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超獣ギガ(仮)

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昭和九十九年、東京。 晴海埠頭にモンスターが現れた。彼らは超獣ギガと呼ばれる、地球の正統進化外生命体。しかし、その出現は予期されていた。 圧倒的な力に蹂躙される人類。 反撃を開始… もっと読む
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#超能力バトル

連載小説「超獣ギガ(仮)」#5

連載小説「超獣ギガ(仮)」#5

第五話「会敵」

 真冬の早朝。東京。
 最新の人類と超獣が睨み合う晴海埠頭。

 乾いた、高い音色を伴って、点々と凍ったアスファルトを跳ねて滑る薬莢。いくつかは海に落ち、既に絶えた誰かの足元にたどり着いたいくつかもある。ここに果てた人々は遺志を告げることなく、唐突に、最終を迎えることになった。
 その近くに、一人が着地した。爪先に回転していたそれを抑えた。靴の下に真鍮。空白を抱えたそれは踏みつけ

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連載小説「超獣ギガ(仮)」#7

連載小説「超獣ギガ(仮)」#7

第七話「起動」

 超獣と超人の交戦が続いている、
 早朝の東京、晴海埠頭。

「なんじゃあれ」
 間もなくの対岸に飛び交う銃声。鳥谷りなはその巨影を視界に捉え、やや速度を落としながら走行していた。速度を緩めなければ、間もなく会敵する。弾む息。吐き出す白息。目指す先では、すでにチームメイトがモンスターと戦闘を開始している。
「ほんまに猿やねんな、超獣ギガって」
 明け方の山影が揺らめき動いているよ

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連載小説「超獣ギガ(仮)」#13

連載小説「超獣ギガ(仮)」#13

第十三話「記憶」

 昭和九十九年十二月二十八日。
 神奈川県横須賀市。

 閉め切ったカーテンの隙間から、白い光線が室内へ切れ目をつくっていた。かすかな風に布地が揺れる。冷気が忍び込んで、乾いた髪を揺らした。足元に冷たくなった白いシーツ。毛布を掴んで、引き上げた。膝を抱くように小さくなって、スマートフォンで日時を確認する。いつから眠っていたんだっけ。何日経っただろう。まさかとは思うけど、ひょっと

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