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共産主義はなぜ悪いのか? 〜平等が奴隷を作る〜

共産主義を毛嫌いする日本人は多いが、共産主義が何かを知らない日本人が多い。学生運動時代のイメージが色濃く残っている世代もいるが、多くの若者は、単に中国が嫌いというのがその理由だろう。共産主義の本質を知れば、むしろ中国に対するイメージが変わるかも知れない。


共産主義とは

資本家や世襲一族による支配を否定し、国民の財産を共同所有する事で、全ての国民が平等な社会を実現させる社会体制である。要するに、金持ちが権力を持つ社会から脱却し、みんな平等に富の再分配を徹底させようと言う社会である。「みんな平等なら、幸せも平等、不満も平等。みんなで頑張れば幸せに暮らせるよ〜」という、理念なのである。具体的には、国民の財産は全て国家の所有物であり、全ての職業が国営になる。賃金は一律固定給。国民全員、国家公務員!将来も安泰だ!バンザーイ!

というのが共産主義である。因みに社会主義と何が違うのかと言えば、共産主義は労働者の労働者による労働者のための政治が基本にあり、社会主義は労働者の中産階級による国民のための政治である。共産主義は、労働者が革命を起こして、財産を国が管理し、平等に賃金が分配支給されるのに対し、中産階級が革命を起こして、最善の国家体制を模索するのだから、社会主義の手段はは多岐に渡る。共産主義的な富の分配をする国家体制もあるが、別の国家体制もあり得るのである。

さて、共産主義の理想はとても素晴らしく見える。貧富の差はなく、誰もが平等に生きる社会。国家体制の理想ではないだろうかと思ってしまう。だが、現実の共産主義国の国民は幸せに見えるだろうか。
冷戦時代は30ヵ国以上の国家が共産主義だったが、ソビエト連邦の崩壊を機に冷戦が終結すると、北朝鮮なども含め、多くの国々は共産主義を捨た。共産主義は敗北し、資本主義の軍門に下ったのか?
今や現存する共産主義国家は
中国、ベトナム、ラオス、キューバ。
この4ヵ国しか存在しない。


共産主義革命

共産主義は、資本主義への反抗心による革命で始まった。共産革命は、腐敗した資本主義への怒りのパワーで革命が起きる。労働者たちが既存政権を倒し、大きな力で政権を勝ち取る為、エネルギーが高い。
そして、労働者たちが富裕層の土地や財産を没収し、丸々と肥えた資本主義の豚どもを、労働者と同じ身分に叩き落とす‼︎

さぞ気持ちがよいだろうなぁ。想像しただけでワクワクする話だ。
これぞ共産革命の醍醐味!

政権を奪取し、労働者の中から労働者の気持ちをわかってくれる、オレたちの指導者が、選ばれる!新しい指導者の号令の元、国が動き出して経済が回り始める。パワーが漲り、生活が始まる。みんな平等って素晴らしい!どんな仕事も上司も部下も、みんなおんなじ賃金だ!理想国家バンザーイ!

だが、そんな体制が10年も続くと、革命の熱も冷めてくる。働き者も怠け者も、同じ賃金だから怠け者が増える。生産力が落ち、国民の賃金が減り、インフレが起きる。

それを防ぐ為に、社会が怠け者をいじめるようになる。怠け者は社会の敵だ!と、国民同士がお互いを監視し合う社会に変貌してゆく。コレを国家が放って置くと、リンチなどで死者が出るので、国家労働管理局から怠け者に鞭を打つ(←比喩だよ)監視員が置かれたりする。冷戦時代は労働意欲を鼓舞させるため、資本主義国家の躍進を国家の敵と定め「資本主義の白い豚どもに負けるな!」と士気を高めていた。


キューバの場合

キューバは共産主義唯一の成功例と言えるかも知れない。共産主義の理想を信じたチェ・ゲバラの活躍により、カストロを指導者とした人口1千万人規模の小さな共産主義国が誕生した。一時は米国をも脅かす勢いがあった。だが冷戦後は、のんびりしている。同一賃金で葉巻をくゆらし、ラテンの音楽を楽しむ質素な暮らしだ。キューバは自立国家だ。発展よりも現状維持。自給自足を基本としている。石油が出るため、国のエネルギーは自給される。輸出品は葉巻が高値で売れるが、主な収入源は観光だ。国民の食糧は輸入に頼っている。だが食事の選択肢は少ない。食糧は配給されるからだ。更に夜は出来るだけ電気を使わずランプなどを使うよう規制がある。制限された自由の中で、自給自足できるエネルギーがあるため、小国だからこそ可能な巨大な生活共同体のような形として成り立っている。


中国の場合

冷戦後、中国は国家の敵を日本と米国に定め、士気を高めた。軍需産業を特権階級にし、国力を高める労働を奨励した。
特に、中国の共産党と国民党の内戦に於いて、国民党を援護した日本を仮想敵国とみなし、国民の歴史教育で日本への怒りを植え付け、労働意欲を鼓舞し続けた。日中国交回復後、日本は中国に工場を誘致し、日本の労働力として中国人を使ったが、逆に日本はまんまと技術を盗まれ、中国はそれを足掛かりに大国へと成長した。中国は成長させる為に、国民の賃金の上昇は少なくし、その分共産党員と特権階級を増やした。
中国共産党による国家の成長は、怒りのパワーを利用し、国民を奴隷のように働かせる事で成し遂げたのだ。そして、現在労働賃金を一気に上げたもんだから、富裕層が増え、マナーを知らない成金労働者が各国で爆買いなどトラブルを巻き起こしているのは、皆さまご承知の通りである。


ベトナム・ラオスの場合

ベトナム戦争が終わったベトナムとラオスは、平和ムードの共産主義国家となった。特に冷戦後は至ってのんびり。平和な共産主義国家と言われていた。元々勤勉な国民性ではあるが、みんなおんなじ賃金なので、みんな仕事はぼちぼちやっている。指導者も厳しくないので、インフレが起きて、緩やかに生産力は落ちていった。2000年代に低賃金の労働力として、各国から工場が誘致され、国が潤ったが、中国のように技術を盗むアグレッシブさがないので、やはり生産力が落ちて行く。そして各国の本社から工場に労働監視員が置かれ、海外企業の工場の労働環境は厳しくなった。一時期ナイキは、50%の生産量をベトナム工場に作らせていたが、労働環境が劣悪だと騒がれ、ベトナム政府は労働組合を作らせて対応し、国家主導のストライキにまで発展した。更に、ベトナムは国内の輸出産業が乏しい為、労働者を輸出するようになった。日本にも多くのベトナム人労働者が来ているが、彼らがどのような扱いを受けているかは、ご存知の通り。今治市のタオルメーカーで、劣悪な労働環境が問題になった。ラオスでは、ベトナムに追従する様に、工場誘致が盛んだが、既に生産量の低下が問題視され始めている。

「理想の平等な社会」の裏に潜む罠

共産主義はなぜ、理想の社会にならないのか。
共産主義は、不正のない平等な社会を作るという高い志で革命が起きるため、最初の勢いは凄い。だが、その熱が醒めると、同一賃金になる為、労働意欲の低下を招き、生産力が落ちる。

平等は競争原理が働かないのだ。

だから怠け者のケツを叩くため(←比喩だよ)監視社会になる。国民が萎縮し、自然と個性を押し殺してゆく。そして国家に言われた事だけをすればいいだけの「問題のない生活」を続ける事になり、自主性を失うのである。

国民が皆、平等な奴隷になるのである。

奴隷の心になると人は、自主性を失い何もしていない事が幸せになる。だから仕事を怠ける。雇用する側は生産量を上げる為に、厳しくしなければならない。ホストクラブにハマった女性が多額の借金を背負わせ不幸な境遇に追い込む事で「絶対やらない」と言っていた性風俗で働くようになるのも同じ原理だ。
奴隷は不幸になるほどよく働くのである。

もし、中国共産党が国民に優しく、特権階級を作らず賃金を平等に分配し、日本に対する敵対意識を植え付けなければ、国力は衰え、ソ連のように崩壊するか、世界最大の奴隷産出国になっていたであろう。それが共産主義の宿命なのだ。共産主義という道が正義だと言うのなら、中国共産党は、それを全うしたに過ぎない。国民を他国の奴隷にせず、自国の奴隷にして大国にのし上がったのだ。

共産主義の正体

共産主義は実に巧妙な詐欺だ。
理想社会と称して心を掴み、国民を奴隷化してしまうのだ。この共産主義のモデルは聖書にある。マルクスはユダヤ教徒であった。だが、神に絶望し、神への復讐と称して共産主義を作った。それはキリスト教が、聖書の全ての人は平等であるという理想論で心を掴み、神に身を捧げる信者たちが、神の奴隷になる姿に似ている。キリスト教も奴隷を作る。信者は聖書の枠からから外れた行動をとると、心が罪悪感で縛られる。監視されている者たちと同じだ。だから従順になり、奴隷として使いやすい人間になる。だからキリスト教は侵略する国に、宣教師を送り込み布教をした。
共産主義は、聖書と同じ「平等」で、人々を奴隷にするのである。
「平等」は国民の平均化である。平均値は優劣を作る。劣る者は叩かれ、平均化される。それは個性を許容しない社会。多様性の否定なのだ。それは共産主義と聖書の共通するテーマである。聖書から、宗教色を排除すると、共産主義になるのだ。人は、神ならぬ指導者の前に平等な奴隷となるのである。

だがらマルクスは神への復讐として、神の奴隷を奪うために共産主義を作ったと言われているのだが、「人は言葉より行動で決まる」と言う観点から見れば、それは人々を奴隷にする事に変わりはなく、ユダヤ教の目的を果たしているに過ぎない。ユダヤ教の目的は、人類を奴隷化して、自分たちだけが搾取して幸せになる世界を作る事なのだから。

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