10年後の未来から
「大人になってから、眉間にシワがよるから、やめなさい」
駅からの帰り道、小学生くらいの女の子と一緒に歩いていたお母さんが、娘に向かってそう言っていた。どうやらその女の子は、口をとがらせて、眉間にシワをよせていたらしい。何かイヤなことでもあったのだろう。
この子のお母さんの言うことは、わかる。たしかに、眉間にシワがよることは、できれば避けたい。女性はいつだって、きれいでいたいから。
と、いうことがわかったのは、私が大人になってからのこと。
私が小学生の頃には、お化粧をしてみたいとか、おしゃれしたいとかいう願望はあった気がする。でも、シワのことなんて、気にしたことがなかった。
小学生の女の子に「眉間にシワがよるから、やめなさい」って言っても、わかるんだろうか?
そういえば、いつ聞いたのか、誰が言ったのか覚えていないが、こんな言葉があった。
「今の自分は、10年後の未来からタイムマシンでやってきた自分だ、と思えばいい」
今から10年後の未来で生きていた自分が「ああ、あの時に、あんなことをしなければ」「あの時に、もっとこうしていれば」と強く思ったから、10年前の今にタイムスリップして、未来を変えようとしているのだ、というのである。
なるほど。
「10年後の自分」なんて、保険とか年金とかのことを考える時くらいしか想像したことがない。
だけど、「10年後の自分が、タイムスリップしてやってきた」と思えば、未来をしあわせに生きるために、今、やるべきことをやっておこうという気になる。
10年後もしあわせでいるために、今、やるべきこと。
仕事、恋愛、健康なカラダづくり。その中には「眉間にシワをよせないこと」も含まれている。
今、40代の私が、眉間にシワをよせて過ごしていたら、それこそシワがよったままになってしまう。
ああ、「10年後の自分が、未来を変えるためにやってきた」っていうのは、こういうことに気づかせたいからなんだ。なんか、納得。
そう考えたら、やるべきことはたくさんある気がする。
10年後も、きれいでいるために。10年後も、しあわせでいるために。今、できることをやろう。未来の自分が、タイムスリップしなくともいいように。
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