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#108_【事業】2024年新年のご挨拶②_島から人とモノの動きを考える

昨日は、新年の目標のひとつ、「土木遺産・景観保全活動を考えるプロジェクトの発足」について書きました。

今日はふたつめ、「島から人とモノの動きを考える」について、書いていきたいと思います。


島から人とモノの動きを考える

対馬は、日本と大陸とを結ぶ大事な場所であり、外交や交易において大きな役割を果たしてきました。
近年では、航空機の登場や船舶の大型化と居住性の向上などにより、対馬の位置づけや捉えられ方が変わっていそうですが、大陸との架け橋であり、玄関口でもあった対馬にいることで分かること、そして少子高齢化が著しいスピードで進む対馬から予測される日本の将来について掘り下げていくと面白いことが出てきそうに思い、今年の調査研究テーマにしようと思いました。


海上交通、海運

昨年、長崎市内で行われたとあるセミナーに参加した時のこと、隣の席にいらっしゃったのは船舶内装工事をしている会社の方でした。
企業PRというお題でグループワークをしていた時、その方は「外国からやってくるものの99.6%(2022年、トン数ベース)は、海からやって来る」という話を力説されていました。
参加者のほとんどが長崎県民だったはずですので、造船業を取り巻く環境が厳しいとはいえ、ほとんどの方が「へぇ~」と思うあたり不思議に思いましたが、船がないと困るのは、離島だけの話ではありません。

【フェリーに荷物を積み込む作業中です。】
【フェリーでやって来た品物を納品中です。】

そして、日本と大陸とを結ぶ大事な場所であることを裏付けるかのように、海上交通を支えてきたものも対馬にあります。
造船業や漁業が発展したことによって、周辺のものづくりも発展していきましたが、このような足跡を調べることで分かることがあるのではないかと期待しています。

【対馬藩お船江跡です。現在でいう「ドック」ですが、船をたくさん保有していたんでしょうねぇ…。】
【時代の流れで役割が変わった新旧豆酘埼灯台(手前が旧灯台)】
【GPSが普及するまで船舶や航空機の位置情報を知らせる役割を果たしたオメガ塔の部品です。】

ウマ

対馬には、日本在来8馬種のひとつ「対州馬」がおり、農耕に運搬にと対馬の暮らしを支えてきました。

【城下町にウマ、割と似合いますね(^^ )。】

最近原油高に関する話題が上ることが多いので、
「油が高くて困るなら、ウマを飼ったらイイじゃない!」、
と現時点ではなりませんが(゚∇゚;)☆\(-_-;)、
例えば、東日本大震災をきっかけに林業で馬搬(ばはん)が見直されているという話はあるようです(小回りがきくという利点もあるとか)。

軽トラやトラクターがなかった時代に、ウマが人の暮らしにどのような役割を果たしてきたのかと思いを馳せるだけでも十分面白そうですが、もともと日本にいなかったウマが、どのようなルートで入ってきて、歴史を変えたのかという視点で捉えると、世界観が広がりそうです。
その過程で、対馬ではどのようなことが起きたのか、ということにも興味が湧いてきます。

地域の交通

少子高齢化、人口減少社会に突き進む対馬では、交通空白地を作らないようにということで、自動運転の実験が行われています。

【2019年の厳原港まつりに使用された車両です。】
【2022年に上対馬で実験が行われた時の車両です。】

対馬の実験では、主要メンバーの一角に明治大学自動運転社会総合研究所が入っており、事故発生時を想定した法整備や保険のあり方など、社会実装に向けて技術的な話以外にも、様々なことが考えられているようです。
とはいえ、山やトンネルが多い対馬では、それによって車両の現在地が違う場所で認識されてしまうことがあるなど、技術的なハードルが相当高いようで、実現までに時間がかかりそうです。

いよいよ2024年問題を迎え撃つ年に入りましたが、対馬ではすでに韓国人観光客の増加による路線バスの混雑が起きているなど、「自動運転の実用化前につなぎの方法に取り組まねばならんのでは?」と思っていました。
しかしながら最近、「まだその程度のことしか考えていないの?」とあざ笑われるかのように、世の中ではライドシェア導入の議論が急加速しています。

この記事の中で注目の文言は、最後のほうにしれっと書かれている「結論がまとまらなかったら首長が判断できる」という部分です。

この制度(ライドシェア)を巡り運行区域や料金について事前に地元の交通事業者などと協議する義務を緩和する。反対が残り結論がまとまらない場合、自治体の首長が判断できる仕組みも設ける。

2023年12月20日 21:45更新
日本経済新聞電子版 2023年12月31日閲覧

つまり、首長の判断次第で、ライドシェアが導入される自治体とそうでない自治体が発生するということです。「国に言われた通りしていれば良いという考え方が通用しなくなる」という意味で、裁量と責任を伴う画期的な内容ではないかと思います。
まさかの展開に驚きましたが、この流れでいきますと、ライドシェアの話は、単なる「移動」や「交通」の問題ではなく、「有権者も含めた各自治体における政治」の問題にまで発展すると言って過言ではなさそうな、大きな話になりそうです。
地方に住んでいますと、都市部に比べ、良くも悪くも政治との距離が近いと感じますので、課題先進地である対馬から、ライドシェアをめぐる地域の動きを追っていきたいと思います。

明日は、「自分の発信と学びの機会を創り出す」について、書いていきますo(^-^)。

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