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【海外ビジネス】失敗ケース ~1億円未回収事件~

ドバイ情報の “あるある” を書いていましたが、今日は別のトピックをお届けしたいと思います。
Let’s get started!

失敗Case1. ギリシアでの1億円の未回収事案 ~販売先は精査せよ~

まず、なぜこんな未回収が発生したのか。
当時、わたしは医療関係製品の輸出を行っていました。ギリシア政府機関が医療製品を購入する際の価格は、ドイツ、イタリアより3~4割は高く購入する美味しい市場でした。
販売先が政府関係機関となれば、国家が破綻しない限りは貸し倒れがなく、信用上も問題ないのです。

そして市場価格が高い理由は、現金回収期間が長く資金調達の金利等上乗せする事を容認されていたためです。
そのため、信用状取引(L/C)を使わず、売掛販売(Open account)で取引をしていました。
※ちなみに、欧州域内企業の取引でL/Cを使った取引はほとんど行いません。それは与信保険の方を使う方が一般的で、L/C関連費用よりも安く、経理の負担も軽減される事があります。

ギリシア危機(2009)によって安全神話も崩壊

当時、ギリシア政府機関へ現地大手製薬会社を代理店として設定して、その代理店を介して取引をしていました。
財政悪化により、政府の要請で代理店が50%以上の債権放棄を行うことを数回要請されていました。
その結果、代理店の財政状況が悪化。支払い遅延も頻繁に発生したため取引も中止……が時すでに遅し。

サントリーニ島で

代理店が財政破綻

そこでギリシア人弁護士を代理人にして裁判所へ支払い命令を申請。
債権が認定される証拠書類を裁判所に提出すれば支払い命令は数週間で取得できます。その際、EU域内で効力がある支払い命令を取得します。
EU域内で効力のある支払い命令にしたのは、欧州企業の場合はEU域内にオフィスや不動産を保有していたりすることがあります。そのため、EU域内で効力がある支払い命令を取れば、いちいち別の国で支払い命令を取ることなく資産の差し押さえや売却が可能になります。

ギリシアも日本同様、企業が破綻した場合、税金と給与が優先的に保全されます。残りの資産を債権者で分配する事になります。債権者が何社もあれば1社の配分は低くなります。また、債権者の中でも優先順位があります。それは債権額などによって決められます。

必死にこの代理店の登記を探してEU域内の動産、不動産を探しましたが、結局はEU域内でこの代理店が保有していたオフィスの机、パソコンその他オフィス関連製品を売却することしかできなかったです。オフィスは別の会社によって差し押さえられていました。

支払命令を取ってもお金が返ってくるわけではない

支払命令を取って、動産、不動産などの資産を探し、それを売却してやっとお金が戻ってきます。
結局、売掛金約1億円の大半は戻りませんでした……。

私の知る限り、債券回収に関しては日本でも同様の手続きであるようです。
日本で支払い命令を取っても、差し押さえる動産や不動産資産を探し、その資産を売却しなければお金が戻ってきませんので、販売先は良く調べてから販売する事が大事です。
この手続きに費やす労力、お金、時間は膨大なものになります。


最後に、ギリシアの国民は1100万人、公務員が10%ってどこかの国に似ていませんか?
ギリシアの観光資源は観光、どこかの国は石油、と財政構造が違いますがギリシアと同じ末路を辿らないことだけを切に祈ります。

サントリーニ島 青と白のコントラストが絶景です


今日はこのへんで(失敗談、しぬほどあります💦)

to be continued…

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