宮崎駿がアイデアを作品にする過程が興味深い【出発点1979~1996】書評
出発点1979~1996
こんにちは、にじまるです。
僕が宮崎駿監督の作品に初めて触れたのは小学生の頃、テレビ放送されていた「ルパン三世 カリオストロの城」で、テレビ版とは違うルパンの格好良さと、大胆で滑らかな動きに魅了されました。
それ以降は宮崎駿監督の作品が公開されるたびに鑑賞し、同時に宮崎駿関連の書籍も読むようになり、中でも『出発点1979~1996』は折に触れて読み返すほど気に入っている書籍です。
この書籍は、宮崎駿の過去のエッセイや講演・対談などをまとめた内容で構成されており、宮崎駿の創作の裏側や作品を創る際の考え方、影響を受けたものなどを知ることができる、いわばアニメ史における貴重な資料ともいうべきものです。
今回は『出発点1979~1996』の中で特に興味深かった部分と、それが自分にどう影響を与えたかを紹介します。
この記事では、創作する人がアイデアの断片を創作物として構築するためののヒントを得ることができます。
アイデアのストックをどうやって作品として構築すれば良いか悩んでいる創作者のヒントになるのではないかと思います。
宮崎駿のアイデアの源泉
この部分から読み取れるのは、宮崎駿がアニメーション作品をつくる場合に、読んだ本の記憶の断片を結びつけて作品として形にする課程です。
宮崎駿はふだんから興味を惹かれる本を読みながらアイデアの断片を無意識に収集しているとも考えられ、独自の創作方法を垣間見ることができます。
また、多すぎる情報が必ずしも創作する上でプラスに働くわけではない、という部分も目から鱗が落ちました。
この考え方は、あらゆるクリエイティブな仕事にあてはまり、非常に役立つ考え方だと思いました。
創作と情報の関係について、以前に記事として書いています。
宮崎駿に影響を与えた二人の作家
中尾佐助の『栽培植物と農耕の起源』からの影響は、ドキュメンタリー『「もののけ姫」はこうして生まれた。』でも名言しています。
「もののけ姫」の企画を立ち上げた当初は日本を舞台にした時代劇だと、それまでの固定化された農民と武士という図式が壁となっていましたが、二人の作家の本の影響によって日本の歴史認識が変わり、それが新たな「もののけ姫」を創る原動力のひとつになったそうです。
読んだ本の影響により固定化された考えに新しい風が吹き、アイデアの飛躍につながったことが宮崎駿独自のアイデア発想法の源だとすれば、宮崎駿作品の特徴である時代の空気を反映したストーリーとキャラクター、観るたびに新たな発見がある点も納得できる気がします。
まとめ
『出発点1979~1996』は、宮崎駿の創作の裏側や考え方を知るだけに留まらず、創作する際の断片化したアイデアのまとめ方や考え方を知ることのできる良書なので、すべての創作に関わる人に読んで欲しい本です。
『出発点1979~1996』を読むと何かを創作する時、ふだん読んでいる本や考えていることがいかに影響されるかがわかります。
また、創作のアイデアをストックするには新たに情報を集める以外にも、ふだんからアンテナを張って様々なものに興味を持つことが重要になるなど、創作する際の考え方のヒントを得ることができました。
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