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いつか消滅するとしても

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原稿用紙86枚程度の短編を載せています。
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2021年3月の記事一覧

いつか消滅するとしても EP.11

 僕と氷雨は、駅ビルの2階にあるマックに入った。もっとガッツリ食べられるところを提案した…

ふじこ
3年前
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いつか消滅するとしても EP.10

 数日経っても、優の身体は変わらなかった。  パチンパチンと、伸びた足の爪を切りながら、…

ふじこ
3年前
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いつか消滅するとしても EP.9

 俊介って呼んでいい?  僕と弘子が友だちだといえるようになったのは、たぶんあのときだろ…

ふじこ
3年前
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いつか消滅するとしても EP.8

 隣で寝ている優の傍で、僕は弘子に返信した。空いているよ、ちょうど休みだし――そう打ち込…

ふじこ
3年前
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いつか消滅するとしても EP.7

俺って、女を好きになれないのよ。  大学の読書サークルで優と会話をするようになって初めて…

ふじこ
3年前
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いつか消滅するとしても EP.6

「――弘子が心療内科にかかるようになったのって、いつだっけ」   身体に合わないカーディ…

ふじこ
3年前
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いつか消滅するとしても EP.5

 それから、弘子の誕生日が来ると、僕たちは弘子との距離感に合ったささやかなプレゼントを贈るようになった。初めは、缶に入った紅茶。それから、タンブラー、バスソルト……。その間に、僕と優はつき合いだしたが、弘子にはしばらく黙って、変わらず3人でつるんでいた。もちろん、優にも弘子の気持ちはわかっている。はっきりとは言わないが、きっと弘子が初めて僕に誕生日プレゼントを渡した頃から、わかっていたと思う。弘子って、ちょっと怖いよな、と「異邦人」を渡された日のあと、帰りのバスの中で、優は僕

いつか消滅するとしても EP.4

.「もうそろそろ、弘子の誕生日だよな」  定食屋に入り、おしぼりで小さな手を湿らしながら、…

ふじこ
3年前
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いつか消滅するとしても EP.3

 子どもの頃から学生時代にかけて、僕は優しくすることと愛することの違いが、よくわかってい…

ふじこ
3年前
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いつか消滅するとしても EP.2

 ポストを開けると、中には何もなかった。もしかしたら、と思いながら階段を上ると、玄関ドア…

ふじこ
3年前
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いつか消滅するとしても EP.1

 欲望など、ほとんど感じていなかった。ただ、優の手のひらが温かそうだったから、僕はその温…

ふじこ
3年前
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