・・・」と最初は二の足を踏んだのですが、ひとまずざっくりと対応させると・・・

8:00~9:00 : 創作
9:00~10:00 : 販売
10:00~12:00: 制作
14:00~19:00: 制作
19:00~20:00: 広報
23:00~24:00: 趣味

こんな風に、ツールの「カテゴリー」の各項目(家事を除く)を一日の中の一定の時間に割り振ってみました。

この時間割の場合なら、例えば8時になったら今日のチケットリストから「創作」カテゴリで登録されたチケットを選べば良いということになります。そして9時になったらまたリストを見て、「販売」カテゴリで登録されたものを実施します。

これならチケットを選ぶ〈時間〉と〈脳の負担〉を少しは軽減できそうです。

人生、毎日いろいろありますから、必ずこの時間割で生活できるとは限りません。それでも、会社員生活をやめてから日常のリズムが崩れがちで、健康の為にも少し規則正しい生活をしたいなぁと思っていたところでしたから、指針として時間割を設定するのも悪くないかなと思いました。

そしてもう一つのメリットは、今まで大抵は「時間がないから今日も出来ませんでした」で終わっていた「趣味」などの時間をきちんと時間割の中に入れ込むことによって、そのための時間が確保されることです。

◆時間が来たら、次へ進む

実際にやってみて、この時間割方式の運用には、ひとつ大きなポイントがあることに気づきました。

それは「時間が来たら、作業が途中であっても次へ進む」です。

なぜかと言うと、例えばある作業をやっていて「キリが悪い」のでもうちょっと・・・と適当に延長していると、一時間や二時間はあっという間に過ぎてしまいますよね。そうすると、次に予定していたチケットは次の時間帯にずれ込むか、もしくは実施できずにスキップすることになります。

たまにはそういうことがあっても仕方ありませんが、毎日そんなことをやっていると、タスクのどれかは相も変わらず「だって時間がなかったんだもん」という言い訳とともに放ったらかしにされることでしょう。

なので、余程の理由がある場合を除き、タスクをできるだけ時間割通りに切り替えて行き、そうすることで「満遍なくやりたいことをやる」方向へ近づけます。

それにタスクの内容にもよりますが、毎日少しずつやるほうが効率が良いこともありますよね。外国語の勉強なんかは、一時間ずつでも毎日やったほうが、土曜日に5時間ぶっ通しでがんばるより楽しいし、きっと習得も早いんじゃないかなと思います。

■出しっぱなし作戦で「切り替え」

次は「切り替え」です。

「時間割」によってタスクの順番は、ある程度自動的に決まるようになりました。そして「時間が来たら、途中でも次へ進む」ことが大事だということも確認しました。

ここで、サクサクと物事を進めるためにもう一つ重要なことが残っています。それが「切り替え」です。

タスクはそれぞれ、使うリソースが違います。タスクを切り替える度にリソースの準備に手間取っていては、せっかくのタスク管理が本末転倒という結果になってしまいます。

上記の記事でも書きましたが、例えば「家計簿」から「読書」へとタスクを切り替える場合

「家計簿」の道具(家計簿・ボールペン・レシート)
「読書」の道具(本・コーヒー・しおり)

この二種類のリソース(道具)をサッと切り替える必要があります。

そこで私が取った方法は「出しっぱなし作戦」です。

つまり「家事用の場所」「読書用の場所」のように、専用のエリアを確保しておき、その作業で使うものを、そこに置きっぱなしにしておく方法です。これなら道具を出したり片づけたりする時間が必要ありません。その場所へ自分が移動すればいいだけです。

個別の場所を確保すると言っても、別に専用の部屋が必要なわけではありません(個別に部屋を作れたら、それはそれで素敵ですけどね)。デスクや部屋の一隅を片づけて「ここを〇〇エリアとする!」と決めるだけです。

◆作った場所

●仕事エリア
これは既に決まっています。PCや画材の置いてある仕事部屋です。

●家事エリア
キッチンカウンターの隅を家事コーナーとし、家計簿用のiPadなどを常備しておきます。

●趣味エリア
納戸代りに使っている部屋を少し片づけて小さなスペースを作り、小さいテーブルとリラックスできる椅子を設置。今読んでいる本や将棋盤、手芸の道具などをそこに置きっぱなしにします。

●創作エリア
仕事部屋の一角にスペースを作って小さなデスクを置き、使っていなかった古いノートPCを創作専用として復活させて設置。資料などもそこにまとめておきます。唯一の工夫らしいことと言えば、仕事を忘れて自分の好きな空想に集中できるようにデスクは壁に向け、背後にカフェ・カーテンを取り付けて仕事エリアが見えないようにしたくらいです。

それぞれに専用の場所があると、そこへ行けば道具がすぐに揃うので、道具の出し入れが不要なのが大きなメリットです。
そして「読んでいた本のページを開いておく」「刺繍を刺しかけのまま置いておく」などすれば、作業の続きを思い出すのもかなり容易になり、すぐに取り掛かれます。

緊急ではないちょっとしたTODOメモなども、どこか一か所にまとめておくより、それぞれの専用エリアにあるほうが便利です。
何故なら、その場所へ行くまでは忘れていられるので、他の事をやっているときにあれこれ気が散らなくて、気分的に安心していられます。

こうして、特に大げさなリフォームや部屋の模様替えのようなことはせず、散らかって物置になっている場所を少し片づけて「専用コーナー」を作ることで、それなりに「切り替えの効率化」を実現しました。

■まとめ

ここまで全7回、試行錯誤・紆余曲折を交えて、私なりの「タスク管理」について書いてきました。

いろいろやりたいことはあるけれど、生来の怠け癖と日常の忙しさに紛れて、結局毎日同じようなルーティンの繰り返し。どこかで時間を作らないと「一生『明日からやる』で終わっちゃう」そう思った私が、本気で時間管理を考えた記録です。

1.親子チケット方式で「タスクを細分化」
2.時間割とカテゴリーの連動で「スケジューリング」
3.専用エリアに道具を出しっぱなし作戦で「作業切り替えの効率化」

この3つでだいぶ頭の中もスッキリし、以前よりは多くのことに時間を使えるようになりました。

■最後に「本気で考えるって大事だね」ということ

考え方や好みは千差万別です。タスク管理のやり方も人それぞれだと思います。ですから私は、「この方法がいいから是非試してみて~」と思ってこのシリーズを書いたのではありませんでした。

ほんの少しでもタスク管理のヒントになれば、それはそれでとても嬉しいことですが、実は私がこの記事を書いたのには、ひとつ大きな理由がありました。

それは以前、誰かが言った一言です。今となってはもう、本で読んだのか、テレビで見たのか、誰が言ったのか、何も覚えてはいないのですが、ずーっと頭に残っている言葉です。

「〈分からない〉とか〈方法が無い〉とか簡単に言うけど、君はそのことだけを本気で考え続けたことがあるだろうか。恐らく、1~2時間ならあるだろう。だが一日中・・・いや半日でも、他に何もせずにひとつの問題について考え続けたことが、果たしてあるだろうか。どうしたら良いか分からないと思ったら、とにかく、まずは半日程かけてそのことだけを考えてみるといい」

これを聞いたとき、そういえば普段の生活の中でそんなに長時間、一つの問題を解決するために考え続けたことは無いなと思い当たりました。

もちろん、仕事で一日中会議だったりしたことはあります。でも、それは仕事だからだし、自分ひとりで考えていたのではありません。大体会議なんて、どんなに真面目に(?)参加していたって、その間ずーっと一つのことばかり考えているわけでもないのです(笑)。

ましてや自分の日常生活について、誰にやれと言われた訳でもないのに、丸々一日自分自身と向き合うことなんて、そんなこと滅多にありません。大抵は食器を洗いながらとか、洗濯物を干しながら「どうしようかなぁ」なんて頭の隅で思っているのを『考えた』と称しているんです。

でも、よく考えたら自分自身の事こそ、仕事の会議よりも時間をかけ、集中して考えるべきなんですよね。だって、他でもない自分のことなんですから。

数年前に仕事と生活の形が変化する中で、〈やりたいこと〉や〈やらなきゃならないこと〉がモヤモヤと積みあがり、それに反比例するように体調不良や怠け心で生活の質が低下し始めました。気ばかり焦り、充実感の少ない日々が続くようになったのに気づいた私は、前述の言葉を思い出したのでした。

「よし。ここはひとつ、時間を使って本気で考えよう」

そして(私にしては)徹底的に検討した結果、自分の好みと傾向と生活実態に合う時間の作り方を捻出したという次第です。

ですが、私が本当に良かったと思っているのは「タスク管理が上手になった」ことよりも、「本気で考える」ことの大事さを改めて実感できたことです。

日常にまぎれて、何となく「考えたつもり」になっていることって、意外に多いですよね。

「本当に? 本当に? どのくらい本気で考えた?」と聞かれたら「うん・・・まあ」と答えるしかない、そんなことも少なくないのが実情です。

もちろん、大抵はそれで構わないんです。それが人間ってものでしょう。

でも、たまに〈これはマジでなんとかしなきゃ〉という場面になった時、「本気で考えるってどういうことか体感できたし、ちゃんと考えれば不思議と何かしら思いつくものだってことも分かった」という自信がついたのは、自分自身にとてもプラスになったと思います。

それ以来私は、何か困ったことや解決したいことがあると、少なくとも4時間以上の完全な空き時間を作るようにしています。そしてその時間の中ではその事しか考えないようにします。自分の中でアイデアを出しては反論してみて、ちゃんと議事録も残します。

その日に解決できなければまた日を改めますが、それで何一つ進展しないということは今までありませんでした。もちろん解決不能だったこともあります。でも、たとえ「これは現時点では解決できない問題である」という結論に達したとしても、解決出来ないことがはっきりしたことは、それはある種の進展です。もうそれ以上、どうしようかと悩む必要が無いってことが分かったんですからね。

このシリーズ記事で書いたタスク管理の方法は、現在も改良や修正を加えながら進行中です。でも、これが自分にとっての「ベスト」かというと別にそうだとは思いません。ある日ライフ・スタイルが変わればこの方法は合わなくなり、全く別のやり方が必要になるかも知れません。それが自然の流れというものでしょう。

でも大丈夫。その時には、その状況に合った方法を、また考えればいいんですからね。

■お読みいただき、ありがとうございました!

これでこのシリーズは完了です。

読んで楽しかったとか、ちょっとだけ役に立ったとか、もしくはその両方だったら、もう最高なんですけどね(^-^/)

次からは、また小説の連載を始めようかなと思っています。毎日暑くてあまり捗っていないのですが、良かったら読んでくださいね。

猛暑の折、どなたさまもご自愛くださいませ。

それじゃ、また!





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