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【創作のための読書】『中世盛期西フランスにおける都市と王権』第9章の「13世紀都市民の職業」について

 ざ~っと興味の湧く活用できそうな部分を拾い読みしていったなかで、結章前の『第9章 ラ=ロシェルの都市内商業と伯=王権』まで来て、作品に直接的に活かせそうな食指の動く有益情報が登場しました。

 その内容とは、13世紀都市民の職業についての記述でした。フランス王国カペー朝第8代国王ルイ8世が作らせた都市民の人名リストをもとに出身地の研究を行った史料について、著者が言及しています。以下引用

 これを見てみると,最も多数の人名に現れているのが,居酒屋経営(22人)である。ついで魚屋が19人, 大工が17人, 網工が16人 の順に続く。
 また,ラ=ロシェル港の「国際的」な役割を裏付けるように,遠隔地から商品を扱う毛皮商(9人), 香料商(6人) の数も目立って多い。中略……金銀細工師の11人 という数字も目を引く。
 魚屋19人の他, 靴屋11人, 刃物屋8人, パン屋8人, 油商7人, 理髪師7人,鉄鍛冶6人, パン焼き人6人, 穀物小売商4人, 小間物(こまもの)屋4人, 肉屋3人の他, 仕立て屋, 衣類商, 洗濯屋, 石工, 鞍具屋, 蹄鉄屋, 木箱工, 荷車工, 荷車運搬人, 刃物研ぎ屋 などである。

 ※本書には、これらは1224年当時の都市民の職業のあくまで部分的な内訳であると後述されています。人名リストに職業がセットで記されていたのは約18%に過ぎないとのこと。

 当時の人々の生活について知りたかったので、これら具体例は、とても参考になります。13世紀のフランスの1地域という物凄く限定された情報ではありますが、これら職業を見るだけで、中世ヨーロッパをベースとする世界観へ繋がる「よりリアルな文化・産業のイメージ」を掴むことができ、個人的にはとても作品作りの助けになる記述だと感じました。

 本章にて『中世盛期西フランスにおける都市と王権』はひとまず読了とします。

 が、巻末史料にも役立つ情報があるので、今後も折に触れて、本書を手に取ることがあるように思います。

<前回記事>

ここまで読んで下さり、ありがとうございました。

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