見出し画像

【21話】何でもしてくれるーーでも何もさせてくれない夫「それって幸せなの」?

人から「新婚生活はどんな感じ」?と聞かれる事が多かった。私の答えは、「楽だよ。料理をしない、片付けもしない、掃除をしない、洗濯をしないの「しない」尽くしなんだ」。「だったら、全ての時間は自分のために使えるの? 羨ましい」と言われた。友達は子育てや主婦の仕事で相当忙しい毎日を送っていた。ーー確かにそう。全ての時間は仕事に費やす事ができる。

でもそれは私の意思ではない。言い換えれば、生活をコントロールされていた。例えばキッチンの使い方を見張っていたり、洗い物を後で点検し、やり直したりした。2度手間になるくらいなら、彼に全てやらせた方が、お互いに良いという結果に至ったからにすぎない。

多くの人から「全部旦那さんが家事をやってくれるなんて贅沢、羨ましい」などと言われたが、果たしてそれが本当に良かったかというと、コミュニケーションロスに陥る。

結婚生活というのは、お互いに助け合い、シェアする事。私達の場合、一方が皆仕切る独裁者体制だった。私の仕事が忙しいうちはそれでも助かる事が多かったが、フリーランスに変わってもこのパターンは変わらなかった。

何でもしてくれる夫ーー言い換えれば、私に何もさせてくれない。生活を共有していない。結婚生活の実感が湧かなかったのは、こういった日常のルーティンなんだろう。結婚しているのにルームメイトのような、変な関係のまま月日は流れていった。

唯一私をワクワクさせてくれたのは、結婚前から続いてた家のリモデルのプランだった。でもそれも膠着したままだった。2度ほど計測や見積もりが来たけど、お金の計算ばかりして一向に前に進まない。

「結婚はゴールではない」と良く言うけど、結婚する前に蓄積していた問題は解決しないままだった。「結婚したら変わる」「結婚したら夢が叶う」なんて事はやっぱりなかった。だったら結婚を条件に最低妥協のサインをしてもらう事も友達から提案があった。でも、そんな事までして盛り上がっていた雰囲気に水をさすのが怖かった。

結局は信じた私がバカだったと言わずにいられない。現実、この時点で話合いをするのに、いつも相手を機嫌を損ねないよう気を遣う必要があった。

「やっぱり約束を交わすべきだったのか」。。。何かをチェンジしたいと思っても、言い争いになる気がして気が引けている自分がいた。「私も一緒に今を生きているんだから、私の希望や夢も聞いてね」!心の中で叫んでいた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?