見出し画像

白黒の世界 携帯小説11

第十一話 病魔

(全12話)

登場人物
森 龍牙(もり りゅうが):物語の主人公
鳥海 紅音(とりうみ あかね):龍牙の愛した人
鳥海 誠司(とりうみ せいじ)紅音の父

画像1

この世界は

不公平だ

顔も千差万別

多種多様

綺麗なやつが得をして

不細工なやつは損をする

優劣がつくような

仕様にした神様が悪い

何が個性だ。

そう思ったときもあった。


でも違ったんだ

もしも、名前がなくて

番号で割り振られた世界だったらどうだろう?

顔も皆同じで、

男女の違いもなかったらどうだろう?


そう考えたことありませんか?


世の中は

不公平、、、なのかもしれない。

それは否定しない。


でも自分の頑張りでなんとかできる

伸び代のある世界

そうとらえるようにした

頑張った人と

頑張らなかった人

その基準ならば

不公平ではない。

だから努力しようそう思った。


それから俺は世界を色で見るようになった。


抽象的と感じますか?


いやこれがリアルな世界なんです。

あなたは情熱の赤、

あなたはクールな青、

じゃあ俺は?


俺は昔から白と黒が好きだった

無彩色でいいそう思っていた。


それはつまらないからではない

暗い人間だからじゃない。


何色にでも染まり

何色にでも染めてやる

そういう意味が込められている。


白と黒こそが最強

特別な存在であり続けたいと

思ったんだ。


そんな俺が

やっと今ひとつの色を感じている

俺の世界感は相変わらず白と黒

それは変わらない


だけど 

1人の女性と出会って

人生に色を塗ることができたんだ。

すでに俺は死んでいる

遅すぎたのかもしれない。

でも初めて感じた色彩の美しさ


色は


鮮やかだけど落ち着いたブルーラベンダー


死後の世界で俺は特別な力を得た

俺は水晶に宿っている

アメジストという名の

パワーを身につけている


真実の愛を守り抜く力

それは片思いでも成立する愛

見守る愛なんだ。

➖➖➖➖➖

ある営業日後

私はかなりの過労で
さすがに疲れを隠し切れていなかった


紅音「お疲れ様でした。またあした。」


時刻は夜中の11時


龍牙はこの先に起こることを
予知し助ける準備をしていた。

暗い夜道を歩いていると、
信号機の赤、黄色、青

全ての色が点灯しているかのように感じた。

目が回り始め

私は頭から倒れそうになった


その時強い風が吹いた


私の体は倒れることなく電信柱に

もたれることができた。


「なんだろう、具合悪いな」


ゆっくり休んでから歩くと

前から男の人が声をかけてきた。

「お姉さん、どこかいかない?」

「ちょっと具合悪いんですみません。」

「いいじゃん、いいじゃんどっかいこうよ、寝てればいいし」


男が手を取った瞬間。


「バチッ!!」

大きな火花が散るぐらいの電気が流れた


「ひぃ。すいませんでした!」


男はその場を立ち去った。


紅音はさらに体調を崩し、街のど真ん中で座り込んでしまった


時間を確認しようと携帯を確認すると

119番がすでにコールされていた

私は意味がよくわからなかったが

それどころではなかった。


「119番です。火事ですか?救急ですか?」

「体調が悪くて」

「あなたのお名前と住所を、、、」

そのあとは覚えていない。

気がつくと病院のベッドの上で

点滴を打っていた。


お父さんとお母さんが
かけつけていてくれていた。

なにやらお父さんとお医者さんが深刻そうな顔をしている

おかしいなぁ最近体調良かったんだけどなぁ

疲れてるだけやと思う。


ゆっくり寝よう。休めば治るやんこんなん。


医者「なんでこんなになるまで放っておいたんですか?」

誠司「紅音頑固なとこがありまして、あまり病院に行きたくないって言うんで、ついつい大丈夫か?って言うだけで、、、」

医者「このままだと危ない状態です。よく寝ているとか、おかしいなと思う時期があったはずなんですが」

誠司「確かに小さい頃から病弱でしたが、大人になってからは平気かと思ってました。」

医者「助けられる可能性は極めて低いです。もしもの事も考えて頂けますか?」


その場は一命を取り留めることができた。

かなり重度の病魔に蝕まれていた。

私はしばらく入院することとなった。


病室の窓から見える木々が風に揺られていた。


鳥の巣があるのか、親鳥が雛鳥へ
餌を与えているのが見えた


私は一人前になれたんやろか?


次の日雨が降っていた

強い雨音が私の眠りの、邪魔をした

次の日朝露が葉からこぼれ落ちた

私は

だんだんと衰弱していくのが実感できていた。


「ねぇお父さん?私のネックレスと森さんの日記はどこ?」


誠司「家にあるから今度持ってくるからな」

私でこの日記を終わらせなきゃ。


「お父さんペンある?」

「今買ってくるから待ってろ」


○月○日わたしは、訳あって病院のベッドの上にいます。一周忌いけなくてすみません。

でも、もしかしたらそろそろ会えるかも知れません。

わたしなんとなくわかるんです。

もうダメなんじゃないかなって。

この人生は諦めました。

そっちの世界に行っても怒らないでくださいね

この日記は私で終わらせます

いついなくなってもいいように。


エンディングノート書いていきます。


あっちに行ったら付き合ってくださいね

幸せになりたいです。


その時、アメジストの輝きが龍牙を
病室の壁へ映し出した。。。

続く

次回予告
最終回 病魔に苦しむ紅音。すでに死んだはずの龍牙との再会。これは夢なの?止められない運命を受け入れるのか、龍牙に与えられた使命はこの日の為にあった。。。

最終話 使命

https://note.mu/blancetnoir/n/n2546b03f474d

見逃し配信中


1話 【希望】

https://note.mu/blancetnoir/n/ncda230a65bf7

2話【焦心】

https://note.mu/blancetnoir/n/n076055351c34

3話【告白】

https://note.mu/blancetnoir/n/ncbabae58457c

4話【迷惑】

https://note.mu/blancetnoir/n/nf19e9ec47333

5話【喪失】

https://note.mu/blancetnoir/n/n9746bfc3f368

6話【運命】

https://note.mu/blancetnoir/n/n36495a9bd69a

7話【黄泉】

https://note.mu/blancetnoir/n/na761cf9a5c05

8話【言霊】

https://note.mu/blancetnoir/n/nf190b1e680b1

9話【水晶】

https://note.mu/blancetnoir/n/ne787e2a7b206

10話【挫折】

https://note.mu/blancetnoir/n/n82d2de73172c

#小説 #短編小説 #恋愛小説 #美容師 #美容室 #コミックエッセイ大賞 #推薦図書 #あの恋






この記事が参加している募集

推薦図書

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?