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グリーフ哲学

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大切な方を亡くした方に
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#生きるということ

グリーフ哲学をー死者との対話

グリーフ哲学をー死者との対話

実家に落ち着いたと思ったら、次から次へと、心が泡立つようなことがいろいろと起きますが、習い始めた三味線の練習が、意外に心の落ち着きを得させてくれています。

夫が亡くなった直後は、一連の喪の儀式のためのあれやこれやで、悲しみはあるのだろうけど、良くも悪くも、それにとらわれている自分がいました。

儀式的なものが落ち着き、周囲への対応も一段落つくと、一人取り残された感覚が襲ってきます。だからといって

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グリーフ哲学をーそれでも輝く

グリーフ哲学をーそれでも輝く

実家に帰ったら、お勤めも辞めたわけだから、時間は結構空くのかと思いきや、毎日何やかにややることがあり、また、管理するものが多くなり、必然的にルーティンも増えて、あっという間に時間は過ぎてゆく。そういう時間から、やっとゆったりとした流れとして時間を感じるようになりました。

私が実家にいた頃に三味線を習い始めたお隣さんが、10年前から三味線のお師匠さんになっていて、ご近所のお友達に教え始めていました

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グリーフ哲学をーうつろうということ

グリーフ哲学をーうつろうということ

夫が逝ってしまってから10年近くになりますが、夫への感情が変わったかと言えば、変わったとか変わらないとかいう言い方では表現することはできません。感情は量的なもので言い表すことはできないし、それを一つの感情で言い表すことはできないから。

感情そのものは、自己を展開し、したがって絶えず変化する一つの生き物である。そうでないとしたら、感情が私たちを少しずつ一つの決心へと導くことは理解できなくなるだろう

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グリーフ哲学をー不安にこそ

グリーフ哲学をー不安にこそ

天災というのは脅威であり、だからこそ、まだ起こってもいない地震にも恐れを抱きます。けれども、恐れよりも根本的な情状性は、不安 です。

不安はそれ自身としては恐れをはじめて可能ならしめる。(M.ハイデガー『存在と時間』、原佑・渡邊二郎訳、中公バックス)

恐れとは、何か脅かすものがあるからこそ恐れる。確かに地震は予測不可能ですが、日本が四つのプレートの境界線上にあって、だからこそ地震が起こるという

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