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グリーフ哲学

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大切な方を亡くした方に
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#現存在

グリーフ哲学をー死者との対話

グリーフ哲学をー死者との対話

実家に落ち着いたと思ったら、次から次へと、心が泡立つようなことがいろいろと起きますが、習い始めた三味線の練習が、意外に心の落ち着きを得させてくれています。

夫が亡くなった直後は、一連の喪の儀式のためのあれやこれやで、悲しみはあるのだろうけど、良くも悪くも、それにとらわれている自分がいました。

儀式的なものが落ち着き、周囲への対応も一段落つくと、一人取り残された感覚が襲ってきます。だからといって

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グリーフ哲学をー悲しみと生

グリーフ哲学をー悲しみと生

彼が突然逝ってしまったあとしばらくは、何を食べても味気なく、まさに砂をかんでいるようでした。

それでも、当時は仕事をしていたこともあって気を張っていたけれども、一周忌を過ぎたころから、反動なのか、原因不明の目眩に襲われるようになりました。

張り詰めていたその頃の生活は、自責の念から自分を追い詰めていたのだろうと思います。彼の苦しみに気づかなかった自分を痛めつけたかったのかもしれません。

そう

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グリーフ哲学をー不安にこそ

グリーフ哲学をー不安にこそ

天災というのは脅威であり、だからこそ、まだ起こってもいない地震にも恐れを抱きます。けれども、恐れよりも根本的な情状性は、不安 です。

不安はそれ自身としては恐れをはじめて可能ならしめる。(M.ハイデガー『存在と時間』、原佑・渡邊二郎訳、中公バックス)

恐れとは、何か脅かすものがあるからこそ恐れる。確かに地震は予測不可能ですが、日本が四つのプレートの境界線上にあって、だからこそ地震が起こるという

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