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何を食べるか

3年前、英国から3人の女性が来日。岡山、京都を経て、東京の知人宅に滞在することになり、たどたどしい通訳に駆り出された。

健康的で行動力に溢れた3人が、すべてベジタリアンと聞いてビックリ。私の周囲にはいなかったので、栄養の偏りがあるのではとの思い込みが、間違いだったことが実感された。

日本を発つに当たって、お寿司屋さんに連れて行こうと張り切っていた友人は、ガッカリ。代わりに馴染みのお蕎麦屋さんで送別会をすることになった。

鰹出汁のつゆも、名物の玉子焼きもOKだったのでビーガン(卵、乳製品、鰹節も×の厳格な菜食主義)ではなかったようだ。中の一人は、毎日ご主人には肉料理を作ると言うので、動物愛護からくる菜食主義でもないらしかった。

有名人にもビーガンは多いようだ。テニスのビーナス・ウィリアムスや海老蔵。タフで運動量も多いのに、あの身体は何で出来ているのかと思ってしまう。

著名人では他にも、ニュートン、ダ・ビンチ、アインシュタイン、スティーブ・ジョブズ、マドンナ、ビートルズの4人、ブラッド・ピットなど多数。リバー・フェニックス兄弟も。

GUNDAを監督したコサコフスキーは、小さい時、祖母の家で飼われていた子豚を可愛がっていたのに、ある年の大晦日、料理になってテーブルに乗ったのにショックを受けて以来、動物由来の食べ物を一切食べなくなったという。

わかる。私は豚肉も牛肉も食べるけれど、桜肉は食べない。母の実家が東京競馬場の近所で、小さい時から美しい馬が身近だった。20代で行った九州の旅の宿で、大間のマグロのような美味しそうな刺身が馬肉と知って、また、連れの皆んなが歓声をあげてつまむのを見て、固まってしまった。

健康志向や動物愛護、環境問題、個人的な体験など、ベジタリアンやビーガンの食生活を選ぶ理由は様々のようだ。考えてみればほんの数十年前まで、日本人の食生活は、ほぼ菜食だった。

最近ビーガンになったばかりのスティービー・ワンダーが言う「この星でどう暮らしていくか考える」が、今、私が興味を引かれる感覚かもしれない。

新鮮な地場産野菜、キノコや豆が大好きだから、すでに野菜の多い食生活をしている。でも豚シャブも好んで食べる。

GUNDAを見た帰り、いつも寄る、ジャズの流れるお蕎麦屋さんで揚げてくれた車海老とシシャモが絶品で、今日は完璧な日だ!と思ってしまう。

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ベジタリアンにはなれそうもない。けれど、映画「GUNDA」の最後のシーン。自分たちを連れに来たトラクターを、無邪気に興味深げに眺める子豚の後ろ姿を、忘れることはないと思う。

割り切れないことを、割り切れないままに抱えていくんだろう、これからも。食に限ったことではないけれど。





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