大企業はホワイトか(とある大企業の禁忌目録#13)

2013年の流行語大賞に「ブラック企業」が選ばれ、若者が使いつぶすことのない会社のありかたを目指した啓蒙活動が続けられている。その2年後の2015年、大手広告代理店に勤務する新入社員が、長時間労働とハラスメントを苦に自殺する事件が起き、メディアを騒然とさせた。

「長時間労働がなく、有給が取れること」をホワイトの定義とすると、基本的には大企業はホワイトになりやすいとされてきた。高収益なビジネスモデルを持つからこそ、労働者が健全な労働時間に収まるし、土日に仕事するような状況になりにくい。しかしながら、大企業であってもそのビジネスモデルによっては、ブラック企業となることが避けられないことがわかってきた。

電通は、広告業界で「代理店」という業態であり、クライアントへのクリエイティブ提案がメインの商材である。代理店は自社でメディアを持っていないので、放送局や新聞社から広告枠を仕入れてクライアントに販売するビジネスモデルである。したがって、広告枠分の売り上げはそっくり調達先に支払わなければならず、利益は企画代行の業務委託からしか出てこない。
クライアント企業からすると、複数社の代理店からクリエイティブ提案を受けて発注を決めることができるが、代理店の方は長時間労働で提案資料を仕上げたにもかかわらず受注できないことも多い。その結果、厳しいマネジメントを上司が行って、裁量労働(定額残業代)で長時間働かせないと利益が出にくい。

逆に、中小企業であってもニッチな業界シェアを握り、高収益なビジネスができているところもある。大企業か中小企業かというだけではブラックかどうか判断しにくい時代になっている。働いている人に直接聞いたり、口コミサイトで調査したりするなどの手段を使うことが必要にだと思う。

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