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小説「カイゴはツライ?」

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職安の職業訓練で介護ヘルパー1級を取得し、老人ホームで働き始めたユリの介護体験記録である。ユニット型の特養から従来型の特養への異動、ホームヘルパー兼ケアマネジャーへの転職。保険者…
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記事一覧

カイゴはツライ?第26話~海鳥さんについての忘れがたい体験

亡くなった海鳥さんのことで、ユリには信じがたい、忘れがたい体験があった。 ある夜勤の時に…

myoumyou
3年前

カイゴはツライ?第25話~海鳥さんの死で仕事への自信をなくしてしまう

ユリのユニットには、海鳥さんという98歳のおばあさんがいた。認知症で会話はほとんど成り立た…

myoumyou
3年前

カイゴはツライ?第24話~自己流介護よさらば!

ユリはインターネットでみつけた介護福祉士実技試験対策講座にさっそく申し込んだ。1日がかり…

myoumyou
3年前
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カイゴはツライ?第23話~あっという間に終わった実技試験

実技試験の試験会場は郊外の大学だった。実技試験は一人ずつ行うので人手と時間がかかる。学生…

myoumyou
3年前
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カイゴはツライ?第22話~介護福祉士国家試験に挑戦その2

介護福祉士国家試験当日、ユリは職場の仲間たちと試験会場に向かった。コンサートなどにも使う…

myoumyou
3年前

カイゴはツライ?第21話~介護福祉士国家試験に挑戦その1

ユリが介護施設に就職して3年が経過しようとしていた。介護現場で3年働けば介護福祉士国家試験…

myoumyou
3年前
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カイゴはツライ?第20話~入居者の死亡は通常の出来事として忘れ去られていく

越山さんの死亡は嘱託医によって病死とされ、高齢で寝たきり、意思疎通もできない状態であったため、家族はとくに不信感を抱くこともなく納得したとのことであった。 内藤さんには施設長と看護部長から形ばかりの聞き取りはあったが、とくに注意もなく老人ホームで起きる通常の出来事として処理された。 内藤さんのこれまでの勤務ぶりや当日の怠慢は職員間でかなり批判があったが、トップはそれらを知ってか知らずかなんのお咎めもなく、職員間の不満は大きかった。 しかし、一部の職員に不満はくすぶっているとは

カイゴはツライ?第19話~とうとう入居者が亡くなる

ユリが遅番で出勤すると、管理室でユニットリーダーの松岡さんが他のユニットのリーダーである…

myoumyou
3年前

カイゴはツライ?第18話~我が世の春を謳歌する狼藉甚だしい介護職員

内藤さんのひどい仕事ぶりは当然介護部長や施設長の耳にまで届いていたが、多少の注意を受ける…

myoumyou
3年前
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カイゴはツライ?第17話~生活能力ゼロの30代女性介護士

 最初のうち、職員間での内藤さんの評判はすこぶるよかった。委員会などでのあいさつも、ユー…

myoumyou
3年前

カイゴはツライ?第16話~即戦力となる期待の新職員だが…

介護業界は離職率が他の業種に比べ、非常に高かったが、ユリの勤務する施設でも退職者は多かっ…

myoumyou
3年前
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カイゴはツライ?第15話~あつあつごはんに苦情がくる

もめにもめた各ユニットでのごはん炊きは、ひとつのフロアで共同で炊くということに落ち着いた…

myoumyou
3年前

カイゴはツライ?第14話~逃げ口上もここまでくると…

各ユニットでごはんを炊くべきか否か、もはや職員間を二分する大騒動となっていた。施設長と介…

myoumyou
3年前

カイゴはツライ?第13話~ごはんを炊くのはいいけれど…

ユニットケアは、少人数ならではのよさもあるが、少人数ゆえの大変さ不便さもある。これは当然のことだ。だがユニットケアしか知らないユリにとっては、当たり前のそんな事実も、従来型の集団ケアを経験している職員にとっては違っていた。ユニット型は画期的なすばらしいケア方法であり、少々の不都合に文句を言うのはおかしい、家庭的なケアで正しいのだといった正論がまかりとおっていた。ユリのユニットのリーダーである松岡さんもそんな職員のひとりであった。あるとき、突然松岡さんが「ごはんを炊かないのは、