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論文執筆の手順の一工夫

こんにちは。

今日は論文執筆において私が意識していた手順をまとめてみたいと思います。
論文執筆とは、研究した内容を文章として形にしていく非常に重要な肯定です。
練りに練った研究デザインによって実施した研究内容を、正確に記述して誤解のない文章として形にしていく必要があります。
ここでは、私が修士論文を執筆するときに考えていた(意識していた)ことをまとめていくことで、少しでも皆様の参考になればと思います。
そして私自身の振り返りとしてもこの記事を活用していきたいと思っています。

まず、論文執筆の個人的なポイントとしては以下の通りです。

①まずは書き記す(殴り書きのつもりで)
②ざっくり手直しする
③時間を置く
④書き換えるくらいのつもりで見直し修正する
⑤誰かに読んでもらう
⑥最後の修正を加える

こちらはあくまでも私個人的なポイントです。
研究内容によっても進め方は異なってくるかもしれませんので、自分自身の研究内容や分野にあった進め方をしていく一つの参考にしてもらえれば良いかもしれません。
ちなみに私の研究分野は、スポーツ科学のコーチング学(体育方法学)でした。
どちらかというと心理学研究に近しい論文を執筆しました。

ではまず順を追って話を進めていきましょう。

①まずは書き記す(殴り書きのつもりで)

研究結果が出終わったら、まずはどの構成で書くかを大まかに決めたらそのまま思いのままに書き記します
構成については似通った論文をモデルとして参考にしながら書くと良いです。
とにかく、これまで調べ上げた先行研究をもとにして既存の知識を踏まえて書き記していきます。
初めから綺麗な文章にしようとしなくても良いです。
最初から完璧な文章で記述しようとすると、何を書こうか悩んでしまい、大幅に時間がかかってしまうかと思います。
文章を完璧に直すのはこの後の工程なので、まずはとにかく殴り書くつもりで文章を記述していきましょう。
ただ、後から修正するときに大きな手間になるので、必ず論文の記述の原則である常体で記述します。

②ざっくり手直しする

一通り書ききることができたら、一度読み直し、接続詞が正しく使われているか、論理的な文章になっているか、先行研究と異なった記述をしていないか、矛盾する部分がないかなどを確かめ、修正します。
また論文としての体裁も整えておきます(提出先の規約に合わせて)。
そして、構成に気になるところがあれば内容の組み直しをして、一通り仕上げるつもりで手直しします。

③時間を置く

ここでいったん一休み。
②の段階を終えると、いったん時間をおきます
いったん頭の中をリセットするためですね。
論文は書き終えた後にしばらくして読むといろいろと修正点が後から見つかったりすることがあります
少し俯瞰して読み直すことで、新たな構成に気づけたり、新たな着想を得たりすることができます。
一つの視点に囚われないためにも、一度時間をおきましょう。

どのくらい時間をおくかについては、論文提出締め切りの期日までの日数を踏まえて考えるべきですが、私は1週間くらいあけられれば一旦フラットな状態になることができるような気がします。
この間に、もう一度先行研究を読み直したり、新たな関連する論文や専門書を読みながら、勉強をしておくと良いと思います。
論文が一通りの形になっているので、どのような論文や専門書を読めば良いのかある程度の方向性を決めやすいので、勉強もしやすいのではないかと思います。

④書き換えるくらいのつもりで見直し修正する

時間をおいたら、再度見直しです。
ここではじっくりと自分自身が記述した論文を読み込みます。
・論理破綻がないかどうか
・先行研究を元に述べられているか
・矛盾が生じていないか
・誰が読んでも同じ解釈になるような文章であるか
・本研究と無関係の記述が含まれていないか
などなど、論文の最終仕上げをするつもりで見直しします。
論文は研究成果を発表するために作成されるものなので、読み手を意識した記述が必要です。
特に、研究成果を伝える上で誤った解釈がなされないよう、誰が読んでも著者が伝えたいことが正しく伝わる文章を意識する必要があります。
一語一語の意味を意識しながら、言葉を選んでいきましょう。

この段階では、とにかく仕上げですので、構成を変えたり文章の記述の仕方を変えたりし、書き換えるつもりで見直すと良いと思います。
私は修士論文を作成したとき、ここで一度大胆に書き直しを行いました。
これも時間をおくことで、自分自身の論文を俯瞰して捉えることができたからこそ、より研究成果が伝わりやすい構成に仕上げることができたと思います。

⑤誰かに読んでもらう

見直しが終わったら、必ず誰か(同級生や先輩、後輩など)に読んでもらいます。
論文を執筆した先輩からのフィードバックも重要ですが、同級生や後輩からも読んでもらうと良いと思います。
自分自身が知らなかった先行研究を知っている可能性があるので、より良い論文にしていく上で必要な情報を得られるかもしれませんし、また後輩にとっては今後論文を書く上での勉強にもなります。

論文を一通り読んでもらって、この研究の背景、研究目的、研究結果、考察をどのように理解したか端的に話してもらいましょう。
話してもらった内容が自分自身が主張したい内容と一致していれば良いのですが、異なった解釈がされていれば文章の書き直しが必要になるかと思います。
とにかく、論文は研究成果を正しく伝えることが大事です。
読み手からのフィードバックとして、内容が正しく伝わっているかどうかをまず確かめていきましょう。
また、論理破綻、矛盾、解釈に悩むところがなかったかどうかも確認してもらうと良いと思います。

⑥最後の修正を加える

フィードバックをもらった上で、最後の修正に入ります。
私はこの段階に持ってきたのが修論提出のかなり前(確か2ヶ月くらい前)だったので、ここで指導教員に本格的に目を通してもらいました。
極力論文の進捗状況はまめに指導教員と連絡を取りながら指導していただくことが重要ですが、私は比較的取り掛かりが早かった(研究室内で一番最初に取り掛かった)ので、本格的に目を通してもらうのは先に一通り仕上げてからにしようとしていました。
どのタイミングで指導教員の目を通してもらうかは皆様の進捗次第ですが、指導していただくことにも時間と労力を先生にかけることになりますので、極力早い段階からまめにお願いすることがベストではないかと思います。

この段階で、提出できるところまで仕上げていきます。
最終チェックも時間的余裕を持っておきたいところです。
時間に追われるとチェックも疎かになってしまいます。
極力早い段階で修正を終え、最終チェックに入りましょう。
提出1週間前までには終えれられると理想ですね。
余裕があればもう一度読み直しても良いかもしれません。

まとめ

私は修論執筆の際は一度一から書き直したといっていいくらい、大胆に修正しました。
私自身の中では論文を書いた時に、しっかりと書くことができたと思っていても、実施した研究内容にとっては不必要な部分があったり、逆に十分に説明が出来ておらず伝わりにくい部分があったりしました。
そして何より、こうした手順を通し書き直すことで、前よりももっと良い表現ができるようになりました。

自分自身の知識で生み出せる文章は、学べば学ぶほど変化します。
再度論文や専門書に触れると、事前に先行研究を調べ上げていたとしても自分自身の研究に必要な内容を新たに見つけることもあります。
また新聞や本を読むと”接続詞の使い方”など、文章を構成するために必要な基本部分を見直すこともできます。

論文執筆前からこうした調べ作業や文章力を鍛えることはしておくべきですが、執筆途中にも一度これらを見直せる時間を設けると良いと思います。
そうした意味でも時間をおく③の工程を設けたいところです。

加えて、見直すには自分自身の知識や論理的思考力もブラッシュアップされている必要があります。
極力自分自身の論文を見直す段階では、自分自身の脳内が更新された状態でいたいものです。
論文を書いた段階と同じ視点で見直してもなかなか直すべきところには気づけません。
論文を書き直すという作業は、言い換えると自身の脳に記録された知識を加筆修正して更新するようなものでしょうか。
一通り学び直すということも、労力がかかりますが余裕があればやってみても良いかと思います。

いかがでしたでしょうか。
論文執筆は非常に労力がかかりますが、研究成果を形にする大切な工程です。
出来る限り時間にゆとりが持てるように頑張りましょう。

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