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幸福感を高めるには地位財よりも非地位財がよい

みなさんは幸福感を感じていますか?幸福感というのは抽象的で曖昧なように感じます。お金があれば幸福か?というと、日本は先進国にも関わらず自殺者が非常に多いです。お金で幸福は買えなさそうです。では幸福はいかにすれば手に入るのでしょうか?

今回は幸せというテーマに対して、地位財と非地位財という言葉を通して考えてみたいと思います。参考文献はDHBR2020年2月号デュアルキャリア・カップルの幸福論です。

地位財とは社会的ステータスのこと

地位財とは社会的ステータスのことです。収入や地位、職位などがいい例です。収入があったり、有名な会社に勤めていたり、役職が高かったりすることはステータスです。しかし本誌の特集6のインタビューでは、そういう社会的なステータスでは幸せになれないという話がされています。

収入などの外的要因は中毒性があり、高めても高い状態に慣れてしまい、もっと欲しくなるものです。そして社会的ステータスは仕事に労力をつぎ込み続けなければ維持できません。また、激しい出世競争に勝つ必要もあります。

そもそもいわゆるいい会社に入って出世する必要があります。出世競争には上で書いたように、本人の能力や努力だけでなく、良い上司に恵まれるか、良い案件に恵まれるかということも重要です。

他人との競争や上司・案件とのめぐりあわせなど、地位財は本人の努力以外の要素が大きいのが特徴です。そして最終的には一部の勝ち組と多くの負け組に分かれる世界です。長続きするものではないでしょう。

非地位財とはステータスではないもの

非地位財は心や安全、健康など、他人と関係なく得られる喜びのことだと言います。社会的ステータスとは別のものです。

本誌のインタビューでは非地位財による幸せの要因が3つ挙げられています。

・キャリアに対して主体的であること
・社会とのつながりが多いこと
・視野が広いこと

非地位財を充実させることで幸福感を得られ、創造性が上がるとのことです。非地位財を高めるために、上記で挙げたキャリア、社会とのつながり、視野についてそれぞれについて考えてみましょう。

主体的なキャリアで満足度を得る

本誌の特集6のインタビューでは、好きなことを仕事にする、仕事を楽しむ、人の役に立つなどを実現すると仕事の満足度は非常に高くなるようです。別に小さな職場でも、自分の部署内でもいいので、まずはこれらを実現して徐々にいい循環に持って行きます。

ただし仕事の満足度を上げるためには、仕事に対する価値観を突き詰めたり、自分にとっての向き不向きを考えたりする必要があります。ときには転職が必要になる可能性もあります。

正直、仕事で非地位財を得るにはそれなりの仕事経験、それも色々な業務や職種、職場での経験が必要だと思います。そもそも人間は比較するものを持っていないと満足な検討ができないからです。

色々経験して、自分に合う合わないを考えて、ようやく満足度の高い仕事にたどり着けます。楽しくて活躍できて、やればやるほど上達を楽しめて、顧客や同僚の役に立てる仕事にです。

これを実現するためには、今までの経験から合う合わない、好き嫌いをよく考えて、自分の物差しを作っていく必要があります。満足度の高い仕事の追及はかなり高度なキャリア論が必要になるので、ここではほどほどにしておきます。

仕事に関しては、地に足着いた範囲で自分が好きなこと・得意なことで楽しみながら活躍することで非地位財を高められそうです。これならブラックな職場でなければ工夫の余地があるでしょう。

社会とのつながりを増やす

本誌の特集6のインタビューではPTAの話が出てきます。PTAでもいいでしょうし、色々なところで人と関わることが重要でしょう。人や社会とのつながりを増やすということは、いわゆるリア充になることに近いのではないでしょうか。

ハードルが低そうなところですと、趣味のコミュニティに入るという手段があります。趣味があればそれでもいいですし、新しい趣味にチャレンジしてみるのもいいと思います。

コミュニティといっても複数あります。社会人向けのサークルであったり、習い事の教室であったり、はたまた行きつけのショップであることもあります。

私の場合は自転車と楽器で複数のコミュニティに入っています。自転車は大学関連が主ですが、学生時代は行きつけのショップが主催するイベントにもよく出ていて、常連客同士で仲良くなったりすることがよくありました。今でも自転車のコミュニティはショップを中心としているでしょう。専門店が存在する趣味では常連客のコミュニティという選択肢があります。

楽器も社会人サークルがよくあります。バンドのようなガチなものではなく、スタジオやライブバーで仲間内だけの演奏会を定期的に開催しているような軽いものです。

または勉強会の常連になるという方法もあります。IT系は特に勉強会が多いので、IT業界の方は勉強会という選択肢もあります。

いずれにせよ、趣味や勉強会などのコミュニティでは共通の話題を確保しやすい、共通点があるなどで人間関係を築きやすいというメリットがあります。また、仕事と違って所属する義務がないので、性格の悪い人は居づらいく、追い出されるか自分から出ていきます。よって良い人が比較的多いです。

社会とのつながりという面で非地位財を増やすには、コミュニティに所属するという最初のハードルさえ超えてしまえば難しくはなさそうです。

知識を増やすことで視野を広める

元ライフネット会長の出口治明氏が人・本・旅とよく言っていますが、ここに非地位を増やすヒントがありそうです。

色々な人と話してみると自分が知らないことを色々と知っているものです。できれば社外の人と話した方がよいです。普段よく話している人とは話題が似てくるので、たまにしか話さない人の方が知らない話を沢山聞けます。これはイノベーション論で言われる弱いつながりの強さという理論です。

弱いつながりの強さ理論についてはこの辺りを参照してください。

弱いつながりの強さ:早稲田大学ビジネススクール准教授・入山章栄が解説する、世界標準の人脈術

マーク・グラノヴェッター

本は知識習得には最も手軽ですね。興味のある本、それこそ専門書ではなくても文庫や新書でもいいので、ほしい知識を得ることを楽しむのがいいかと思います。電車通勤なら通勤電車で沢山読めますし。

旅は普段見聞きできない光景を見たり、現地の歴史や伝統文化に触れたりできます。これも普段は知ることができない知識を知ることができます。

元々、学問の語源は暇潰しなのだそうです。古代ギリシャの上流階級が暇潰しのために知識の追及を始め、それが学校につながったのだそうです。

ということは、学ぶことは楽しいことであるのが本来は正しいのですね。学生時代までは制約がありますが、社会人になってしまえばプライベートで何を学ぼうと自由です。自由な学びを楽しみましょう。

終わりに

先行きも解らない、正解もないご時世において、地位財と非地位財という考え方はいいなと私は思っています。

世の中はお受験やら学歴、年収、結婚、大企業勤務などなどまだまだステータスに固執しています。しかし望んでも思うように手に入らないこれらに振り回されるよりも、望んで手に入りやすい非地位財に目を向けてみたら、考え方が変わるかもしれないと思うのです。

先進国なのに幸福度が低いことから、お金やモノがあっても幸せになれないことは明らかです。そろそろ考え方を変える必要があるのではないかと思います。

人生に悩んでいる方は、非地位財に目を向けてみてはいかがでしょう?

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