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「ツラい目標」を「ワクワク目標」にする方法_心理的安全術

人が活動するときは、必ず何がしかの目標を立てます。

経営企画部門は、理念、コアコンピュタンスに沿った中長期・年度目標。

営業は、販売目標、利益目標。

開発部門は、新製品の開発計画。

生産部門は、生産目標、品質目標、コスト目標。

間接部門は、間接費の低減目標。

などです。

しかし、私達が「目標」という言葉を聞くと、なんだか重苦しく感じます。

何故でしょうか。

それは日々数字に追われ、目標達成に責任が生じるからです。

今日は、

人はなぜ目標を立てるのか? 

なぜ目標が必要なのか? 

社員がワクワクする目標とは何か? 

についてお話します。

1.なぜ人は目標を持ちたがるのか?

読者に質問です。

人間の最も強い欲望は、なんだと思われますか?

脳科学の分野では、性欲や睡眠欲、食欲でもなく、最も強い欲望はコントロール欲だと言っています。

人は何かをコントロールして目標を達成できると、幸福感を感じ、健康的で、活動的になれると思っているからだそうです。

考えてみれば、今世界中で起こっている紛争や戦争、領土問題の出発点は全て人間のコントロール欲から端を発していることばかりです。

例えば、サッカーの試合を録画でなく中継で見たいのは、監督の采配や選手のプレーが自分の考えと同じだったとき、あたかも自分がコントロールできていると感じられるからです。

逆に、監督の采配が自分と違う判断をして負けた場合は、自分の判断が正しかったことに満足します。

こうしてみると、なるほど人間にとってコントロール欲とはかなり強い欲望だと分かります。

2.人は、目標を失うとどうなるか?

人間の「コントロール欲」と「目標」の意味を明らかにするために、アメリカの心理学チームがこんな実験をしました。

学生のボランティアが老人ホームに定期的に訪問して、コミュニケーションをとると老人達がどのように変化するのか調査しました。

最初におこなったことは、老人達を2つのグループに分けることでした。

Aチームの老人達は、自ら学生達が来る日時やイベントの企画を考えました。

Bチームの老人達は、学生達が来る日時やイベントの企画は、全て学生達に委ねました。

二ヶ月間後、老人達の変化を調査したところ、Aチームの老人達は生き生きと活動的になり、なんと薬の量が減ったそうです。

この結果はある程度予想できるものですが、実験が終了してから数ヶ月後、追跡調査をしたところ驚くべき事が分かりました。

Aチームの老人達の30%が亡くなっており、目標を失った老人達は活力を失い、薬の量が元に戻ったそうです。

ちなみにBチームの老人達は、10%亡くなっていたそうです。

この実験が示すことは、人は自らコントロールできる目標があると活力が上がり、目標を失うと活力を失うということです。

もちろん高齢ゆえに亡くなられたこともありますが、目標を失ったために、生きる活力を失ったことで死期が早まったことも否めません。

次節では、活力を生む目標とは何かについてお話しを進めます。

4.メンバーがワクワクする目標を共有するにはどうすればいいのか?

この実験で分かったことは、人は目標を失うと生きる活力を失ってしまうことですが、もう一つ注目すべき点があります。

それは学生達と老人達が、お互いコントロールできる目標を共有し、一緒に達成しようとしていた点です。

さらに学生達は、老人達が企画したことについて何でも話せる「心理的安全」環境を提供していました。

「心理的安全」環境とは、メンバー同士がなんでも話し合える環境という意味ですが、そのために学生達は次の4つの不安を取り除いたそうです。

1.無知だと思われる不安
 ・ 質問すると無知だと思われるリスク

2.無能だと思われる不安
 ・ 失敗を認めると、無能だと思われて仕事を任せて貰えないリスク

3.ネガティブだと思われる不安
 ・ 批判的なことを言うと厄介な奴だと思われるリスク

4.邪魔をする人だと思われる不安
 ・ 意見を求めたりすると、面倒な奴と思われるリスク

4.「心理的安全」環境は、リーダーが創る。


では、どうすれば4つの不安を取り除き「心理的安全」環境ができるのか?

まずリーダーがメンバーの話を聴き切ることです。

メンバーから上がる情報を論理的に整理しながら聴き切ることです。

例えば、What、Why、Howをメンバーと一緒に実践する内に「心理的安全」が醸成されるコミュニケーションです。

What(現状把握)  何が起こったのかを、主観を交えず聴き切る
Why(仮説設定)  何故それが起こったのか、一緒に考える
Why(課題設定)  解決しなくてはならない問題を一緒に見出す。 
How(戦術設定)  課題を解決するための戦術を一緒に考える。

さらにWhat~Whyを時系列に記録をとって、メンバーと一緒に変化を観察し、課題を見出して実践することです。

つまり、What~Whyのプロセスをコントロールするということです。

これをリーダーが率先してマネジメントするば、メンバーは活力あるプロセスと目標を立て、ワクワクしながら活動できるようになります。

皆さんのお考えはいかがでしょうか?



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