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旅行記:北アイルランドの首府、ベルファスト(Belfast)

飛行機で1時間の場所に住んでいると言うのに、コロナ禍では思うように彼にも会えず、もどかしいですね。

ドイツ行きがドタバタキャンセルになった、あのクリスマス事件から3週間。

イエス・キリストの誕生日に会えなくても、彼の誕生日には絶対に会うんだから!と、私たちがリベンジ旅行に選んだ先は、北アイルランド(Northern Ireland)の首府、ベルファスト(Belfast)。

イギリスの一部である北アイルランドへの旅行は、イングランドに住む私にとっては国内旅行。

そして、イギリスのEU離脱と同時に制定された北アイルランド議定書のおかげで、アイルランドと北アイルランドとの間はパスポートチェックなどもないため(CTA - Common Travel Area: 共通旅行区域)、欧州であるアイルランドにも入国できるのです。ありがたい!!


ベルファストに行ってみよう!

ベルファストってどこ?

ベルファスト(Belfast)はロンドンから飛行機で1時間半、マンチェスターから飛行機で1時間の場所に位置する、北アイルランド最大の都市。

日本で生まれ育った私は、あまり聞き慣れていなかった名前ですが、ヨーロッパ在住の人たちにとっては北アイルランド問題(The Troubles)が記憶に新しい様です。

北アイルランド問題ってなに?
北アイルランドって、アイルランドとなにが違うの?

と思った方のために、こちらの記事を書きました。


私自身、今回の旅行が決まるまで、ベルファストだけでなく北アイルランド・アイルランド共和国の歴史について無知でした。

知れば知るほど答えがわからないながらも、両国の譲れない側面、忘れてはいけない様々な事件について調べてから旅行に挑んだので、ベルファストという街の隅々までもがとても興味深かかったです。

日本国内にいると経験し得ない、宗教絡みの領土問題。少し長いですが、旅の前にぜひ読んでみてください。



北アイルランドの入国ルール

2022年1月31日現在の、北アイルランドの入国ルール(イギリス国外から入国する場合+ワクチン接種完了者向け)は以下の通りです。

  1. 入国前のPCR検査もしくは入国後の自己隔離が不要

  2. 入国48時間前から入国前までに、Passenger Locator Formを記入

  3. Day2テスト(Lateral Flow Antigen Test可)の予約・購入

  4. ワクチンパスポートの準備


1番
に関しては、どちらかをやらなければ、どちらかはやらなければならないので、ご注意を。ややこしい。笑

ドイツから入国した彼の場合は、入国前のPCR検査を行ったので、入国後は自己隔離無しで滞在を楽しむことができました。

2番に関しては、下記記事をご参考ください。


渡航条件はややこしい上、コロナ禍では条件の変更が頻繁に行われるので、渡航前には必ずご自身で政府のホームページをチェックしてください。
本記事は、あくまでもご参考までに。

北アイル渡航条件はこちら
アイルランドの渡航条件はこちら


【朗報】2月11日から上記入国ルールが変更となります!変更後は、

  1. 入国前のPCR検査もしくは入国後の自己隔離が不要

  2. 入国48時間前から入国前までに、Passenger Locator Formを記入

  3. Day2テスト(Lateral Flow Antigen Test可)の予約・購入

  4. ワクチンパスポートの準備

入国しやすくなりますね!


ベルファスト国際空港(Belfast International Airport)から市内へ


エアポートバス(Airport Express 300)

ベルファスト中心部に位置するヨーロッパ・バスステーション(Europa Bus Station)へは、ベルファスト国際空港到着口の目の前にあるバス停から出てるエアポートバス(Airport Express 300)でおよそ30分。
バスは30分おきに出てるので、とても便利です!

エアポートバスを利用する際は、下記点に注意してください!

  • バス内でチケットを購入する場合は現金のみ

  • オンラインでのチケット購入はTranslinkを利用

  • ただし、ウェブサイトからの購入は時間指定必須、変更不可、購入したチケットは予約した時間のバスのみ有効

  • Translink App(Androidはこちら)内で購入する場合は、時間指定無しで購入可能

片道チケット£8、往復チケット£11(有効期限:購入から1ヶ月以内)。アプリをダウンロードして、往復チケットの購入がおすすめです!



ベルファスト・シティ空港(George Best Belfast City Airport)から市内へ


エアポートバス(Airport Express 600)

こちらも同じくベルファスト・シティ空港より、ヨーロッパ・バスステーション行きのエアポートバス(Airport Express 600)に乗ると、およそ13分でベルファスト市内に到着します。

片道チケット£2.60、往復チケット£4(有効期限:1ヶ月)


電車(NIRailways)

ベルファスト・シティ空港最寄駅のサイデンハム駅(Sydenham Train Station)からベルファスト・セントラル駅(Belfast Central Station)まではおよそ6分、グレート・ヴィクトリア・ストリート駅(Great Victoria Street Station)まではおよそ17分で到着します。

片道チケット£2.00 ※1時間に1本しかないのでご注意ください



デイトリップにもぴったり!ベルファスト観光プラン

今回のベルファスト滞在は1日のみ。限られた時間の中でも、うまく周れば主要な観光地はもちろん、お洒落なパブやレストランにも行けて大満足!

実際に私たちが、1日で周った場所をご紹介します。


①ベルファスト市庁舎周辺

まずは街の中心、ベルファスト市庁舎より上のエリアをご紹介します!


ベルファスト市庁舎(Belfast City Hall)

市庁舎付近はショッピング街なので、待ち合わせスポットとしても便利です。市庁舎前にはベンチが置いてあるので、晴れた日にはテイクアウトのコーヒー片手に休憩するのも、気持ちがいいですよ!

市庁舎内には16部屋にわたってベルファストに関する様々な資料が展示されており、入場料金も無料で見ることができるそうです。(2022年1月25日現在は、コロナウイルスの影響で中止しています)

Belfast City Hall, Belfast,
BT1 5GS


パブ:デューク・オブ・ヨーク(Duke of York)

開店から200年以上の老舗パブ、デューク・オブ・ヨーク。
パブのある路地コマーシャル・コート(Commercial Court)は、夕方になるとカラフルなライトアップが施されます。

表通りから入って細道を抜けた私は、今から何が待ち受けているのか、無性にワクワクしたことを覚えています。

壁、天井一面に様々なプレートや、写真がランダムに飾られているのに、なぜかそのごちゃごちゃが落ち着くのです。

それぞれテーブルにはこんな風に絵が描いてあります。ぜひ、あなたのお気に入りを探してみて!

華やかな店内で一際目立った、1973年6月15日の記事。

当時、北アイルランド領土問題でIRA暫定派によるテロが多発していたベルファスト。ある1人のテロリストが最高裁判所を爆破する予定が、検問所まで来てしまい、路地裏から逃げたのです。しかし無惨にも爆弾は早々に爆発し、デューク・オブ・ヨークは倒壊してしまったのです。

北アイルランド問題の歴史が垣間見れるのは、ベルファスト観光の醍醐味です。

Duke of York
7-11 Commercial Ct, Belfast 
BT1 2NB


パブ:ディアズ・ヘッド(The Deer's Head)

ディアズ・ヘッドが開店したのは1885年。その当時は、同じ通りにパブが12店舗、酒販店が4店舗集まっていたそうですが、現在まで営業しているのはディアズ・ヘッドのみ。

デューク・オブ・ヨークとは違い、ディアズ・ヘッドは全体がジュニパー色で包まれたとても落ち着きのあるパブ。

店内にはベルズビール醸造所(Bell's Brewery)が併設されており、もちろんバーではタップ(樽に繋がった注ぎ口)からビールをいただけます。

1778年に創業したベルズビール醸造所は、産業革命後、ダブリンへと移動したほかの醸造所とは違い、ベルファストに残るとても貴重な古い醸造所です。

ブリュワリーパブらしく、飲み比べメニューもあります

ギネスビールに飽きたら、ぜひディアズ・ヘッドでベルズビールを。

ウイスキーを頼んだらこんな素敵なトレーに!さすがディアズ・ヘッド(鹿の頭)

The Deer's Head
1-3 Lower Garfield St, Belfast 
BT1 1FP


レストラン:フィッシュ・シティ(Fish City)

アイルランド島にきたら絶対にシーフードを食べるんだ!と決めていた私たち。フィッシュ・シティはベルファスト中心街に構えている、フィッシュ&チップスアワード受賞レストランです。

今はコロナウイルスの影響でお客さんが減ってしまいましたが、以前は予約必須の大人気レストランだったそう。

フィッシュ・シティが誇る看板メニュー、フィッシュ&チップスは彼が頼んでくれたので、私はシーフード・チャウダー(Seafood Chowder)をいただきました。
備え付けは、自家製のギネスビールパン!ほんのり甘くて、黒糖パンの様な味です。

Fish City
33 Ann St, Belfast 
BT1 4EB


番外編(ストリートアート)

ベルファストの街には、あらゆる壁にハイクオリティな絵が描いてあります。

メインストリートの建物の壁から、路地裏まで、探し始めたら本当にキリがないくらいたくさんあります。

街歩きしながら、お気に入りのストリートアートを見つけてみてください。壁を見ているだけで楽しめちゃう街なんて、とっても素敵ですよね。



②ラガン川周辺

ベルファスト散策で一番気持ちがよかったのは、断然ラガン川沿い!朝一番にぜひ散歩しに行ってみてください。ラガン川周辺も、見どころ満載です。


聖ジョージ・マーケット(St George's Market)

旅先で必ず訪れる現地のマーケット。今回も行くぞ!と意気込んでいたのですが、あいにくの定休日…。

中の様子は、ぜひオフィシャルサイトよりご覧ください。

中には入れなかったけど、可愛い銅像が見れたから良しとします。

'Alec the Goose' 1923-1929 A former patron of St. George's Market
アレック・ザ・グース 1923年〜1929年、聖ジョージ・マーケットのかつてのお得意様


アート作品がたくさんある川沿い

壁画も多く見られるベルファストは、特に川沿いにはたくさんのアート作品が飾られていました。

まるで、街全体が美術館のようです。

ビッグ・フィッシュ(画像上)は1999年にセラミックタイルで作られた、全長10mの作品です。

このモニュメントは、ベルファストの歴史に関連する文章や画像で装飾されたセラミックタイルで覆われています。

チューダー王朝時代から現代の新聞の見出しまでの資料と、ベルファストの学校の子供たちなどを見受けられます。

ベルファストの歴史をぎゅっと詰めた、タイムカプセルですね。

The Salmon of Knowledge (The Big Fish)
Donegall Quay, Belfast 
BT1 3NG


対岸に渡ると、都市開発真っ只中のエリアに入ります。

その中で一際目立つ不思議な筒の集合体。

中に入ると立っている場所の頭上だけが音が鳴るサウンド・ヤード。そんな不思議な仕掛けを体験できる場所です。

SoundYard - Maritime Belfast
2 Queens Quay, Belfast 
BT3 9QQ


カフェ:ペーパーカップ(Paper Cup)

朝のお散歩中、少しお腹が空いてきたので小腹を満たすために入ったカフェ、ペーパー・カップ。

ショーケース内のサンドウィッチ、お惣菜パン、ケーキは全て手作りです。いただいたカフェラテとソーセージロールは、もう感動モノの絶品。

近所にこういうカフェあると、毎日通いたくなりますよね。

13 Block, 11 ARC Queens Road, Titanic Quarter 
BT3 9DH



タイタニック博物館(Titanic Belfast)

SS Nomadic

ペーパー・カップから少し北に歩くとすぐに見えてきます。ノマディック号です。この船は、外航客船だったオリンピック号とタイタニック号との間で、乗客や郵便物の受け渡しをするために建造されました。

その奥に見えているのが、世界的に有名な豪華客船・タイタニック号を建造したハーランド&ウルフ造船所跡地に作られた博物館、タイタニック博物館です。

1912年の処女航海中に氷山に衝突して沈没したタイタニック号とその姉妹船であるオリンピック号、ブリタニック号のストーリーを学ぶことができます。

オンラインでの事前予約が必須なので、ご注意を。入場料は2022年2月1日より値上がりするようで、大人 £21.50、子供(5歳〜15歳)£10.00、学生 £17.00です。

Titanic Belfast
1 Olympic Way, Queen's Road, Belfast 
BT3 9EP



③ヨーロッパ・ホテル周辺

ベルファストとあらゆる都市を結ぶターミナル駅、ヨーロッパ・バスステーションがあるエリア。ダブリン行きのバスも、このエリアから出発します。


ヨーロッパ・ホテル(Europa Hotel)

空港から市内に出ると、まず初めに降り立つのがここ、ヨーロッパ・ホテルです。

このホテルは、1970年代から90年代にかけて当時のアイルランド共和国私兵組織IRA暫定派によって、33回もの爆撃を受けたことでも非常に有名なホテルです。

当時は、観光客が宿泊することはなく、各地から訪れた多くのジャーナリストたちの社交場ともなっていたそうです。

北アイルランドとアイルランド共和国、なにが違うの?』の記事でも紹介しましたが、この動画では当時の爆撃の様子を見ることができます。



パブ:クラウン・リカー・サロン(Crown Liquor Salon Belfast)

ヨーロッパ・ホテルの目と鼻の先に堂々と構えている唯一無二のパブ、クラウン・リカー・サロン。通称、ザ・クラウン・バー(The Crown Bar)。

ナショナルトラストにも登録されている、ベルファストに訪れた人には必ず入ってほしいパブNo.1です。

足を踏み入れた瞬間から、ヴィクトリア時代にタイムスリップした様な、このパブだけ200年間時が止まっている様な、そんな貴重な体験ができます。

内装に使用されている木製の柱や、個室(スナッグス:Snugs)の枠などは、およそ300年前に大聖堂内の装飾を担当していた職人が創ったもの。

足元にはヒーターが設置されており、当時の人たちは駅前にあるこのパブで雨で濡れた足元を乾かしながらビールを飲み、次の電車を待っていたそう。

また10個の完全プライベートの個室を備えていて、現在でも気軽に個室の利用が可能です。

私たちが訪れたときは、人が少なかったこともあってか個室の利用も案内されましたが、コロナの影響もあって個室人気は高いはずなので、事前予約をおすすめします。予約の際には、Booking Typeの欄でSnug(個室)を選んでください。

Crown Liquor Salon Belfast
46 Great Victoria St, Belfast 
BT2 7BA


④平和の壁(カトリック居住地域)周辺

このエリアでは、北アイルランド問題の爪痕を垣間見ることができます。

北アイルランドの領土問題は、簡単にいうと宗教問題です。800年以上前からカトリックが統治していたアイルランド島に、プロテスタント側のイングランドが途中で領土を主張し始め、それが今でも残っているのです。

ベルファストの街も分かりやすく、プロテスタント居住地域とカトリック居住地域に分裂しています。


ディヴィス・ストリート(Divis Street)

ベルファスト中心部から西に歩いて環状道路を越えると、ガラッと雰囲気が変わったことを肌で感じます。

理由は紛れもなく、これらの壁画。とにかく分かりやすく、アイルランド共和国の国旗色である、緑とオレンジを主張しています。

上の画像の一番右側にある絵の様に、北アイルランドと同様に、領土問題が故にイスラエルとの間で紛争が起きているパレスチナを擁護する壁画がたくさんあります。

Divis St, Belfast 
BT12 4QA



また、紛争中に亡くなった方々のこのようなお墓が、街中のあらゆるところに設置されています。お墓には決まって、緑とオレンジが基調のお花が備えられています。

平和の壁沿いに設置されていて、カトリック居住地域とプロテスタント居住地域を分割するための上の様なゲートは、夜になると行き来できなくするために、今でも毎晩閉まるそうです。



アイルランド共和軍ミュージアム(Irish Republican History Museum)

メインストリートをお散歩していると、絶対に気付くことがないこのミュージアム。紛争当時、イギリス軍に捕まっていた収監されていたアイリーン・ヒッキーという女性の妹さんが運営するミュージアムで、当時の監獄のレプリカや監獄生活の様子などを説明してくれます。

紛争中、『イギリス軍』が起こした悲惨な事件の詳細が学べる場所。時間に余裕があれば、ぜひ訪れてみてください。

Irish Republican History Museum
5 Conway Pl, Belfast 
BT13 2DA


ボビー・サンズ壁画(Bobby Sands Mural)

ベルファストの壁画として、おそらく最も有名なのがこちら。

マーガレット・サッチャー首相が、ボビー・サンズらIRA暫定派の行為を、政治活動ではなく犯罪とみなし、政治犯としての権利を剥奪したことにより、ボビー・サンズを筆頭に、受刑者たちは獄中でハンガー・ストライキを決行しました。

アイルランド共和国では殉教者となったボビー・サンズの葬儀には10万人以上が集り、現在でも北アイルランドのカトリック居住地域では、この壁画が物語っているように、命をかけて正義を貫いた英雄として語り継がれています。

Bobby Sands Mural
49 Falls Rd, Belfast 
BT13 2QR



最後に

おそらく、よっぽどのことがない限り日本から直接ベルファストへと訪れる方は少ないと思います。

しかし、もしアイルランド・ダブリンへ旅行に行くことがあるなら、イギリスに住んでいるなら、ぜひ一度は訪れてほしい街です。

そして、少しでも北アイルランドについて理解を深めてみたいと思う方がいれば、ぜひ大まかな歴史を学んだ上で街を歩いてみてください。

この街の見え方が、180度変わると思います。


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