【論文読了】多様な人材を束ねるソーシャルスキルの重要性
DIAMONDハーバード・ビジネス・レビューの2022年11月号のテーマはこれからの経営者の条件でした。特集の名称が多様な人材を束ねるソーシャルスキルの重要性です。
今月号では経営者に求められる資質が変わってきたことが書かれています。今まではMBA的な経営の知識や、特定業界や特定職種の知識などハードスキルが求められてきました。
それが多様な人材や組織と協力するソーシャルスキルが重要になってきたというのです。ハードスキルからソフトスキルにウェイトが移っているのですね。
これについて様々な論文が掲載されています。順にみてみましょう。
いまこそリーダーは「人を束ねる力」を磨くべきである
株式会社は昔から公の性質を備えていたそうです。
最古の株式会社は東インド会社だと思っていたのですが、違うようです。古代ローマでは公共インフラの整備のために株式会社のような仕組みがあったそうです。
テクノロジーによって経営資源の調達コストが下がりました。資金調達の方法も増えたし、ファブレスも可能だし、フリーランスへの発注サービスもあります。
そして機械化やIT化が単純労働を担うようになっています。こうなると人の仕事は創造性が求められるものに変わっていきます。ここまでは今起きている変化ですね。
CEOの解任理由の1番が業績ではなく倫理的不祥事というのが驚きでした。たしかに企業の不祥事はよく目にしますね。
ハードスキルがあればいいみたいな風潮は根強いと感じていますが、本稿のようにコミュニケーションやモチベーション、オーセンティシティなどを強みとした働き方をしたいなぁと私はここ数年考えています。時代がだんだん追いついているかな?
マネジメントの仕事はソーシャルスキルを活かせるからいいですね。ソーシャルスキルで勝負したければ、仕事を選ぶ必要がありそうです。
最高経営幹部に最も必要とされるスキルは何か
経営幹部に必要なスキルは、ハードスキルに加えソフトスキルも必要になったという論文です。しかしハードスキルは採用時に見極めやすかったけど、ソフトスキルは見極めるのが難しいという問題点もあります。
5000件近くの職務記述書を分析したところ、2000年代半ば頃からソーシャルスキルに関する記述が増え続けているそうです。
更には労働者の仕事にもソーシャルスキルが求められる仕事が増えているそうです。このような仕事の増加率は労働市場全体の成長率よりも高く、賃金上昇率も平均より高いそうです。
これを読んでついに私が認められる時代が来たかと思ってしまいましたが、まだまだ現実はハードスキルですね。
なぜソーシャルスキルかというと、企業にはステークホルダーが沢山いるからです。更には昨今はM&Aが増えています。ここでも相手先企業とのコミュニケーションが重要になります。
そしてソーシャルスキルを持つ人材の獲得競争は激しく、自社内での育成も有効なようです。ということはスペシャリスト志向ではない人は、ソーシャルスキルを磨くことで差別化するという戦略もありだなと思いました。
共同CEO体制を成功させる方法
CEOは一人というのが一般的だと思います。私が所属している会社では一時期だけ代表取締役が二人ということがありましたが、1年限りで一人に戻りました。
ところがCEOが二人いることにもメリットがあるようです。まさかのCEO二人体制です。そんなこと思いつきもしなかったです。固定観念って凄いですね。
どんなに優秀な人でも場所は1つしか選べません。しかしCEOが二人いれば、CEOが2か所で活動できます。
CEOが二人いれば、片方がテクノロジーの活用を推進し、もう片方がマーケティングを推進するということも可能です。企業にとって重要なことを二つ同時に進行できてしまいます。
更には企業にとって大打撃となるCEOの不祥事も、もう片方がCEOが見張ることで防止できる可能性があります。
1人で組むよりもパートナーと組んだ方が色々できるのと同じですね。企業が大きくなって経営者が一人では手が回らなくなったときに、一つの選択肢として検討するとよさそうです。
経営者にふさわしくない人材の見極め方
不祥事を起こす経営者の資質は2つあるそうです。1つは物質主義、もう1つは規則違反です。
また経営者の不祥事を制度で防ごうとする例が多いですが、このやり方では満足な効果を得られません。現に不祥事は起き続けているわけです。
制度で不祥事を防ぐというのは、法規制の整備やコンプライアンス部門の設置、監視の強化、内部告発ホットラインの通報制度の導入などです。
規則違反
やはりと言えるのが、規則違反をする人は自分は大丈夫/捕まらないなどと考え、そのような人は虚偽報告をしやすいということです。ちょっとくらい悪いことをしてもいい、自分だけは大丈夫という考えは人としてダメでしょう。
物質主義
他者に犠牲を強いてでも自分の富や贅沢を執拗に求める性質が物質主義です。たまにこういう欲深い人っていますね。
こういう人がCEOになると、CFOにも物質主義的な人を採用しやすくなり、リスク意識も甘くなるようです。どんどん儲けてやるみたいな意識が強いのかもしれません。
人で選ぶ
仕事において人の採用基準はハードスキルや職務経歴(これもハードスキルを見るため)が中心です。それゆえスキルさえあればいい、経歴が豪華ならいいとなってしまい、ソフトスキルや人間性がなおざりになっていると私は感じます。
性格に難があってもスキルがあれば稼げるのは確かです。しかし経営者や管理職に就く人がそうだと(そういう人ほど権力や名誉、収入を求めて地位を上げたがるのですが)、働きやすさやハラスメント、不祥事につながる恐れがありますね。
ずっとそう思っていましたが、研究の世界でも証明されつつあるんだなと感じました。
時代が変わり、リーダーも変わる
優れたリーダーは能力が優れているのではなく、状況に適応しているのだそうです。
例えばアップルで言えば、新製品を作るのはスティーブ・ジョブズが向いており、製品を改善して収益性の高いエコシステムを作るのはティム・クックが向いているということです。
人によって向き不向きがあり、こればっかりは変えられません。となると今の時代や、勤務先企業の状況が自分に合っているかどうかが大事だということです。
例えば新しい製品・サービスを生み出すのが得意な人は、起業するか新規事業に積極的な会社に入れば活躍できるでしょう。既にある製品・サービスを改善するのが向いているなら、設立からある程度経って定番の製品・サービスを持っている会社が向いている可能性があります。
今は労働者が権利や働き方を主張するようになり、SNSで価値観を発表しやすくなっています。テクノロジーの進歩は加速し、業界の垣根も怪しくなっています。
世の中がどんどん変化しているので、常に世の中の流れを把握しておく必要がありますね。これはここ10年くらいずっと感じています。後はどう行動するかかな。
プロフェッショナルマネジャーの行動原理
ドラッカーの論文や書籍の和訳は重々しく書かれている気がするのですが、気のせいですかね。
ザックリ言うとこんなことです。
自分がすべきことを考えよ、それ以外は他人に任せよ
組織を束ねているのはオーナーシップや命令ではなく情報
会議時間を無駄にせず生産的にせよ
本質的に考えて自分は何をすべきか、どの作業を自分がやって、後は他人に任せた方がいいのか、会議を有効にするにはどうしたらいいのかなど、考えなければいけないことがあります。
こういうことを忘れて目先のことに追われてしまうなと感じました。
終わりに
ソーシャルスキルを身に付けるには、マネジメントをやったり、プライベートで個人で活動したりすればよさそうに思います。
ソーシャルセクターで活動している人たちは、人との交流が多くて経験値を積んでいそうですね。
ソーシャルスキルは私には向いていると思うので、できるだけ外に出て行って磨いていきたいところです。
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