ナガサレール イエタテール 完全版 【読書感想文】 3.11から13年経ちました。
★★★★★
Amazonでレビューしたものです。
1.ニコ家の再建in宮城県山元町
こちらで紹介してきました、マンガ認知症、わたしのお婆ちゃん、の舞台となった著者ニコ・ニコルソンさん一家。
このシリーズの始まりの本になります。
2011年3月11日の東日本大震災で流された、宮城県山元町のニコさんの実家を、再建するまでの物語です。
2013年3月に出版された本ですが、私は2019年の電子版をもっていました。
完成版の追記は、2020年現在のニコ家の様子が8p。
映画化がダメになっていたとは知りませんでした。残念でしたねえ。
2.再建とは 再生とは 復興とは
地震があった1時間後。散らかった家の片付けに戻った母ルと婆ルは津波に飲まれます。
濁流渦巻く家の中で、母ルは婆ルを引っ掴んで張り上げて流れるタンスの上にのり、その後階段で2階に逃れて急死に一生を得ました。
お隣さんは亡くなられてしまったそうで、本当に一瞬の運命の分かれ道でしたのでしょう。
おそらく色々な要因が重なった結果だとは思います。
一瞬で外まで押し流されなかった構造上の要因、タンスがちょうど流れてきた偶然、二人揃って近くにいた状況、そして母ルの瞬間の判断力と行動力。
その後の避難所の様子や、波に飲まれた後の家の片付け、自衛隊の声掛けや、ボランテイアの活躍、泥棒が出ていることなど、深刻になりすぎないタッチながららも、胸が詰まるものがあります。
1階は津波に埋まり、津波に流された泥や車のバンパーや色々なもので埋まった家。リフォームOKも立て直しは嵩上げが必要という、よくわからない半壊判定。
東京に移住する案や、川崎の叔母さんの家で住む案もあったそうです。
避難や仮設生活で、婆ルは認知症がすすみ、津波に飲まれたことも5分前のことも忘れる状況に。
それでも婆ルは
とはっきり答えました。
がんになり手術に抗がん剤治療で、疲れている母ルでしたが、婆ルのために元の場所に家を建ててあげたいと言います。
考えたニコさんは、
と自らが主体となって、実家の再建に動きます。
家を建てるのって(リフォームとはいえ)大変なんですねえ、、ドアノブとか選ぶんだ、、
様々な苦難の末に、再建されたニコ家。
望み続けた掘り炬燵に座り、少し変わったいつもの庭を眺める、婆ルのつぶらな瞳には、涙が。
結果とは、皆が婆ルの気持ちを考えて、受け入れ組み入れて、行動し、達成した事実と体験、そして満足感によって評価されるべきではないでしょうか。時間ではなくて。
3.備えつつ変化を受け入れて生きていく
私も震災で人生かわったと思います。
うちは直接の被害はありませんでしたが、職場で窓ガラスが割れ、当日の帰り道は信号が止まって超渋滞だったのを覚えています。
ガソリンがなくなり、色々なものがなくなり、、、
今死んだら後悔しそうだな、と人生を考え直し、婚活をしてうまくいかなくて諦めて、猫を飼い始めて今に至ります。
コロナ騒動の時も、やっぱり色々考えて、FIREを目指すことにしました。
そして、元日の能登の地震。
それでも、私は今、生きていますし、生きているので生きていくし、できる限りは生きるつもりです。いつまでかは分かりませんが。
今年も3.11を迎えました。
人生と復興について、防災について思いをはせます。
そして、こちらの本は明るくほのぼのとしたタッチで読みやすくおすすめです。
ひんやりとした震災のリアルを述べつつも、みんなが頑張った結果があり、希望がもてるとてもいい漫画だと思います。
ニコさんは最初の頃から比べると、大分絵柄が変わりましたね。電子版の追加分はとても綺麗になりましたが、前の勢いのある絵柄も迫力があってよかったです。(何故か完成版の追記の方が雑、、、?)
今後のニコ家の幸せをお祈りします。