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不水溶性な日常

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少しのこと、たくさんのこと、いっぱい考えたこと…についてのエッセイ。 あんなことやこんなことを誰かと共有できたらいいなと思っています。
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2021年3月の記事一覧

時として正義は滑稽さを増幅させる

時として正義は滑稽さを増幅させる

狭い道の十字路で、自転車と自転車が軽くぶつかった。ひとりは若い男子で、もうひとりはおじいさんと呼んでもいいくらいの年配の男性だ。私はちょうどぶつかるところに居合わせてすべてを見ていた。結論から言うと悪いのは年配男性だった。若者は十字路の角に差し掛かった時、一時停止して左右を確認してから再度漕ぎ出した。そこにちょっとスピードを出して突進してきた年配男性とぶつかったのだ。双方倒れるほどではなかったが、

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作家の書いたものは、結局、作家の器を超えない。

作家の書いたものは、結局、作家の器を超えない。

編集者の川治豊成さんによると、文章には体臭のような匂いがあって、読まなくてもその文章を絵を見るようにパラパラと見ただけで面白そうだなとかつまらなそうだなとかがわかるらしい。
でも匂いの好みは人それぞれ。だから絶対的に「これが良い」というものはないのだそうだ。爽やかな匂いが好きな人もいれば、ねっとりとした甘い匂いが好きな人もいる。中には人が嫌がる匂いが好きな変わり者もいるが、それもまたその人の好みだ

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貧乏とは、かくなるもの。

貧乏とは、かくなるもの。

朝起きてキッチンに入ると、ぽわ〜んと文旦のいい香りがする。先日、高知県の方から頂いた。食べる楽しみもあるが、この香りがなくなると思うとなかなか食べきれないでいる。根が貧乏性なのだろう。なくなれば自分で買ってくればいいではないかということになかなか行きつかない。その砲丸投げほどある丸いものを手に取って鼻にくっ付ける。恍惚感が一気に溢れ出す。

食べきれないものは他にもある。深谷のネギだ。ネギの香りも

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