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「偉大なる旅路」

自由は孤独を引き連れて、孤独に喘ぐ代償として有る自由、
どちらを得たのか、あるいはそのどちらかに、
影を捕捉されてしまっただけなのか、
どちらでもいい、いまになればそれを思うことすら不毛、
草臥れ果てたる二足の靴を、どちらに向けて揃えておくか迷いはするが、
行く先なんぞありもせず、煙が如く彷徨いにける、

孤独はしかし自由を誘い、どこへ行こうか、明日はどこで目覚めよう?
誰かの歌にさ、赤い季節を抜けて俺たち旅に出ようって、行くかい犬よ、尾を振れよ、
どこでもいいさ、行きたいところなんてなくていいんだ、
歩き疲れて擦り減る踵、砂の上なら裸足でだって進めるかなって、
行く先なんてどこへでも、そこらあたりへ北風よりも遠くへ行こう、

黒髪の、美しい女はどこだ、
解体したばかりの駱駝の骨で飲み明かそう、
俺はろくでもない男だけれど、
誰より本当のことを知っているんだ、
泡立つ琥珀を飲み干して、
次の朝には消えているから好きに眠れよ、

罪にならない程度の嘘を数百連れて、明日の朝は誰の船で目覚めよう?
自由と孤独は俺のものだよ、誰に渡すこともできない、どうして、なんて、
飼い慣らせるのは俺しかいないと気づいてしまって、仕方がないんだ、
肥大を続けるふくらはぎ、犬やら猫やら連れてゆこうと誘って振られ、
生きるところはここではない、今夜、眠る場所があればいいんだ、

photograph and words by billy.

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