技術立国はいつまで続くか(とある大企業の禁忌目録#24)

少子高齢化が進む日本にとって、海外マーケットへの期待は高まる一方だが、日本人の海外進出が成功し続けるのは険しい道のりだと思う。日本の企業が作れる物は、どんどん中国・韓国のプロダクトにリプレースされている。IT機器はHUAWEIに世界中に圧巻されているし、ソニーは年々モバイルディバイスのシェアをHUAWEIやSAMSUNGに奪われている。

基本的に、技術で製作されている物は、世界中の誰でも開発・生産が可能である。日本人でないと作れない装置やプロダクトは基本的にない。なので、大きな資本を動かして、選考しているメーカーから技術者を引き抜いて、巨大な工場を建てて、人経費の安い国で量産してしまえば、それなりの物ができてしまう。日本人の細やかさがあれば、もちろん最高級の物を作ることは可能だが、コストに全部跳ね返ってくる。

購入する海外市場の人たちにとって、「安くていい物」は魅力的で、「日本製」というブランドイメージは崩れ去っている。もちろん、トヨタのように生産を最適化して、全世界で圧倒的なブランドイメージを作り上げることに成功した勝ち組の日本企業はある。それも、中国企業が物量作戦を展開する以上のスピードで生産性を上げ続けないとどこまで続けられるかが分からない。

それでも、経営幹部は海外市場への成功を信じて止まないのは、いったんは日本勢が世界を圧巻できたことによる奢りである。大企業の幹部は、「日本の物は品質がいいので、高くても海外の人が買ってくれる」「売れないのは現場の努力が足りない」と叱責するが、現場は実情と合わないと感じることがある。
日本の市場に留まれば小さなパイの奪い合い、海外へ行けば中国企業に連戦連敗。これからもこの傾向は変わらないだろう。それでも、海外の人たちと価値を作り出せたときの大きな喜びがある。グローバルをやりたいという思いは持っていいと思うが、海外は楽ができる環境ではないとお伝えしておきたい。

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