Aoitori/Entertainment Analytics

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マガジン

  • とある大企業の禁忌目録/グローバル編

    大企業では避けて通れない「グローバル事業」について述べる。学生のうちから知っておけば、企業選択の方針が変わるかもしれないことをいくつか取り上げたい。私は大企業キャリアの約半分くらいが海外事業だったので、グローバルには結構な思い入れがある。大企業では、日本市場の停滞感から海外に次の成長を求める戦略を取ることが多い。その戦略に若手社員も巻き込まれる、果たして、うまくいっているのだろうか?

  • とある大企業の禁忌目録/お仕事編

    大企業の仕事でどんなことが起こるのか? 入社して慣れてきたら目にすることを中心に取り上げていきたい。規模が大きいからこそ起こってしまう構造的な仕事の雰囲気を感じていただければと思います。

  • とある大企業の禁忌目録/働き方編

    これから企業に就職することを考えている方々に、「大企業ってこんなもんですよ」というリアルな実態をお伝えいきます。

最近の記事

英語を使った仕事の実態(とある大企業の禁忌目録#26)

私自身、帰国子女でもなく留学経験があったわけではない。大学受験のノウハウを使って勉強した結果、TOEICで900点以上取れるようになった(誰でもできる)。しかしながら、このまま、日本で勉強を継続したとしても、英語で日本語と同じ程度の思考力を持てるようにはならないと思う。日本人が、英語だけで読み書きするのはかなり非効率だ(ネイティブレベルの英語力に憧れる気持ちは分かるのだが)。 ネイティブレベルの英語力を身につけるには、英語を母国語とする人が大多数を占める国(アメリカやオースト

    • 英語教育(とある大企業の禁忌目録#25)

      大企業の英語熱はとどまることを知らない。社内公用語を英語とするIT企業が現れ、物議を醸しだした。国策としては、高度な技術を持つ外国人はビザが発行されやすくなっているので、日産のカルロス・ゴーン氏のように幹部が外国人になることもない話ではない。 他方、日本人が積極的に外国人を職場に呼びたい局面も増えてきている。海外企業とのやり取りの窓口要員、通訳・翻訳では海外企業の出身国の人材がチームにいるほうが成果につながりやすい。 問題は、英語そのものが神格化してしまって、仕事の成果はそ

      • 技術立国はいつまで続くか(とある大企業の禁忌目録#24)

        少子高齢化が進む日本にとって、海外マーケットへの期待は高まる一方だが、日本人の海外進出が成功し続けるのは険しい道のりだと思う。日本の企業が作れる物は、どんどん中国・韓国のプロダクトにリプレースされている。IT機器はHUAWEIに世界中に圧巻されているし、ソニーは年々モバイルディバイスのシェアをHUAWEIやSAMSUNGに奪われている。 基本的に、技術で製作されている物は、世界中の誰でも開発・生産が可能である。日本人でないと作れない装置やプロダクトは基本的にない。なので、大

        • 海外事業所のお仕事(とある大企業の禁忌目録#23)

          大企業は、製品やサービスを簡単に変えられない。作るものが変えられないのであれば、市場がまだ立ち上がっていない海外市場に進出するのが自然な流れである。 トヨタ自動車は2011年に海外で590万台の各種自動車を販売していて、この数は、海外への出荷台数は80%を超えていることになる。国内市場は少子高齢化により人口が減ってくることが予想されているし、旺盛な経済成長を迎える海外で収益を上げることは一つのロマンといっていい。 製造業はモノがあるので、物欲を満たしたいという分かりやすいニ

        英語を使った仕事の実態(とある大企業の禁忌目録#26)

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        • とある大企業の禁忌目録/グローバル編
          5本
        • とある大企業の禁忌目録/お仕事編
          5本
        • とある大企業の禁忌目録/働き方編
          16本

        記事

          日本を意識できないかも(とある大企業の禁忌目録#22)

          もう昔話だが総合商社の面接でこんなことがあった。 面接官:どんなことがやりたいの? 学生:海外でビジネスを興して日本に安くていいものを輸入して日本人に幸せになってもらいたいです! 面接官:君のやりたいことをやろうとすると、日本の産業がクウドウ化するけどどう考える? 学生:・・・ ここでの受け答えが合否を分ける。 「日本人は、日本人にしかできない付加価値の高い仕事に特化すればいいと考えます。」 と答えるのが最もオーソドックスな回答である。 ここ20年ほど、この問題に関し

          日本を意識できないかも(とある大企業の禁忌目録#22)

          契約書三週間待ち(とある大企業の禁忌目録#21)

          大企業では契約書に絡む仕事も結構多く、若手社員でも目にすることがあると思う。 最もよく目にするのは企業間の「機密保持契約書」。機密情報をやりとりするにあたって、保護される情報を定義し、保持期間や紛争になった場合の裁判を規定することが多い。金銭が絡まない契約書だが、契約相手先が提示してきた草案に対して、法務部門へリスク評価を依頼すると着手されるまでに2週間、内容の確認に1週間とすさまじく時間がかかる。中小企業だと、その場で社長がざっと目を通してサインするレベルのモノなのだが…。

          契約書三週間待ち(とある大企業の禁忌目録#21)

          社内政治(とある大企業の禁忌目録#20)

          会社とは有限なリソース(人・モノ・金)を最適に割り振りながら、収益を上げることが必要である。ところが、個人・チーム・部門いずれの次元においても、それぞれは成果を最大化するため、都合よくリソースを確保することが不可欠であり、大企業中でライトな「せめぎあい」がしばしば発生する。個人・チーム・部門の数だけ紛争の火種があるといっても過言ではない。 高城幸司氏は『社内政治の教科書』(ダイヤモンド社、2014年)で、大企業リクルート社で経験を元に、社内におけるもめ事は「日常生活における

          社内政治(とある大企業の禁忌目録#20)

          本音と建て前(とある大企業の禁忌目録#19)

          本音はみんな分かっているが、直球で伝えたりするとそれが部門間の争いに発展したりする。だから雰囲気が悪くならないようなコミュニケーションをとる技術は、大企業においては重視されるスキルの一つだと思う。 本音と建前の例を少し挙げてみよう。 建前:将来的にはこの部分も提供できます。 本音:この機能の提供には何の目途もたっておらず、提供できなかったとしても責任を持てない。 建前:4月に開始できれば、10月に成果が出ます。 本音:調整には難航している。4月に開発開始できるめどがついて

          本音と建て前(とある大企業の禁忌目録#19)

          熱心な協力会社さん(とある大企業の禁忌目録#18)

          実績の少ない中小の協力会社にとって、誰もが聞いたことがあるような大企業と取引することは、会社の信頼を大きく上げることになる。また、協力会社にとっても大企業と継続的な取引ができることは経営的に利益が大きい。業界の展示会などで出展企業の方に名刺を渡すと、相手の本気度が分かりやすく変わる。その後、メールが来て営業に来てくれることが多い。 営業に来ていただいた際、私はほとんどの場合半分以上の時間雑談していた。残念ながらほとんどの場合社内で取引検討を提起していける結果にはならないのだ

          熱心な協力会社さん(とある大企業の禁忌目録#18)

          受発注のバランス感覚(とある大企業の禁忌目録#17)

          大企業は人材が多いと思われがちだが、調整が得意なジェネラリストがそろっているだけなので、クリエイティブな作業や技術的な作業は外部の会社にアウトソースすることが非常に多い。もちろん、長期的に仕事が確定していて、内部でクリエイターを雇用するほうが都合の良い場合はこの限りではないが、基本的には外部委託は避けて通れない。 委託においては、最終的な成果物を定義することが基本となる。例えば、絵を描く作業を委託するのであれば、 ・何を描くのか ・何枚描くのか ・何のフォーマットで描くのか

          受発注のバランス感覚(とある大企業の禁忌目録#17)

          大好き資料作り(とある大企業の禁忌目録#16)

          大企業は、「客観的なこと」「確かなこと」「証明できること」にかなりの価値を置いている。そのために現代人が獲得したツールの中でも特に大企業で人気なのが、「文書」と「印鑑」だと思う。会社によっては、「印鑑」ではなく「ハンドサイン」のほうが詐称しにくいとの理由で重視されていることもある。 会社では日々、会社としての意思や方針を決めて、具体的な取り組みを進めていく。「会社として方針を決める」ことを、客観的に確かなこととして証明できるようにするのは、簡単なようで結構難しい。決裁文書と

          大好き資料作り(とある大企業の禁忌目録#16)

          ストレスを受ける人と受けない人(とある大企業の禁忌目録#15)

          パワハラ環境で長時間労働・長期間連勤をする人をこの10年ほどたくさん見てきた。労働行政では、月に80時間の時間外労働は過労死認定基準としているが、月80時間は20営業日で一日4時間の残業となり、6時が定時なら22時まで働くことになる。これくらいの時間働いている人は大企業でも業種によっては珍しくない。こういう人たちを分類すると4つのタイプに分けられると思う。 ① 自殺まで行っちゃう人 厳しいマネジメントやプレッシャーを受けて、膨大な物量の仕事を要求され終わるまで管理下に置かれ

          ストレスを受ける人と受けない人(とある大企業の禁忌目録#15)

          パワハラの現場から(とある大企業の禁忌目録#14)

          職位を背景に上司から高圧的な態度で業務の指導をされ、人間性を否定するような言動をすることをパワーハラスメント(パワハラ)という。これは、企業で生まれた言葉だと思う。そもそも、職位を背景とするヒエラルキーが厳格であることがパワハラの条件であることから、その階層構造が深まれば深まるほど発生の環境が整ってしまうことになる。 高収益なビジネスができている大企業で、仮に厳しいマネジメントをしなくてもどんどん利益が上がるような状態だとするならば、パワハラなど発生しない環境となる。しかし

          パワハラの現場から(とある大企業の禁忌目録#14)

          大企業はホワイトか(とある大企業の禁忌目録#13)

          2013年の流行語大賞に「ブラック企業」が選ばれ、若者が使いつぶすことのない会社のありかたを目指した啓蒙活動が続けられている。その2年後の2015年、大手広告代理店に勤務する新入社員が、長時間労働とハラスメントを苦に自殺する事件が起き、メディアを騒然とさせた。 「長時間労働がなく、有給が取れること」をホワイトの定義とすると、基本的には大企業はホワイトになりやすいとされてきた。高収益なビジネスモデルを持つからこそ、労働者が健全な労働時間に収まるし、土日に仕事するような状況にな

          大企業はホワイトか(とある大企業の禁忌目録#13)

          人事を決めてもらう気軽さ(とある大企業の禁忌目録#12)

          大企業の労働観をお伝えしてきた。学生時代の大企業のイメージとはギャップがあり、それに順応していく体験をお伝えすることが多くなってしまった。待遇面以外で、あまり表に出てこない大企業の良いところを考えてみたい。 大企業は従業員が多いし多くの組織がある。定期的に異動を繰り返すと様々な環境に置かれるため、いろんな人と関わることになる。否応なく第三者(人事部)の判断で定期的に職場を変えていけることはメリットとなることも多い。 自分の「理想的な出会い」などほとんど考慮されず、第三者が選

          人事を決めてもらう気軽さ(とある大企業の禁忌目録#12)

          人事異動(とある大企業の禁忌目録#11)

          大企業はジョブローテーションを重視する。数年で職場を転々とさせながらキャリアアップを図り、結果的にどの分野にも精通する人材を作り上げる。ビジネスモデルを発展させていくために、縦割り組織で連携を進め、様々な分野の知識や人脈を持っていることが有利に働く。 大企業において人事部は超越的な存在と言っていい。社員一人一人の適性と将来のキャリアプランを考えて、実務部門が持っている課題を考慮しながらチームの編成を決めていく。 例えば、本人が製品開発を希望していて、会社としてもその方向に適

          人事異動(とある大企業の禁忌目録#11)