日本を意識できないかも(とある大企業の禁忌目録#22)

もう昔話だが総合商社の面接でこんなことがあった。
面接官:どんなことがやりたいの?
学生:海外でビジネスを興して日本に安くていいものを輸入して日本人に幸せになってもらいたいです!
面接官:君のやりたいことをやろうとすると、日本の産業がクウドウ化するけどどう考える?
学生:・・・

ここでの受け答えが合否を分ける。

「日本人は、日本人にしかできない付加価値の高い仕事に特化すればいいと考えます。」

と答えるのが最もオーソドックスな回答である。

ここ20年ほど、この問題に関して日本の企業が日本人になしえたことは、事実上なかったと言っていい。安い労働力を求めて工場はどんどん海外へは進出していくし、利益の最大化を求められると、自己中心的に導入せざるを得ないのが営利企業の所業であった。
経営者は日本人の雇用を守ることを目指したい。それは多くの消費者へ会社を魅力的に見せる一つの方法である。しかしながら、純然たる日本人の金でモノを作るとコストが上がり、そのコストが販売価格に付加されると当然売れなくなる。

さらに、インターネットが世界で普及したのは大きい。今や設計図のデータを送るだけで何のコミュニケーションもなく製作を請け負ってくれる事業者が世界中にある。実感できないが既に海外の労働力は日本は依存している。外国人が日本で移民として働くのはまだ難しいが、それも日本の人口減に対処するために規制緩和されていくだろう。前述のような商社面接での受け答えは時代遅れになっているかもしれない。

「もはや日本人や日本にこだわることなく、収益・利益を確保するべきです。」

のような受け答えが今ではされているのだろうか。面接担当は50代のサラリーマン。うまく言わないと、「後ろ向きで扱いにくい奴」と思われるので、その印象操作ができるかというシナリオに突入。

この20年間、大きな話題にはなっていないが日本人の雇用は奪われ続けた。20年後の2040年代には、日本にこだわることは更に「あいまい」なものになっていくだろうと思う。AIの自動翻訳が入ってくると、言語の壁すら超えてくる。そうなると、日本というものを意識できる局面が20年後に残っているのかどうかも自信が持てない。資本主義はどこまでも残酷なので、成り行き次第でどのようなことが起こるかわからない。

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